『ほんとにあった怖い話〈24〉芸能界編』

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serpent sea
ほんとにあった怖い話〈24〉芸能界編』朝日ソノラマ 1994 ハロウィン少女コミック館

 第24巻は今回で4回目になる「芸能界編」。巻を重ねるごとに少しずつメジャーな人が増えてきたのか、今回は6人の語り手のうち4人が知っている人だった。前巻は少女マンガっぽいタッチで統一されていたが、この巻には少女マンガと少年マンガのタッチのエピソードが混在している。作画の端正さについては断然少女マンガっぽい方で、かなりレベルが高い。とはいえ心霊マンガにとって端正な作画は諸刃の剣。ときには少々崩れた絵の方が雰囲気が良かったりする。今回はそれを再認識することができた。

 収録されたエピソードは6編、通常より少ない分それぞれのエピソードは長めで、ひとつのエピソードに複数の体験談が詰め込まれている。臨死体験など多少かぶるネタはあるものの、わりとバラエティに富んでおり、どの話も退屈せずに読めた。中でも特に印象に残ったのは最も短いエピソード『消えたビデオテープ』だった。女性の語り手によって、一人暮らしの部屋での心霊体験と、福島県のダム湖のそばにあるレコーディングスタジオでの体験が語られる。
 レコーディングの後、語り手は複数のスタッフとダム湖に赴いた。肝試しである。この時に撮影したビデオに異常が生じていたのだ。夜の湖畔、墓標のような枯れ木の傍らに、そこにいなかったはずの男が写り込んでいる。
 このビデオの内容と鑑賞会の様子が本エピソードのクライマックスで、一連の描写は後年映像化された『リング』(1998)の劇中ビデオを彷彿とさせる。それまでやや不安定だった少女マンガのタッチは、心霊描写になった途端、細密画のような非常に個性的なタッチに切り替わり、異様な雰囲気を盛り上げる。寡聞にも自分は作画を担当した美濃みずほのことをこのシリーズでしか知らないのだが、読者を怖がらせる手腕は確かで、心霊描写に関して高いセンスを感じさせる。このジャンルの近作があるなら是非読んでみたいと思う。



『KABUKI往生要集』語り・有村“氏神”一番 大槻セイシロー 画・七色虹子 ’92『ほんとにあった怖い話』7月号 掲載 ※臨死体験・路上の怪

『復活の儀式』語り・沢井小次郎(幕末塾) 画・有久祐子 ’92『ほんとにあった怖い話』3月号 掲載 ※交霊会・予知夢・UFO

『死人の残像』語り・志垣太郎 画・時任竹是 ’91『ほんとにあった怖い話』11月号 掲載 ※守護霊・路上の怪

『霊感チャンピオン』語り・渡嘉敷勝男 画・丸傳次郎 ’92『ほんとにあった怖い話』5月号 掲載 ※路上の怪・虫の知らせ

『消えたビデオテープ』語り・新島弥生 画・美濃みずほ ’92『ほんとにあった怖い話』11月号 掲載 ※心霊ビデオ・心霊スポット

『笑ってらんない怖い話』語り・ダチョウ倶楽部 画・森須久依 ’92『ほんとにあった怖い話』9月号 掲載 ※心霊スポット・路上の怪



『ほんとにあった怖い話〈24〉読者の恐怖体験談集』
 朝日ソノラマ 1994 ハロウィン少女コミック館
 著者:七色虹子 他

 ISBN-13:978-4-2579-8527-3
 ISBN-10:4-2579-8527-5
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Posted byserpent sea

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コトタマ  
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2018/07/16 (Mon) 20:53 | EDIT | REPLY |   

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