『拷問の密室』

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 拷問の密室

 中世のとある王国では王位継承を巡る争いが勃発していた。王が謀殺されたのである。手を下したのは継承順位最下位の妾腹の伯爵ノーマン。王位はアルバート公爵が継承することになったが、彼は知的障害者で意思の疎通さえ覚束ない。そこでさっさと世継ぎを作らせるべく、適当な女性を王妃として当てがうことになった。白羽の矢が立ったのは貧しい村娘のヘザーだった。彼女は王宮の兄弟姉妹が血で血を洗う謀略の渦に巻き込まれていく。

 ストーリー自体は王道っぽい世嗣争いなんだけど、登場人物のキャラ付けがとにかく酷いので、終始次がどう転ぶか分からないハラハラ感がある。ほぼ主役でヒールのノーマン伯爵は、サディストの同性愛者でセムシの従者と男色関係にある。冒頭で殺害される王の妹は、近親姦によって王との子を孕んでいる。王位を継承したアルバート公爵は片時も食物を離そうとしない知的障害者。ヌードより着衣の方が断然可愛く見えるヒロインのヘザーにしても貞操観念に大いに難ありで、見事にマトモなキャラが出てこない。おかげで王道なストーリーのはずが特異なシーンが目白押しだ。

 画質は極めて悪く、小学生の頃の友人の家で見た、馬小屋の藁の中で外国人が乳繰り合うVHSを彷彿とさせる。ノスタルジックにも程がある。ホラーブームの頃にもこの作品は見たことがあったのだが、VHSがDVDになっても画質は向上しなかったようだ。ただ以前見たときには、画面汚なっ! としか思われなかったのだが、今見ると荒々しい画面がやけにカッコよく感じられた。感性が多少なりとも発達したのか、盛大に劣化したのかは分からないけれど。

 監督はかつてハーシェル・ゴードン・ルイスに次いで大きく取り上げられていたアンディ・ミリガン。この作品では撮影と共同で脚本まで担当している。以前は5本〜ほどの作品がVHSソフト化されていて、ほとんどが本作同様、過去のヨーロッパのどこかを舞台にしたものだったと思う。本作は他の作品に比べるとやや血のりは控えめながら、首を落とされてから頭の位置を確かめるように手探りする被害者や、やけに惨たらしい地下の拷問部屋など、ハッとする描写は少なくない。お色気シーンはヒロイン中心にかなり充実していて、ヌードの絡みの他にも、小ぶりなおっぱいが常に広く開いた襟ぐりからまろび出ている。
 前出のルイスに比べるとソフト化には恵まれていないが、自分はこの監督の陰惨でグズっと崩れたような作品の雰囲気が大好きなので、こうして手軽に見れるのは嬉しい。



『拷問の密室』(“TORTURE DUNGEON”)
 1970 アメリカ
 監督・撮影:アンディ・ミリガン
 製作:ウィリアム・ミシュキン
 出演:ジェレミー・ブルックス/スーザン・キャシディ/パトリック・ディロン/ニール・フラナガン/リチャード・メイソン
 映像色 : カラー
 上映時間:76分
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Posted byserpent sea

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