並木伸一郎『モンスターUMAショック』

 並木伸一郎『モンスターUMAショック』竹書房 1994 竹書房文庫

 寝る前に読む本と同じくらいチョイスが重要になってくるのが、移動中に読む本だ。気楽に読めて、適度な刺激があって、中断してしまうことになるから、ストーリーのある本はできれば避けたい。どこから読んでもOKならなおいい。そんな時に重宝するのがオカルト系の本、短い体験談がたくさん載ってる実話怪談集や、UMA本だ。
 そこで今回はこの『モンスターUMAショック』を久々に再読してみた。表紙カバーに瑞洋丸の甲板に吊り下げられたニューネッシーをいっぱいに用い、帯にはパターソン・フィルム、さらには「証拠写真100点公開」なんて書いてある。発売時期を考えるとさすがにマンネリだろって気もするが、最強の布陣であることに間違いはない。表紙で釣って、勢いでさらっと読ませる、そんな感じの方針で編集されている。

 内容はカラー口絵8ページ、モノクロの本文は雑な感じで5章に分かれている。基本、写真と解説という構成だが、いくつかの項目には実話調の目撃談・遭遇談が採用されている。ラインナップはUMAと宇宙人、モンスターっぽい謎の生物全般。獣人タイプUMAの「ビッグフット」「ヨーウィ」、水棲UMAの「キャディ」「ネッシー」、謎の生物「ドーバー・デーモン」などなど、おなじみのメンツだ。一体について一項目が設けられており、目撃者によるイラストも多数収録。また各章の間には「UMA写真館」として、有名どころのUMA写真をキャプション付きで紹介している。

 この本が出た1994年には記憶に残る出来事があった。当時は直近のツチノコブームも今は昔って感じで、UMA業界は正直停滞していたように思う。そこに追い討ちをかけるように、例の「外科医の写真」のフェイク騒動が持ち上がったのである。もともと疑問視されてきた写真だけに、UMAファンにとってはやっぱりかーって感じだったんだけど、ワイドショーなどで取り上げられて、やっぱネッシーはいなかった的な論調で語られた。
 この本はそんな状況下で刊行されている。上記のような軽めのコンセプトの本ながら、「外科医の写真」の一件を踏まえた上で「モンスターは実在する!」と記した巻頭巻末の著者の言葉は、悲壮感が感じられるほど熱い。さらにこうも書いている。「キャディの目撃や、新たな怪獣探査により、太古のロマンが一気に再燃しそうな気配である。」(p.229) この言葉通り、翌年には待望の新キャラ「スカイフィッシュ」「チュパカブラ」が賑々しくデビューし、トルコのヴァン湖では水棲生物の素晴らしい映像が撮影された。これらはTVでも大きく取り上げられ、UMA業界は再び活況を取り戻していく。以下目次に沿って内容を紹介。

「PART1 スクープ! 私はモンスターを激写した!」
 最初の章はUMA宇宙人ごちゃ混ぜの章。「宇宙から来たモンスター」「沼地のビッグフット」「超能力猛獣モギィー」など、怪生物を激写した際のレポートである。この時点で最も新しく公開された最古の「ネッシー」画像(ヒュー・グレイの写真よりも古い)も、新聞紙面の転載という形で掲載されている。

「UMA写真館 漂流漂着したUMAたち」
 有名なグロブスター系の怪物の写真を6枚収録。それぞれにキャプションがついている。表紙の「ニューネッシー」はここで紹介。UMAファンなら見たことのある写真ばかりだと思う。

「PART2 戦慄と恐怖、怪奇生物クリーチャー」
 モンスターの収録数が最も多いのがこの章。「カエル男」「トカゲ男」「鳥人オウルマン」「ヒツジ男」などなど、ショッカーの怪人みたいなUMAがメインに取り上げられている。「ドーバー・デーモン」もこの章。記事は現場の写真、スケッチ、遭遇談で構成されていて、読み応えがあった。特に自動車と並走する「トカゲ男」の話は本書の中でもトップクラスの面白さ。それから世界的な知名度は不明ながら、日本では根強いファンのいるニュージーランド沖の怪物「カバゴン」もここで紹介されている。

「UMA写真館 カメラマンがキャッチした獣人たち」
 獣人タイプのUMAの写真を4枚収録。キャプション付き。ベネズエラの獣人の「モノス」もここで紹介。

「PART3 現代に甦った伝説のクリーチャー」
 獣人、哺乳類っぽいUMAをまとめた章。イギリスの「黒犬」、アメリカ・イリノイ州の獣人UMA、アメリカの「人狼シャギー」、オカルティックな有名UMA「ジャージー・デビル」の4例を収録。目撃談・遭遇談中心の構成。イリノイ州の獣人UMA「泥まみれの化け物」の目撃スケッチがひどい。

「UMA写真館 海と湖に出現したUMAたち」
 水棲UMAの写真を6枚収録。「リーン・モンスター」「ネッシー」「モーゴウル」「マニポゴ」「モラーグ」の有名な写真が集められている。キャプション付き。

「PART4 現代にタイムスリップした白亜紀の世界」
「白亜紀の~」というだけに、恐竜を連想させる陸海空のUMAを収録した章。本書刊行時点で直近の目撃例があったカナダの「キャディ」が大きく取り上げられている。目撃談、スケッチ、死骸の写真、考察からなる記事は、本書の目玉だけに読み応えがあった。西アフリカの「海竜ガンボ」の記事では、関連としてUMA目撃例の中でも歴史的、かつ劇的なUボートに吹っ飛ばされた未確認生物の話が紹介されている。他にアイルランドの「コエロフィシス」、アメリカの「翼竜」などを収録。

「UMA写真館 奇獣・珍獣たち」
 著者の本ではおなじみの「翼ネコ」をはじめ、怪しい動物5例を収録。「ジャッカ・ロープ」「ユニコーン」など。

「PART5 絶滅したはずの猿人・原人・動物が生きている!」
 メインは獣人タイプのUMA。なかでも「ビッグフット」にページが割かれていて、パターソン・フィルムの解析にも言及されている。他に「ヨーウィ」「アルマス」などメジャーどころを収録。

 写真が多い構成だけに、本文がモノクロなのは惜しい。めっちゃ見辛い写真もあった。収録された全ての目撃例に、目撃地点がかなり詳細に記されているのが良かった。短めの面白い目撃談・遭遇談がたくさん載ってるので、電車内で読むのにぴったり。



『モンスターUMAショック』
 竹書房 1994 竹書房文庫
 著者:並木伸一郎

 ISBN-13:978-4-8847-5913-1
 ISBN-10:4-8847-5913-3


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