『遊星よりの物体X』

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 遊星よりの物体X

 放射能を放つ飛行物体が墜落した。異常を感知したアラスカの研究所は「ヘンドリー大尉」率いる調査団を派遣、氷に埋もれた巨大な円盤を発見する。世紀の大発見である。ところが氷を溶かすために用いた爆弾によって円盤を破壊してしまう。幸いにも乗員らしき生物の氷漬けの死体が見つかったため、調査団は周囲の氷ごと死体を切り出して基地に持ち帰った。
 その夜、倉庫に運び込まれた冷凍生物は、所員のミスにより復活。所員や犬を遅い、極寒の屋外に逃亡を図る。怪生物は謎の遊星から飛来した植物由来の怪物で、動物の血液を吸って成長するらしい。調査団に同行していた「キャリントン博士」によって、怪生物「物体X」の種子が驚くべき速さで成長、増殖し、人類の脅威になり得ることが判明する。殲滅か研究のための保護か、物体Xをめぐって対立する軍と科学者チーム。彼らに物体Xの脅威を退けることができるのだろうか。

 ちょっと前に原作『影が行く』(←前の記事へのリンクです)を読んだからってわけでもないが、ハワード・ホークス製作「物体X」見返してみた。自分がこの作品を知ったのは小学生の頃で、友人から借りた藤子不二雄の『まんが道』に、主人公が感激した映画として取り上げられていた。それ以前にコロタン文庫的な児童書のモノクロページに、物体Xの画像が載ってたのを見かけたような気もするが、あまり興味を持てなかったのか記憶は曖昧だ。実際にこの映画を見ることができたのは『まんが道』から随分経った頃だった。当時はすっかりジョン・カーペンターの『遊星からの物体X』(1982)のファンになってたし、原作も読んでいたので、最初からカーペンター版や原作小説と比較しつつ鑑賞した。

 何回見てもかっこいいタイトルバックをはじめ、ジョン・カーペンターがオマージュしたシーンを探すのも楽しい作品だが、『遊星よりの物体X』『遊星からの物体X』この二本の映画のテイストは全く異なっている。カーペンター版が閉ざされた環境下で疑心暗鬼に陥る隊員を描いたサスペンスフルな作品なら、こちらは物体Xと調査団との真っ向勝負をストレートに描いた快作である。
 本作の物体Xは植物由来のヒューマノイドで、他の生物を吸収してその姿に変身する能力を持たない(そのため血液検査のシーンもない)。代わりに種子によって爆発的に増えるという設定が付与されている。劇中ではその脅威がじっくりと説明されるが、人類存亡の危機って感じはいまひとつしない。ドアを盛大に破壊して基地内に暴れ込むといった怪物の暴力的な挙動の方が、設定上の吸血、増殖の怖さを凌いでいるように感じた。この怪物の特徴がそのまま映画の方向性を決定づけているようだ。
 この物体Xのソフビキットがビリケン商会から出た時には、そのじみーな感じにどうにも食指が動かなかったが、何度か見ているうちに味わい深いモンスターだなって思うようになった。死にっぷりもそこはかとなく可哀想で好感が持てる。

 今回見たディスクには、英語音声、日本語字幕の他に、TV版日本語吹替音声が収録されている。吹替大好きなので嬉しい。映像特典は「オリジナル劇場予告編」2分収録。



『遊星よりの物体X』(“The Thing from Another World”)
 1951 アメリカ
 監督:クリスティアン・ナイビー
 出演:ケネス・トビー/マーガレット・シェリダン/ロバート・コーンウェスト/ダグラス・スペンサー/ジェームズ・アーネス
 映像色 : モノクロ
 上映時間:87分
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Posted byserpent sea

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