荒川千尋, 坂東寛司『招き猫博覧会』

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 荒川千尋, 坂東寛司共著『招き猫博覧会』白石書店 2001 パレットブックス

 タイトル通りの招き猫本。オールカラーで手に入りやすく、招き猫関連ネタが広く紹介されていて、入門用としてぴったり。
 全体は「千変万化招き猫」「ふるさと自慢 郷土玩具招き猫」「御利益いろいろ 寺社招き猫」「珍品・逸品・絶品招き猫」「お招きグッズマーケット」「アートな招き猫が拓く新世紀」の6章に分かれていて、各章に20ページほどが当てられている。

 各省の内容はタイトルから類推できる通りのものだが、一章目の「千変万化招き猫」は、現在主流になっている「常滑系招き猫」のみを取り上げ、歴史や変種(サブタイプ)、製造メーカーなどの関連情報をざっくり紹介している。
「常滑系招き猫」は招き猫と聞いてパッと思い浮かぶ、二頭身で小判を抱いたあの猫である。招き猫は主要な産地や発祥地から「~系」と分類されていて、このタイプの猫は中部国際空港のある愛知県常滑市が主要な産地(全国生産高の八割近くが作られている)であることから「常滑系」と呼ばれている。自分は同じ愛知県産でも「瀬戸系」のスマートな招き猫が好みなのだが、それでも招き猫といえばやっぱこの「常滑系」だ。
 この「常滑系招き猫」の歴史は意外に浅く、現在の形が出来上がったのは第二次大戦以降のことらしい(※参考『郷土玩具 招き猫尽くし』←前の記事へのリンクです)。記事には「東南アジアや欧米など、海外にも輸出され、黄金の国・日本が生んだ福の神「MANEKINEKO」として認知されているのも、この常滑系の猫たちである」(p.14)とあり、カワイイ招き猫の海外進出は大歓迎って雰囲気だが、以前AXNミステリーでやってた『SHERLOCK シャーロック』では、招き猫は中国のものと認識されていた。アジアは一括りに中国って扱いなのかもしれないが、フォーチュン・クッキーと似たような変遷を辿りそうな気もする。

 本書は各地の招き猫を一品ずつ取り上げ、それを鑑賞する体の本ではないが、「ふるさと自慢 郷土玩具招き猫」「御利益いろいろ 寺社招き猫」の二つの章はそれらしい感じの構成になっている。
「ふるさと自慢 郷土玩具招き猫」では全国各地の招き猫を画像とキャプションで紹介している。掲載数も多く写真も綺麗なのだが、残念なことに画像が小さすぎる。もっと大きな写真が見たかった。ただこれからコレクションを始める人には、リストとしての使い勝手は良さそう。また「御利益いろいろ 寺社招き猫」では東京都世田谷区の「豪徳寺」を筆頭に、11の寺社と関連する招き猫がより丁寧に紹介されている。
 個人的にはあまり興味を引かれない記事もあったが、招き猫事情を知るにはもってこいの本で、コレクションのお供としても好適の一冊。



『招き猫博覧会』
 白石書店 2001 パレットブックス
 著者:荒川千尋/坂東寛司

 ISBN-13:978-4-7866-3023-1
 ISBN-10:4-7866-3023-3
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