『本当にヤバイ ホラーストーリー ケータイ地獄』

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serpent sea
 

 永遠幸 地獄少女プロジェクト, ナフタレン水嶋, 秋本葉子, 福月悠人, 大塚さとみ,立樹まや著『本当にヤバイ ホラーストーリー ケータイ地獄』講談社 2012 講談社コミックスなかよし 1368

 第1巻「友だち地獄」に続く第2巻は「ケータイ地獄」。2巻目にしてなんとも足が早いネタ持ってきたなーって感じ。冒頭、閻魔あい嬢が出てきて「あなたは携帯電話をもっていますか? 今回は携帯電話にまつわるお話…」なんてアナウンスをしてくれるのだが、全エピソードの登場人物が誰一人として携帯電話を「電話」として使用してなかった。どちらかというと「ネット地獄」。
 収録作は全部で6編、うち1編は前巻に続いて『地獄少女』のスピンオフっぽい作品、それから心霊4コマ『うしろの心霊ちゃん』が2ページ3話×3回という構成で収録されている。「ケータイ地獄」とはいうものの、基本的にはケータイをきっかけに生じる対人関係の悩みやすれ違いをテーマにしているため、印象は前巻の「友だち地獄」によく似ている。多少教訓めいたところも同様。また前巻には微妙に実話怪談っぽいニュアンスのエピソードが含まれていたが、それらしい話は今回はなし。
 
『理科室のふたり』立樹まや
 主人公は中学二年生の「ミキ」。家業が芸能プロダクションってことで、学園ヒエラルキーはバカ高く、取り巻きも多い。しかしそんな取り巻きの中に一人、どうにも癇に障るクラスメイトがいた。うろちょろ寄ってくるわりに、ミキのことを崇めようとしないのだ。しかも謎のイケメンと仲良くしているらしい。二人がいつでも理科室でイチャイチャしてると聞きつけて、さっそく横槍を入れるミキだったが……。
 こう見えて古典的な学校の怪談を一捻りしたエピソード。怖さはそうでもないけど意外性があった。携帯は一応カメラとして使ってたりするけど、全然ストーリーに絡んでこない。グロテスクな表現は、対象読者の年齢層を考えると充分か。登場人物の間で最も重要なのは空気を読めるかどうか。幼いうちからサバイバルだなー。

『オトモダチ』福月悠人
 クラス委員の「小花」は入学式の日に入院したクラスメイトの「梨穂」と頻繁にメール交換をしていた。「メールってたのしいなぁ♪」なんて思いながら、学校生活の細々とした出来事を書いて梨穂に送信する。そんな風に過ごしていた矢先、クラスで不幸が起こった。テストで一番をとったクラスメイトが轢き逃げにあったのだ。つい先日も自分がテストで二番だったことを梨穂にメールしたばかりなのに。そこに梨穂からメールが届いた。「よかったネ(・▽ < )⌒☆」
 この後も似たパターンのの出来事が続く。ありがちな呪い系の怪談かと思いきや、超常現象の発生しないサイコものだった。真犯人は静かに狂っていた身近な人物で、前話に続いて意外性があってよかった。収録作品の中ではピカイチのエピソード。

『うしろの心霊ちゃん』ナフタレン水嶋

『教えてあげる』秋本葉子
「杏菜」は著しく優柔不断な、決められない女だった。メニューからなにから、全然決められない。そんな彼女にもってこいなアプリがあった。それが無料相談アプリ「KKR」である。「悩みを相談してね! なんでもおこたえします」とある通り、とにかくなんでも答えてくれる。KKRの答えの通りにやっていれば間違いない。すっかり頼りきりになった杏菜だったが、いつもスマホに向かってブツブツ呟いている様子を、キモいというクラスメイトがではじめた。いじめの対象になったのだ。それを相談すると、KKRはこう答えた。「邪魔なものを除去しましょう☆」
 ピンときた人がいるかもしれないが、コックリさんものである。「KKR」→「コックリ」ということらしい。アプリのマスコットもキツネだったりする。スマホ、アプリと装いは異なっているが、ストーリーは古典的。古い話がこんな風に生き残っていくのかと思うと、なんだか頼もしい。劇中、コックリさんについての軽い解説もある。
「コックリサン…? なんなの? それ…」「むかしはやった占いみたいなものかな? 」

『うしろの心霊ちゃん』ナフタレン水嶋

『消えないアドレス』大塚さとみ
「莉音」は高校一年生。買ったばかりのケータイを修理に出したところ、代用に借りたケータイに知らない人のアドレスが入っていた。思い切ってメールしてみると、相手は一つ上のイケメン。それを知った友達の「萌愛」が、自分が付き合いたいと言い出した。
 これも大筋はどこかで聞いた感じの話。実はこのイケメン、一年前に「ひどい死に方をしている」らしい。第1話の『理科室のふたり』にも似ている。『ちゃお』じゃなくて『なかよし』だけど、キャラのネーミングはさくら学院ぽい。

『うしろの心霊ちゃん』ナフタレン水嶋

『地獄少女 仮想世界の友だち』永遠幸 地獄少女プロジェクト
「美月」はMMORPG「ジゴ・クエスト・オンライン」に夢中だった。毎日いつものパーティでクエストに精を出している。メンバーは皆、美月より年上らしく、なにかにつけて彼女を可愛がってくれる。それが心地よかった。ところがある時、パーテイの一人が美月の写メを見たいと言い出した。「制服姿がいいな(^_^)☆ 夏だし水着でもいいよ」結局彼女は追放されてしまうのだが、後日こんなメールが届いた。「おまえのせいだ おまえなんて この世界から消えろ やめろ やめろ やめろ」……そしてある夜、何者かが美月の部屋に侵入した。
 ほぼSAOな感じのエピソードに、地獄少女がフュージョン。閻魔あいが「魔王が あらわれた!」と登場したり、相当カオスなエピソードである。大部分を占めるゲームの世界の描写はざっくりだけど、リアル世界の侵入者の描写は短いながら上々。



『本当にヤバイ ホラーストーリー ケータイ地獄』
 講談社 2012 講談社コミックスなかよし 1368
 著者:永遠幸 地獄少女プロジェクト/ナフタレン水嶋/秋本葉子/福月悠人/大塚さとみ/立樹まや
 ISBN-13:978-4-0636-4368-8
 ISBN-10:4-0636-4368-3


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Posted byserpent sea

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