「バルタン星人(2代目)」について

 正月休みはアニメ見ながらプラモ三昧を予定していたのだが、部屋をシンナー臭くするとまずいってことになったので、プラモ三昧の企画はなしになってしまった。そこで正月休みはアニメ見ながら粘土三昧に変更。これならシンナー臭くならないし、幸い冷蔵庫には余った粘土が長期保管中。以前作っておいた「芯」もどっかにあるはず。お題は『ウルトラマン』に登場した「バルタン星人(2代目)」に決定。ポーズは胸部を展開してるとこ……。

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 ……というわけで、載せるほどのものじゃない気もするけど、正月休み四日間&そのあとヒマを見つけて、チビチビここまで作ったところで粘土がなくなりました↑ バルタンならこのくらいの量でOKかなーと考えたのが甘かった。残念。
 素材は以前半額セールで買った「ラドール」と1/4くらい残ってた「ファンド」。だいたいラドールの芯をファンドで覆う感じで作ってますが、結構適当です。粘土を混ぜてみたりもしてます。実物より多少プロポーションが良くなってますが、その辺は好みってことで。サイズは一応120ミリ。
 製作に使ったツール類はごく少ないです↑ 2本のデザインナイフは新しい刃用のと、切れ味の悪くなった刃用のです。てきとーにザクザク削る時は、古い刃を使ってます。せこい。あと他には筆と金属製のヘラ(スパチュラ)。
 主な資料はCSのファミリー劇場でやってた『ウルトラマン HDリマスター版』と、ホビージャパン刊の資料本『大ウルトラマン図鑑』(詳細は後述)。これで後頭部、スカートの裾(下の方)以外のディティールはほぼ把握できる。

 このバルタン星人(2代目)が登場するのは『ウルトラマン』の第16話「科特隊宇宙へ」で、第2話に続いて再度地球侵略を目論んだバルタンが、ロケットの開発競争に割って入る。記憶にはストーリーよりも特撮の派手さばかりが残っていたのだが、改めて見返してみるとファンタジー色の濃いシリーズの中にあって、SF色の濃いクールなエピソードだった。慎重で保守的なイメージの岩本博士のロケットが、とんでもない形状だったのが面白かった。
 特撮面では八つ裂き光輪、テレポート、光波バリヤーなどなど、多彩で見栄えのいい光学合成がてんこ盛りで、非常に見応えがある。なかでも印象的なのはR惑星と空港の抜けるような青空。怨念と光学兵器で武装した褐色の異星人と、それに対峙するシルバーの巨人(しかもBタイプ)の勇姿がよく映える。

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 ↑成田亨『成田亨画集 ウルトラ怪獣デザイン編』(←前の記事へのリンクです)朝日ソノラマ 1984 p.36

 バルタン星人と聞いてほとんどの人が思い浮かべるのが、第2話「侵略者を撃て」に登場した「バルタン星人(初代)」だと思う。青くてハサミのでかいやつ。昆虫と人間をミックスした宇宙生物というコンセプトの特撮モンスターには、有名なところで『宇宙水爆戦』(1955)の「メタルナミュータント」という先例があり(セレナイトもかな)、目と腕(ハサミ)の処理、配色、金属っぽい質感に薄っすら共通点こそ感じられるものの、やはり初代バルタンの独創性、キュラクター性はハンパない。造形は大胆で迷いがなく、もともとこんな感じの生き物なのかサイボーグなのか判然としない、まさに侵略者! って感じのキャラを見事に表現している。しかも全くグロテスクさを感じさせないのがすごい。オーソドックスなBEM像から完全に脱している。
 よく知られているように、バルタン星人(初代)の着ぐるみは『ウルトラQ』に登場した「セミ人間」の着ぐるみ(頭部)をベースに造形されており、上の成田亨によるデザイン画とはかなり差異がある。バルタン星人という希代のキャラクターが、たまたまっぽく誕生したのが面白い。

 バルタン星人(2代目)の着ぐるみは、撮影に際して初代の着ぐるみがダメになってしまっていたので新たに作られたらしい。『大ウルトラマン図鑑』には「バルタン再登場篇の特撮初日、現場ではてっきり初代バルタンが届くものと思っていたところへ、佐々木明は新造したこのバルタンを持参した」(p.132)とある。佐々木明はウルトラマンや「ウルトラセブン」のマスクを製作した造形家・彫刻家である。造形が変更された理由は明記されていないが「どうやら彫刻家の血がさわいで、デザインに忠実なバルタンをと考えていたようだ」(p.132)と推測されており、確かにバルタン星人(2代目)は造形、彩色ともによりデザイン画に近く、シャープで実にかっこいい。実は着ぐるみの頭部は結構でかいんだけど、劇中で頭でっかちな印象はない。ウルトラマンよりもスマートに感じられるほどだ。そして2代目には初代にはないギミックが備わっていた。ウルトラマンのキメ技、スペシウム光線を跳ね返すために胸部のブロックが観音開きに開閉するのだ。『大ウルトラマン図鑑』のキャプションには「その発想よりも体を改造するバルタンの無機質な神経がこわい」(p.132)とあり、全く同感なんだけど、そもそもバルタンはどこからどこまでが生身なんだろうか。腰から上が全て宇宙服のようにも見える。劇中のバルタン星人(2代目)は、いくらあがいても全然ウルトラマンに届かない感がやけに切なく感じられるが(そこでなぜ飛んだ! とか)、中身がウルトラマンみたいな形態の異星人だったらもっと切ない。以下『大ウルトラマン図鑑』について↓

 

 西村祐次, ヤマダ・マサミ共著『空想特撮美術体系 大ウルトラマン図鑑』ホビージャパン 1996

『ウルトラQ』『ウルトラマン』に登場する全93体の怪獣、怪人、宇宙人(ウルトラマン含む)を多数の画像で紹介、検証する図鑑。科特隊のメカや「イナズマ号」なども収録されている。本書のユニークなのは怪獣造形のための資料集として編集されているところで、そのため普通の怪獣図鑑では見かけない角度で怪獣を捉えた写真や、ディティール写真がずらっとびっしり並んでいる。キャラクター1体につき1~4ページが割かれていて、使用されている画像は番組宣伝用スチール写真、フィルムから抜き出した画像、着ぐるみの造形スナップなどなど。NG版ウーとゴルドンの製作スナップが初出となっている。

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 本書は『ウルトラQ』『ウルトラマン』がHDリマスター化される以前に刊行されており、フィルムから抜き出された画像は現在見られるHDリマスター版の映像の方がより鮮明である。バルタン星人(2代目)に限れば現行の映像よって、背面や側面をかなりいいところまで把握することができた。彩色に関しても同様である。本書にはカラー口絵こそついているものの本文がモノクロってこともあり、彩色についての言及はごく少ない。ただそうしたことによって、この本の価値が損なわれることはない。これだけの情報が一冊にまとまっているというのはやはり貴重だ。
 もともと自分は造形を目的にこの本を買ったわけではない。それでも長らくページを漫然と眺めたり、キャプションを読んだりしてるうちに、この怪獣作ってみたいなーと思うようになった。「ケムール人」「セミ人間」「ネロンガ」「ガボラ」「ギャンゴ」「ガマクジラ」等々、作れるかどうかはさておき、挙げればきりがない。怪獣好きだったら、造形する人にもしない人にもおすすめできる本だ。怪獣はあんまりって人でも、この本を眺めているうちに好きになるんじゃないかと思う。



『空想特撮美術体系 大ウルトラマン図鑑』
 ホビージャパン 1996
 著者:西村祐次/ヤマダ・マサミ
 監修:円谷プロダクション

 ISBN-13:978-4-8942-5109-0
 ISBN-10:4-8942-5109-4


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