『吸血鬼サーカス団』

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 吸血鬼サーカス団

 1810年、セルビアのシュテッテル村では子供の行方不明事件が頻発していた。犯人はミッターハウス伯爵。吸血鬼である。村人たちは徒党を組んで伯爵の城を襲撃し、伯爵の胸に杭を突き立てた。これで村は安泰、かと思いきや伯爵は死に際に不吉な言葉を残した。村全部を呪ってやると。
 15年経った。シュテッテル村には忌まわしい病が蔓延していた。村人が次々に死んでいく。伯爵の呪いではないか、そう口にする者もあった。このことから村は周辺の集落から隔離され、村への出入りは厳しく制限されていた。そんなとき、村にジプシーのサーカスがやってきた。その名も「夜のサーカス団」。
 サーカスはすぐに興行を始めた。小人の道化師に双子の軽業師、セクシーなダンサー、怪力男、猛獣のショーが、疲弊した村人たちを慰めた。しかしこのサーカス団を率いているのは吸血鬼、ミッターハウス伯爵の従兄弟にあたる男で、村の子供の血によって伯爵の復活を目論んでいたのだった。

 ハマー・フィルム、1971年の作品。吸血鬼がサーカスに化けてやってくる、なんでまたそんな遠回りなことを~って気がしないでもないが、予想外にサーカスのシーンの見応えがあるので、その辺はまあいいかって気分になる。スケールが小さくて、適当で、猥雑で、怪しい、まさに辺境をドサ回りするジプシーのサーカス。うすぼんやりと浮かぶイメージとの整合性はドンピシャだった。
 吸血鬼のシーンはというと、サーカスに尺をとられて少々不足気味。製作側の意図としてはサーカスを導入して、シンプルな吸血鬼との対決ものからの脱却を図ったのかもしれないが、肝心なところを削ってしまってるように思う。また吸血鬼側、村人側、ともにキャラが多く出入りも激しいため、繁雑になってしまって主人公の存在感が薄い、というか主人公主人公した主人公がいないから没入感も不足気味。閉ざされた村のゴタゴタを外側から眺めている感じ。

 そんな作品だけど、つまらないわけでは全然ない。毎回ハマー映画の感想に書いてることだけど、とにかく雰囲気は抜群にいい。古城と森のそばにある辺境の村が見事に描き出されている。セットから衣装、小物にいたるまでバッチリ世界観に則しているのは毎度のことで、そういうところはさすが。アバンの出来は特に素晴らしく、鬱蒼とした森の中で幼女が一人で遊んでる幻想的なシーンから→綺麗なおっぱい→村人の襲撃(流血あり)と、全く隙がない。全編この調子ならとんでもない作品になったに違いない。見るのは疲れるだろうけど。あと全然活躍しないけれど、ヒロインの女の子がやけに可愛い。せっかくなのでもっと出番と露出が欲しかった。



『吸血鬼サーカス団』(“Vampire Circus”)
 1971 イギリス
 監督:ロバート・ヤング
 出演:エイドリアン・コリ/ローレンス・ペイン/ソーリー・ウォルターズ/ジョン・モルダー・ブラウン/リン・フレデリック
 映像色 : カラー
 上映時間:86分
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Posted byserpent sea

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