江戸川乱歩『湖畔亭事件』

 

 江戸川乱歩『湖畔亭事件』(『江戸川乱歩推理文庫〈3〉湖畔亭事件』講談社 1988 所収)

 主人公の趣味は覗き。それもがっつり装置を設えて挑む凝りに凝った覗き。自称「レンズ狂」。学校を卒業して、別段勤め口を探さねばならぬ境遇でもなく、なにがなしブラブラと暮らしている。趣味と合わせてなかなかのクズっぷりである。そんな彼がH山中のA湖畔にある「湖畔亭」という旅館に静養に出かけることになった。神経衰弱症を患ったのである。家族の勧めに従って、とはいうものの体のいい厄介払いだったのだろう。
 しばらく旅館の二階の部屋で、何をするでもなくぼやーっと過ごしていた主人公だったが、やがて悪いムシが騒ぎはじめた。幸か不幸か愛用のグッズ「覗き目がね」はしっかりトランクの底にある。旅館だけに獲物はよりどりみどりだ。早速、複雑に屈曲したシュノーケル状の「覗き目がね」を、湯殿の脱衣場に向けてセット。部屋にいながらにして快適な覗き生活を満喫する主人公だったが、あるときとんでもないものを目撃してしまう。脱衣場で女が刺されたのだ。犯人も被害者も不明。大量の血痕が発見され警察が呼ばれたが、捜査は進展しない。主人公は同宿していた洋画家の「河野」とともに、犯人を探しはじめた。なにせ主人公は犯行の決定的な瞬間を目撃しているのだ。

 この作品、ドラマの方を先に見てたので、この原作を読んでびっくりした。マジで全然違ってる。地下の水槽も、中継モニタも、スワンボートもない。何よりこの作品には明智探偵が出てこないのだ。原作だと言われてもわからないレベル。
 明智君に代わって本作で推理を披露するのは、青年画家の「河野」。主人公との関係性も含めて、なんとなくD坂の頃の明智探偵を彷彿とさせる。主人公はレンズ、幻灯(スライドみたいなやつ)、覗きに熱中する高等遊民で、乱歩作品の主人公にもってこいの好キャラである。自作にやたら厳しい著者は本作について「最初の部分はいくらか面白くかけたが、全体的には無理に辻褄を合わせたという外語るべきこともない〜」などといつものトーンで評しているが、主人公の開き直ったような独白は非常にキャッチーで、彼がいかにして仄暗い趣味に耽溺するようになったかを語るくだりには多くのページが割かれ、暗闇に浮かぶ幻灯のような〜と形容されるレンズの向こうの描写には、事件そのものや推理のパート以上に著者の熱気が感じられる。
 事件はわりと複雑な犯人と死体探しで、最後にどんでん返しがある。正直、河野の長い謎解きを読んだ後も全然ピンとこなかったのだが、サスペンスの点において本作のメインは覗きがばれそうでやばいってハラハラ。主人公がバカすぎて気が気じゃなかった。他人事ながら「早くシュノーケル片付けろよ!」って何度も思ってしまった。

 それにしてもドラマ。最近またまた見返す機会があったのだけど、なぜあんな感じになったのかさっぱり分からない。分からないけど、ドラマの方もしっかり面白かったので、後日そっちの感想も書こうと思う。



『江戸川乱歩推理文庫〈3〉湖畔亭事件』
 講談社 1988
 著者:江戸川乱歩
 解題:中島河太郎
 巻末エッセイ・乱歩と私:佐野洋(作家)「ある命日のこと」

 収録作品
 『闇に蠢く』
 『湖畔亭事件』

 ISBN-13:978-4-0619-5203-4
 ISBN-10:4-0619-5203-X


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飛行機模型スペシャル No.17

 

飛行機模型スペシャル No.17』モデルアート社 2017

 発売から結構経ってしまったが、忘れないうちに。
 今回の特集はハセガワの新製品1/72「二式大艇」をトップに持ってきた「日本大飛行艇物語」と、「戦略核爆撃機特集」の第3弾「イギリス空軍編」の二本立て。特集二本立てというと、どっちつかずになりそうなイメージがあるけど、見ごたえのある作例が多く物足りなさは感じなかった。それから特集の前にタミヤの1/48「飛燕」のレビューが載ってる。

 まずは巻頭カラー4ページの「飛燕」についてだが、あの厄介なマダラ迷彩が見事に再現されていることに驚かされた。汚くなりがちなマダラ迷彩がリアルなのに綺麗。ぱっと見、どうやって塗ったのかさっぱり分からなかったけど、記事では実に簡単にその手法が解説されている。いい完成品を作るには焦らずじっくり、当然のことのようだが分かってても焦ってやっちゃって後悔することが多い。マスキングして一気にぶわーっと……とかすぐ考えてしまう。記事では製作全般の細かな点、例えばマスキングシールのカット位置にまで言及されていて、製作時には大いに参考になることと思う。途中写真(ディティールアップされたコクピット、エンジンなど)も多く、充実した記事だった。

 第一特集『日本大飛行艇物語』の作例は1/72と1/144スケールで新旧の飛行艇が6例。ハセガワの1/72「二式大艇」の記事は上記の「飛燕」の記事と同様充実したものだが、こっちは機体がでかいし具がたっぷりなぶんページ数も多い。エクステリア以上に内部の途中写真が数多く掲載されているが、見るからに大変そうでちょっとした室内ジオラマって感じ。しかも完成後はほとんど見えなくなるとか。自分は「飛燕」に付いてるような透明のパーツには特にありがたみを感じないけど、このキットには透明のパーツがもってこいだと思う。また今回の特集では自衛隊の救難飛行艇が取り上げられているのがよかった。誌面が華やかになるし、ハセガワ1/72改造の「新明和 US-1A」など作例もハイレベル。

 もう一つの特集「冷戦時代の戦略核爆撃機特集3 イギリス空軍編」では、エアフィックスのキットを中心に4例が取り上げられている。特集としては少ないが、モノがモノだけにプラッスチックの量はハンパない。でかい。作例の中で馴染みのあるのは「アブロ・バルカン」くらいだったが、米英ソの戦略爆撃機を比べると、イギリス機の異形感は群を抜いている。非常に魅力的だ。SFっぽいというか、「サンダーバード」に出てきても全く違和感がない。作例は新旧のキットをそつなく完成させていて(旧キットは大変そう)、こちらも製作時には有用。白い機体色が新鮮だった。



 - 作例リスト (掲載順) -

ニューキットセレクション
『川崎 三式戦闘機 飛燕Ⅰ型丁』タミヤ 1/48

特集1『日本大飛行艇物語』
『川西 H8K2 二式大型飛行艇 一二型』ハセガワ 1/72
『川西 H6K5 九七式飛行艇 二三型』ハセガワ 1/72
『新明和 US-1A 救難飛行艇』ハセガワ 1/72改造
『新明和 US-2 救難飛行艇』アオシマ 1/144 ※作例は2例
『川西 二式大艇 一二型』マイクロエース 1/144

特集2『冷戦時代の戦略核爆撃機3 イギリス空軍編』
『ビッカーズ・ヴァリアント BK Mk.1』エアフィックス 1/72
『アブロ・バルカン BK Mk.2A』エアフィックス 1/72
『ハンドレイページ・ヴィクター B Mk.2(BS)』エアフィックス 1/144
『ハンドレイページ・ヴィクター K Mk.2』ドイツレベル 1/72

連載記事「TOMCAT SQUADRON’S VOL.05 VF-14 TOPHATTERS first part」

連載記事「綿湯同院 #017 BAC Strikemaster Mk88 (前編)」
『BAC ストライクマスター』スウォード 1/72

連載記事『モデリングJASDF 見たい! 撮りたい!! 作りたい!!! Vol.015 サンニイでミグファントムが作りたい!! 後編』
『航空自衛隊 F-4EJ ファントムⅡ』タミヤ 1/32 ※完成


 

日本陸軍 川崎 三式戦闘機 飛燕 Ⅰ型丁」タミヤ 1/48


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MODEL Art (モデルアート) 2017年 07月号 No.968

 

 MODEL Art (モデルアート) 2017年 07月号 No.968

 今月号の特集は「筆塗り塗装」。次号はエアモデルのペイント特集らしいから、3号続けてハウツー系の特集になる。
 自分の場合は確実に「筆塗りで仕上げた数」>「エアブラシで仕上げた数」なんだけど、単にエアブラシに手が出なかった(予算的に)だけで、あえて筆塗りを選んでたわけではない。日本機のハゲハゲ塗装につまずいてからは、もっぱら単色かスピットファイアみたいに塗り分けのくっきりした迷彩の機体ばかり塗っていた。モットリングなんて夢のまた夢の夢だったのだ。最近ではネット上や雑誌の作例で、エアブラシ塗装と並ぶどころか、それを凌駕するような筆塗りの作品を見るようになった。以前自分は仕方なく筆を使っていたが、達人の方々からしてみれば筆こそがベストなツールなのだろう。もちろん筆とエアブラシはそれぞれの長所短所に合わせて、適宜使い分けるのがベストだと思うけど、自分の場合、今よりももう少しマシな完成品を目指すには、筆の地位?をもっと上げる必要があるのかもしれない。
 なんだかとりとめのないことを書いてしまったが、筆とはなんだかんだで付き合いが長いので、色々思うところがあるのだ。それにしても今ではエアブラシもコンプレッサーも一通り揃えて、機材の上では全く不足を感じることがなくなったが、今度はキットが完成しない。どゆこと??

 今回の特集で特筆すべき点は、各種塗料と関連ツールを紹介するテキストの充実だ。「筆(穂先)の種類と特性」「人気の海外製塗料と筆塗りとの相性を見る」等々、まじで参考になる。反対に作例をサンプルとして用いた記事は少々物足りなかった。作例の良し悪しではなく、「筆塗りの効果」を見せるのに適切なアイテムではないように感じた。作例は3例、ドラゴンの「Ⅲ突」はグレー単色の車輌、個性的な仕上がりだが途中写真のビフォーアフターが超わかりづらい。ヤマシタホビーの「響」も当然グレー、タミヤの「零戦21型」は灰緑色単色の機体。「零戦21型」の記事ではサフの吹かれた状態からウェザリングまで、8段階の途中写真が掲載されているが、変化が軽微すぎてこれまたビフォーアフターがわかりづらい。画像自体が小さすぎるってのもあるかもしれないが、飛行機ならモットリングなど作業の前後がわかりやすいものを、AFVや艦船ならウェザリングのカラーとベース色の明度の差がもっとはっきりしたアイテムの方が誌面で映えたのではないかと思う。途中写真に関しては、特別記事『「矢萩登」の海面製作術 〜海面編〜』の途中写真&解説が非常にわかりやすかった。あんな感じの構成が特集記事の方にも欲しかった。

 連載記事の『FOLLOW YOUR HEART』ではマックスファクトリーの「ジプシー・デンジャー」が取り上げられている。映画の『パシフィック・リム』(2013)に出てきた巨大ロボットである。スケール表示はなんと1/350、艦船のスケールだ。このロボ、そんなにでかかったんだ。

 今月号はホビーショーの後だけあって、裏表紙にでっかく載ってるハセガワ1/24『BMW 2002 tii』、タミヤの1/35「ブルムベア 後期型」、バンダイの合体分離できる「ウルトラホーク1号」などなど、魅力的な新製品がたくさん紹介されている。発売が待ち遠しい。



 - 作例リスト (掲載順) - 航空機 戦車 艦船 車/バイク ■その他

特集「筆塗り塗装」
『WW.Ⅱ ドイツ軍 Ⅲ号突撃砲E型』ドラゴン 1/35
『日本海軍 特型駆逐艦 響』ヤマシタホビー 1/700
『三菱 零式艦上戦闘機 二一型』タミヤ 1/72

「スッター CIP Moto2」CGM 1/12 ※レジンキャストキットの紹介記事
「Moto3 TSR」

連載記事『MA版 これだけは作ろう 第4回 M4A3シャーマン105mm榴弾砲搭載型(HVSS)を作る(完成編)』
『M4A3シャーマン105mm榴弾砲搭載型』タミヤ 1/35「アメリカ戦車 M4A3E8シャーマン イージーエイト(ヨーロッパ戦線)」+「アメリカ M4A3シャーマン105mm榴弾砲搭載型(突撃支援)」 ※ニコイチ改造

連載記事『地名を名に持つ船とその場所のエピソード 艦船諸国漫遊記 Vol.19』
『日本海軍 水上機母艦 瑞穂』アオシマ 1/700

連載記事『モデリングJASDF 257回 イタレリ1/48 H-21を作る1』
『H-21 ショウニー “フライングバナナ”』イタレリ 1/48

特別記事
「日産スカイライン GT-R (BNR32) 1989」アイドロン 1/48 ※完成品の紹介記事

特別記事
『「矢萩登」の海面製作術 〜海面編〜』

NEW KIT REVIEW
『ハンドレページ・ヴィクター B Mk.2』エアフィックス 1/72
『メルセデス AMG GT』ドイツレベル 1/24
『スホーイ Su-17M3/M4 フィッター』キティホーク 1/48
『イギリス歩兵戦車 バレンタインMk.Ⅱ/Ⅳ』タミヤ 1/48 ※ジオラマ作品
■『日立建機 油圧ショベル ZAXIS135US』ハセガワ 1/35 ※ジオラマ作品

連載記事『LED大作戦 VOL.20』
『スーパーマリン スピットファイアMk.Ⅰ』タミヤ 1/48

連載記事『日本機大図鑑 連載第146回』
「96艦戦の主脚とエナーシャハンドル」

連載記事『北澤志朗のネオヒストリックガレージ 連載第84回』
『三菱パジェロ・スポーツオプション』タミヤ 1/24

連載記事『FOLLOW YOUR HEART 第38回』
■『PLaMAX JG-02 ジプシー・デンジャー』マックスファクトリー 1/350

連載記事『でものはつものうごくもの』
『日産 GT-R GReddy 35RX SPEC-D』タカラトミー 「ドリフトパッケージナノ」

連載記事『ジオラマ大作戦 NO.13 一つで2度楽しめるジオラマを作る(1)』
『ドイツ重戦車 キングタイガー ヘンシェル砲塔』MENGMODEL 1/35 ※ジオラマ作品



 次号の特集は「ハウツーペイント エアモデル 〜最新鋭機編〜 (仮題)」。


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『ほんとにあった怖い話〈20〉読者の恐怖体験談集』

ほんとにあった怖い話〈20〉読者の恐怖体験談集』朝日ソノラマ 1993 ハロウィン少女コミック館

 20代後半?のOLのKさんからちょっと不思議な話を聞くことができた。こっちからは全然尋ねてもないのに、「昔、この辺に住んでたんですよねぇ」って感じで、勝手に話しはじめてくれたのだ。ありがたい。ここのところゲロ出そうなくらい忙しかったのだが、捨てる神あれば拾う神あり、ごくまれにいいこともある。

 水田が所々潰されて、新興住宅地になりつつある地域である。Kさんは学生の頃、この辺のアパートから電車と徒歩で片道30分かけて、隣の市の大学まで通っていたのだそうだ。アパートはKさんが入居する直前にリフォームされて、やけに小綺麗だったらしい。しかも家賃が格安。彼女の友人の同じような部屋が月4万円、彼女の部屋は1万8000円だったというから、半額以下だ。
 ただ、さすがに安いだけあって、アパートの作り自体は安っぽく、壁は薄いし、二階への外階段はよほど気をつけても足音が「バインバイン」と響く無骨な鉄骨製だった。で、ある朝、外が騒がしいので廊下に出てみたら、その階段が無くなっていた。正確には根元から4本の鉄骨がポッキリ折れて、綺麗に横倒しになっていたらしい。「あんなの倒れたら絶対気付きますよ。風が吹いてたわけでもないし、どうして倒れたのか……」
 二階の住人だったKさんと隣室のお姉さんは、その日、「小さい消防車」のハシゴを使ってようやく下に降りることができた。家賃からして何らかの曰くがあったのかもしれないが、このこと以外、怪しい出来事は全く無かったとのこと。

 というわけで、全然怖くないけど、念願のちょっと不思議な話でした。嬉しかったのは、Kさんがオカルト関連に全く興味がなさそうな人柄だったこと、「ただそれだけの話」とはいえオリジナリティが感じられたこと。実はこれより少し前に他の人から、もうちょい怪談らしい話を聞いたのだけど、地方の出来事ながら新聞沙汰になった投資詐欺ががっつり絡んでいて、検索してみたらまだまだ関連情報が出てきたので書くのやめてました。

 さて本題。今回この第20巻には珍しい趣向がある。カバーのソデには→「多少霊感のある人ならば、かならず経験があると言っていい“金縛り”と“予知夢” —この2大テーマの恐ろしい体験を収録!!」とある。
「金縛り」と「予知夢」、業界的にはかなり地味なこれらのネタが選ばれたのは、体験を共有する読者が多そうとか、そんな感じの理由からだと思われるが、テーマを絞っただだけあってまとまりのある一冊になっている。ただ当たりかというとそうでもなくて、ややハズレ寄りというのが正直なところ。やっぱ地味だった。
 収録されたエピソードの中で、ガチで「予知夢」って感じの話は「第十話」。身の回りの小さな予知だけじゃなくて、湾岸戦争の予知までしてる。メインの現象の前兆として生じることの多い「金縛り」は、それだけで面白くするには難しいテーマなので、それに付随して生じる現象がメインになっている。印象的だったのは予知夢・金縛りのそれぞれの体験者が、いやよいやよと言いながら、かなりはっきりと優越感を持っているところで、これまでもそんな風に感じることはあったが、この巻ではそれがより顕著な感じ。上記のカバーのリードを信じるなら、金縛りにも予知夢にも無縁な自分には、霊感は全く備わっていないようだ。



『明け方の報せ 他』画・佐和田知生 ’92『ほんとにあった怖い話』7月号、『ハロウィン』8月号 掲載
 「第一話 明け方の報せ」投稿者・東京都 茂手木裕美さん ※虫の知らせ
 「第二話 台風の夜」投稿者・埼玉県 P.N北野椿さん ※学校(塾)の怪談・金縛り

『第三話 母が見ている』投稿者・大阪府 匿名希望さん 画・ひとみ翔 ’92『ほんとにあった怖い話』7月号 掲載 ※不思議な夢
 
『妖かしの桜 他』画・七色虹子 ’92『ほんとにあった怖い話』9月号、12月号 掲載
 「第四話 妖かしの桜」投稿者・宮城県 高橋知美さん ※不思議な夢
 「第五話 闇からの呪文」投稿者・大阪府 高松朋美さん ※コックリさん・金縛り

『第六話 霊現象は睡魔と共に…』投稿者・栃木県 星樹綾さん(P.N) 画・南地裕子 ’92『ハロウィン』5月号 掲載 ※心霊写真・不思議な夢

『第七話 幽霊テレビ』投稿者・岡山県 匿名希望さん 画・植松麻里 ’92『ハロウィン』4月号 掲載 ※金縛り

『夢の中の絵 他』画・谷ゆたか ’92『ほんとにあった怖い話』7月号、9月号 掲載
 「第八話 夢の中の絵」投稿者・愛知県 Miss味子さん(P.N) ※予知夢
 「第九話 死霊の足音」投稿者・宮城県 佐藤浩子さん(P.N) ※虫の知らせ

『夢なら夢でも… 他』画・黒田祐乎 ’92『ほんとにあった怖い話』9月号、11月号 掲載
 「第十話 夢なら夢でも…」投稿者・長崎県 中村和子 ※予知夢
 「第十一話 伝染性怪現象」投稿者・千葉県 常夏娘さん ※金縛り・伝染する怪談



『ほんとにあった怖い話〈20〉読者の恐怖体験談集』
 朝日ソノラマ 1993 ハロウィン少女コミック館
 著者:ひとみ翔 他

 ISBN-13:978-4-2579-8246-3
 ISBN-10:4-2579-8246-2


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森由岐子『おじょも寺の妖怪地蔵』

 森由岐子『おじょも寺の妖怪地蔵』ひばり書房 1984 ヒット・コミックス 171 怪談シリーズ

「滝の近くにおじょも寺という古いお寺があるが、あそこだけは近寄るでないぞ……」
 夏休み、S村を訪れた「あゆこ」「可奈」「一馬」の仲良しグループに、可奈の祖母が話しはじめた。S村は可奈の母の実家がある静かな山あいの村である。祖母によるとその廃寺には「おじょも」という妖怪が出ると伝えられていて、これまでに何人もの僧侶が狂死したという。
 そんな祖母の話を迷信と決めつけ、易々と「おじょも寺」に足を踏み入れてしまう三人。ところが寺の様子が聞いた話とは少々異なっている。荒れ果てて、無人だったはずの寺に、一人の美しい尼僧が住んでいたのだ。三人は何事もなく帰路に着いたが、数日後、女子二人に内緒で寺に出向いた一馬が行方不明になった。そして発見されないまま夏休みが終わろうとしていた。可奈は寺を訪れ一馬の行方を尋ねるが、尼は何も知らないという。そしてその際、尼から一体の地蔵を手渡される。「これを持っていると、なんでも願いが叶えられますよ……」
 東京に戻ってしばらくすると、可奈の様子がおかしくなりはじめた……。

『亡霊怪猫屋敷』(1958)にブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』(“Dracula”)を足してふんわりさせた感じの、正統派オカルトモンスターホラー。珍しい怪猫ものである。

 今回著者はその作風を特徴付ける外面の美しさへの執着や妬みを隠し味程度に抑え、終始モンスターとして顕現する呪いと、それを封じるべく悪戦苦闘する現代っ子の描写に徹している。上記の田舎を舞台にした雰囲気のいいパートは作品の「序」、中盤で舞台を都会に移して「破」、再び田舎に戻って終わる「急」というシンプルな構成をとっており、この三部の構成自体『亡霊怪猫屋敷』が念頭にあったような気もするが、とにかく無駄のない展開でグズグズ足踏みをしないのが素晴らしい。個人的には散々ダメだって言われてたのに、嬉々として地雷原に踏み入るアホなハイカーと、怪しい尼僧を露悪的に描いた「序」が王道! って感じで好きなんだけど、もちろん後に続く「破」「急」にも見所は多い。冷蔵庫から魚を取り出して可奈がヨダレを垂らすシーン、犬の死骸の前で三角座りの可奈、あゆこと変身済みの可奈が揃って「はっ」とするシーン等々。
 ところで以前にもちょっと書いたけど、自分はこの著者の作品をネタ的にじゃなくがっつり好きなので、ネタ的に扱われてるのを見ると取り上げられて嬉しい反面、そこはかとなく切なくなってしまう。唯一のホラー漫画友達だったグルグル映畫館の天野くんにも、よく「マジで森由岐子好きっすよねー。面白いことは面白いけどなー」なとど不思議がられたものだ。マジで好きなんだけど、どこがっていうと上手く伝えられないのがもどかしい。

 閑話休題。この作品に出てくる「おじょも」という妖怪、調べてみたら著者の完全な創作ではなく、元ネタらしきものがあることがわかった。香川県坂出市に伝わる「おじょも」と呼ばれる巨人の伝説がそれである。郷師山と飯野山に足をかけて放尿したというから豪快にでかい。本作に出てくる「手や足が獣のようであり、頭には角があり、体つきは人間のようで、しかも長い尾を持つみにくい妖怪」という『ダンウィッチの怪』(“The Dunwich Horror”)のウィルバー・ウェイトリーに似たモンスターとは随分異なっている。単に名前を借りただけなのか、もしかするとどこかにもっと劇中の妖怪に近い姿のものがいるのかもしれない。余談だが上記の飯野山は古代のピラミッドじゃないかってことで、オカルトファンにはかなり有名。また香川県旧飯山町にはこの巨人おじょもの足跡を図案化したマンホールの蓋がある。

 怪猫ものはホラー漫画の中でも輪をかけてニッチなジャンルで、最近ではすっかり見かけなくなってしまった。本作は娯楽性の高い好編で作画も終始安定しているから、怪猫ファンにはオススメ。面白かった!



『おじょも寺の妖怪地蔵』
 ひばり書房 1984 ヒット・コミックス 171 怪談シリーズ
 著者:森由岐子

 ISBN-13:978-4-8280-1068-7
 ISBN-10:4-8280-1068-8


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SCALE AVIATION (スケールアヴィエーション) 2017年 05月号 Vol.115

 

 SCALE AVIATION (スケールアヴィエーション) 2017年 05月号 Vol.115

 今回の特集は「ARIAF イラン空軍」。前号の「飛燕」もよかったけど、今回の特集は作例数も多く非常に充実している。自分がイラク空軍について知ってることといえば、F-5とそのパチ……いや、特殊な改造機がかっこいいこと、東西の航空機をごちゃまぜに使ってること。あとF-16を買ったらしいことをニュースで見た。……という程度だったので、連載記事などを除いてギッチギチにイラク空軍一色の今回の特集はとても興味深く、新鮮だった。
 改めてイラク空軍機のラインナップを見てみると、上記のF-5の改造機をはじめ、表紙のF-14、MiG-21のクローンFT-7などなど、かっこよさで選んでるんじゃないかって機体ばっか並んでる。特集のリードに「まるでフィンランド空軍と『エ●ア88』を混ぜ合わせたよう」とある通りのごちゃまぜぶりだった。しかも長期間にわたってコツコツちまちま手を入れられ、ニコイチサンコイチ当たり前って感じの歴戦の機体が多くて、細かいところがよくわからないらしい。今回、製作記事、解説記事のあちこちにその「よくわからない感じ」が滲み出していて面白かった。

 上記の状況を反映して、作例は使い込んだ雰囲気の機体が多かった。表紙の爽やかな水色で塗られたF-14も、機体全面にわたってデリケートなウェザリングが施されている。以前は途中写真がない、製作記事がキャプション程度で寂しいと、グズグズ書いてたけど、ここ最近その辺りが解説されるようになった。この作例の製作記事も数ページかけて塗装の工程を追っている。
 で、問題のF-5の改造機はクリーンな仕上げの1/72スケールが3例、1/32スケール1例。当然キットは出てないので、イタレリ(1/72)、ハセガワ(1/32)製のF-5をベースに改造されている。単に尾翼が増えただけに見えるけど、あちこち変更があるらしくお手軽改造ってわけにはいかないようだ。ハセガワのF-5はかなり古いキットだけに、ディティールアップから一苦労って感じ。それでも作例の出来栄えは素晴らしく、少々くたびれた機体が見事に表現されている。大迫力。この他にもハセガワ1/72「ミラージュ」、トランペッター1/48「MiG-21UB」改造の『FT-7』など、好きな機体がいくつも載っててよかった。



 - 作例リスト (掲載順) -

特集「ARIAF イラン空軍」
『グラマン F-14A トムキャット』タミヤ 1/48
『ミヤコン・グレビッチ MiG-29A ファルクラム 9.12』トランペッター 1/72
『グラマン F-14AM トムキャット』タミヤ 1/32

「わかりそうでわかりにくいイラン空軍の現状とは?」※モノクロ記事。下記の作例を掲載
 「ロッキード P-3F オライオン」トミーテック 1/144「P-3Cオライオン」改造
 「イリューシンⅡ-76MD アドナン1」トランペッター 1/144「イリューシン A-50 メインステイ」改造
 「ロッキード C-130E ハーキュリーズ」ハセガワ 1/200「C-130H ハーキュリーズ」改造
 「ボーイング KC747」ハセガワ 1/200「B747」改造

連載記事『Alternative modeling garage Vol.13 フィギュア編 その2』
『バイカー フィギュア』セミスクラッチビルド 1/32 ※モノクロ記事

特集「ARIAF イラン空軍」
『アザラフシュ』タミヤ/イタレリ 1/72「F-5E タイガーⅡ」改造
『サエゲ』タミヤ/イタレリ 1/72「F-5E タイガーⅡ」改造
『サエゲ2』タミヤ/イタレリ 1/72「F-5E タイガーⅡ」改造

連載記事『改造しちゃアカン リターンズ!』
『サエゲ』ハセガワ 1/32「F-5E タイガーⅡ」改造

連載記事『飛ぶ理由 連載第33回』
『火星独立軍最終戦闘機コスモワン』フルスクラッチビルド 1/72 ※小林誠によるオリジナルメカ

連載記事『夢見る翼 NO.53』
『マクドネル・ダグラス MD-11』ハセガワ 1/200

特集「ARIAF イラン空軍」
『マクダネルダグラス F-4E ファントムⅡ』ハセガワ 1/32

「もしもあの機体がイラン空軍だったら?」※下記の作例を掲載
 「フェアチャイルド・リパブリック A-10A サンダーボルトⅡ」ハセガワ 1/72
 「ダグラス A-4E/F スカイホーク」ハセガワ 1/72
 「ロッキード TF-104G スターファイター」ハセガワ 1/72
 「ノースロップ F-20 タイガーシャーク」ハセガワ 1/72

『スホーイ Su-25K フロッグフッド』ズベズダ 1/72
『F-313 ガヘル』FOX ONE 1/144 ※レジンキャストキット
『FT-7』トランペッター 1/48「MiG-21UB」改造
『ダッソー ミラージュ F1BQ』ハセガワ 1/72「ミラージュF.1C」改造

『NOSE ART QUEEN Vol.55 Flight Attendant Special』坂本くるみ 佐野真彩 近藤みやび



 次号の特集は「AGGRESSOR SQUADRON」。アグレッサー部隊の特集だ。
 ところで先週、電車の中でこの雑誌をペラペラ眺めてたら、いつの間にか隣に座ったおっさんがめっちゃ覗き込んでいた。寝てるのかと思ったらガン見。

 
グラマン F-14A トムキャット」タミヤ 1/48


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