ピエール・プロブスト『カロリーヌのぼうけん』

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 ピエール・プロブスト(Pierre Probst)絵と文, 土家由岐雄文『カロリーヌのぼうけん』(“Le voyage de Caroline"『オールカラー版 世界の童話 35 カロリーヌのぼうけん』小学館 1971 所収)

 〜機会があれば「ひとくいじんしゅ」が出てくる話も紹介します。なんて書いてから随分経ってしまったが、ちょっと前に読み直したのでこの機会に紹介します。

「カロリーヌ・シリーズ」について大まかにいうと、フランスの少女カロリーヌが仲良しの動物たちと一緒に、海や山やサーカスや月面に出かけてはひたすら戯れるだけ、という潔い作品。カロリーヌはみんなの引率役のお姉さん的なキャラで、ときには年相応に率先してはしゃぐこともある。この『カロリーヌのぼうけん』ではヒョウのピトーから手紙で誘われて、みんなでインドへ向かう。

 ※そんな本の中身を下の「続きを読む」から少しだけ紹介↓シリーズの概要については『カロリーヌのつきりょこう』(←前の記事へのリンクです)のところで書いたので、今回はキャラクター紹介が多めになってます。

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 汽車に乗って出発。運転手は黒い子犬のピポ。マイペースで乗り物大好きなピポは今回も大活躍する。おともだちのレギュラーは8匹は、普段から一緒に暮らしているわけではない。ここにいるのは6匹。ライオンのキットと手紙をくれたピトーは不在。一応猛獣枠のおともだちは別枠で輸送されることもある。カロリーヌの帽子入れから顔をのぞかせているのは、チビで白黒の子犬のボビー。ピポに輪をかけてマイペースで、よくカロリーヌにお世話されている。

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 夜汽車。レールの音が聞こえてきそうな素晴らしい雰囲気だ。窓外には星が瞬いている。しかし眠ってるのはカロリーヌとボビー、子熊のプムの3匹だけ。いたずら大好きな黒猫のノアローはいらんことばっかやってるし、縮れ毛の子犬のユピーは何か食べてる。このユピーはTPOお構いなしに食べ物に執着を見せる、無邪気な腹ペコキャラである。

 カロリーヌたちが乗車している列車は、ピポが運転する機関車に、客車が一輌、貨物車が一輌という贅沢な編成。当然貸し切り。しかも貨物車には、カロリーヌがお父さんとお母さんから貰ったというヨットが積まれている。

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 途中でライオンの子のキットと合流したカロリーヌたちは、積んできたヨットで海に乗りだした。ここでもピポの有能ぶりが発揮されている。楽々とヨットを操る姿が頼もしい。ところが快走してたのは最初のうちだけで、一天にわかにかき曇り、大嵐に遭遇。大慌てでセールを畳むカロリーヌだったが、おともだちには危機感がない。プムは帆船模型作ってるし(しかも上手い)、ユピーは何か食べてる。キットは船に弱いらしく、乗船してからずっと船酔いをしている。

 このあと奮闘虚しく荒れた海面に投げ出されたカロリーヌたちは、幸いにも近くの孤島に漂着するのだが……。

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 カロリーヌたちが漂着したのはトーテムが立てられ、怖ろしい人喰い人種が暮らす島だった。浜辺のカロリーヌたちに気付いて、押し寄せてくる人喰い人種。そこでみんなはトーテムのフリをして積み重なると、一斉に吠えて人喰い人種を撃退した。ちなみにカロリーヌはというと、みんなの後ろの草叢に隠れて様子を窺っていたのだった。

 人喰い人種登場。BL出版から刊行されている「カロリーヌとゆかいな8ひきシリーズ」には、残念ながらこのエピソードは収録されていない。この人喰い人種がまずかったのだろうか。だとすると「カロリーヌのヨーロッパりょこう」が未収録なのはなぜだろう。

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 人喰い人種は勘弁、てことで島からさっさと脱出する一行。驚くべきサバイバル能力だ。ピポはばっちり見張りをしてるし、キットはまたしても船酔い、ユピーはバナナを頬張っている。いつも通りすぎる。黒猫のノアローはいたずらだけじゃなくて楽器も得意で、折に触れて腕前を披露する。このあと小舟で出迎えにきていたピトーと再会して、カロリーヌたちは無事インドに到着する。衣類を筏のセールに使ってしまったために、原住民風になっている衣装が素晴らしい。

 ところで『HUNTER×HUNTER』のキメラアント編に出てくる王直属護衛軍の三人の名前の元ネタが、この作品に出てくるユピー、ピトー、プフなんじゃないかという話をネット上で見かけた。確かに偶然とは思えない気もするが、自分は『HUNTER×HUNTER』のTVアニメの方は見たことがあるけど、原作を読んだことがないので詳細は不明。もしかすると作者が何か言ってるかもしれない。

 このエピソードが収録されている『カロリーヌのぼうけん』には、カロリーヌ史上屈指の可愛さを誇るカロリーヌが登場する「ふしぎのくにのカロリーヌ」("Caroline a travers les âges”)、おともだちがまだ6匹しか出てこない初期の作品「カロリーヌのすてきなパーティー」(“Une fête chez Caroline”)が併録されている。



『オールカラー版 世界の童話 35 カロリーヌのぼうけん』
 小学館 1971
 著者:ピエール・プロブスト(Pierre Probst)
 訳者:土家由岐雄/福島のり子
 監修:波多野勤子/浜田廣介/村岡花子
 編者:教育童話研究会

 収録作品
 「カロリーヌのぼうけん」(“Le voyage de Caroline”)
 「ふしぎのくにのカロリーヌ」("Caroline a travers les âges”)
 「カロリーヌのすてきなパーティー」(“Une fête chez Caroline")

 ISBN-13:978-4-0924-7035-4
 ISBN-10:4-0924-7035-5
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Posted byserpent sea

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