三智伸太郎『恐怖!! 人形に殺される』

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 三智伸太郎『恐怖!! 人形に殺される』ひばり書房 1986 ヒット・コミックス 105

 神社の裏手。お下げの少女がただならぬ様子で地面を掘り返している。人形を埋めようとしているのだ。作業を終えて足早に去ろうとした少女に、突然異変が生じる。呼吸困難を皮切りに、目玉が流れ落ち、筋肉が断裂し、全身のあちこちから血液が噴き出した。やがて彼女が絶命すると、地面から何かが飛び出してくる。それはついさっき少女が埋めたばかりの人形だった。
 主人公の「由希」はクラスの数名から日常的に暴行を受けていた。傷だらけで帰宅しても両親はまるで頼りにならない。絶望に打ちひしがれる由希は、近所の神社の森で一体の人形を拾った。人形には持ち主の傷を癒す不思議な力が備わっていた。人形を拾って以来、やや明るさを取り戻したかに見える由希だったが、彼女の周囲には異変が頻発するようになった。そればかりか由希の性格が少しずつ変わりはじめていた。

 持ち主のダメージを肩代わりする身代わり人形にまつわる話だが、持ち主に代わって復讐を遂げるという藁人形っぽい能力も備わっている。また単に持ち主の身代わりになるだけではなく、影に潜んだり、PK的な能力を発揮したり、サイズも一定でない。残念ながら劇中で生かされているとは言い難いが、カラスやヤモリを操ったりする能力もあるらしい。作風のゆるさ故とはいえ、能力の幅のあいまいさが得体の知れない不気味さを醸し出している。
 絵柄はラフながら崩れまくってるって感じでもなく、子供が一ミリたりともかわいくないのが妙にリアル。醜悪な表情がよく表現されている。目玉が飛び出したり、首がちょん切れたりするシーンも多い。ストーリーの大筋にはほとんど影響しないが、ホルマリンのプールの死体が起き上がったり、カラスが群れをなしてなぜかUFO(それもアダムスキー型)のシルエットを描く等、面白いサービスシーンもある。
 人形の特異な能力や人形によるラストの印象的なモノローグから、悪霊に憑かれた人形の話というより、人形の姿をしたモンスターが最良のバディを求めてさまよう話といった趣が強い。人形のデザインはアナベルにちょい似。



『恐怖!! 人形に殺される』
 ひばり書房 1986 ヒット・コミックス 105
 著者:三智伸太郎

 ISBN-13:978-4-8280-1105-9
 ISBN-10:4-8280-1105-6
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