山口敏太郎『恐怖・呪い面 ~実話都市伝説』

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 山口敏太郎『恐怖・呪い面 ~実話都市伝説』TOブックス(ティー・オーエンタテインメント) 2013 TO文庫

 前に感想を書いた『恐怖・呪い姫 ~実話狂気怪談』(←前の記事へのリンクです)が予想外に面白かったのと、移動中に気軽に読めそうってことで読みはじめた。超気合の入った前書きには、読者は「実話と称する創作怪談とは違う “真の怪異証言が” あることを知るだろう」(p.3)なんて書いてある。
 内容は著者の生い立ちから現在に至るまでの自伝的なエピソードが全31話。だいたい時系列に沿って収録されている。もちろん怪異絡みの話ばかりなのだが、都市伝説って感じでもない。怖いというより不思議な話が多く、ノスタルジックな印象。その傾向は幼少時ほど強く、成長に伴って前述の「呪い姫」にあるような生臭く、狂的な話が増えていく。またいくつかのエピソードには目撃現場の写真が附載されていて、実話っぽさをより強めている。

 ファンタジー色強めの幼少時のエピソードの中にも、「昭和50年代初頭」のように強烈な怨霊にまつわる話がある。著者が友達とともに目撃し、長らく憑かれることになった女の霊の話である。彼女は焼身自殺を図ったらしく、怖いもの見たさでその現場を訪れた著者たちにとり憑き、その家族にまで障りを及ぼした。火事と女の霊の赤い服、やっぱ赤い怪異は火の気を呼ぶのだろうか。
 四国時代の著者はクラスメイトや兄弟とともに様々な怪異に遭遇する。銀色の巨人だったり、手首だったり、怪しい飛行物体だったり。幼少時のエピソードの多くは複数人での目撃談である。四国を離れて以降は著者の判断によってはじめて怪異となるような、主観的なエピソードが目につく。その要因としては四国から首都圏へという環境の変化もあるだろうし、著者の成長によるものも大きいかと思う。

 四国時代のエピソード「見えない、見えない」は、校庭で同級生たちと一緒に謎の飛行物体を目撃する話である。クラスの男子全員がその物体を見たのだが、担任の先生にはそれがどうしても見えなかったという。このエピソードの終わりに著者はこう記している。「大人には見えないものがある。その日私が理解した“社会の仕組み”」であった」(p.60)。
 幼少時を思い出してみても、自分にはあの頃にしか見えなかったものがあったかどうか、さっぱり分からない。忘れてしまってるのかもしれないし、もともと何もなかったような気が大いにする。きっとそういう超常的な感性を持ち合わせてないのだろう。
 忘れてしまってるといえば、自分は子供の頃、その辺に落ちてる鳥類の羽根を拾ってきてはコソコソと収集していたことがある。多くはカラスの羽根で、たまにサギやその他の鳥のグレーの羽根があった。かなり溜め込んだところで、気味悪がった母に捨てられてしまったのだが、なぜアレを夢中になって集めていたのかさっぱり分からない。小引出しにぎっしりの鳥の羽根の、どこに魅力を感じていたのだろうか。




『恐怖・呪い面 ~実話都市伝説』
 TOブックス(ティー・オーエンタテインメント) 2013 TO文庫
 著者:山口敏太郎

 ISBN-13:978-4-8647-2127-1
 ISBN-10:4-8647-2127-0
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