『ほんとにあった怖い話〈21〉芸能界編』

ほんとにあった怖い話〈21〉芸能界編』朝日ソノラマ 1993 ハロウィン少女コミック館

 第2巻以来の「芸能界編」、前回は寡聞にも知らない人ばかりで困ってしまったが、今回はおそろしく豪華!!
 まず霊感ミュージシャンとして名を馳せた「池田貴族」、この本が刊行された頃から怪談にどっぷりの「つまみ枝豆」、説明不要の「人間椅子」。錚々たるメンツだ。さらに池田貴族の体験談には「宜保愛子」が、つまみ枝豆の体験談には「稲川淳二」が、それぞれに霊的なアドバイスをするゲストとして登場。豪華!! 残念ながら女子の中には知ってる人がいなかったのだが、さっき検索してみたところ、こちらもなかなかの顔ぶれのようだ。とはいえ、体験者のメンツが豪華だからといって、アンソロジーとして面白怖いとは限らない。芸能人編だけに、ホテルなどの宿泊施設、レコーディングスタジオ、TV番組の収録中といった、似たようなシチュエーションが重複してしまっており、ここまでの既刊分と比較して、やや水準を下回る出来となっている。

 それぞれの体験談には複数の霊体験が含まれていて、人から聞いた話はごく少なく、実際に話者が体験した話がメインである。収録されたエピソードの中で特に面白かったのは、つまみ枝豆の『怪奇ホテル』。作画はやや物足りなかったが、ダントツで面白かった。閉まりかけるエレベーターのドアの隙間から真っ赤なマニキュアをした腕がチラッと見える、その手がホテルのドアの下の隙間から入り込み絨毯を掻きむしっているなど、おどろおどろしい幽霊を登場させるのではなく、パーツの嫌なチラ見せで恐怖シーンをうまく盛り上げている。他のエピソードと比較してモダンな印象を受けた。
 深夜怖い話をしてた人ってイメージの池田貴族の体験談は、ライブハウスの機材トラブルにまつわる話や高校生の頃の心霊体験。作画はこのジャンルの大御所山本まゆり。人間椅子の体験談は初期メンバーでドラムスの「上館徳芳」が語る、金縛り、レコーディングスタジオにまつわる怪談。目新しいところはないが、少女漫画タッチで美化されたねずみ男スタイルの鈴木研一が見所。「みなさんイカ天って知ってますよね。僕たちはそこからデビューした人間椅子です」という冒頭のモノローグが時代を感じさせる。



『AM4:00の怪現象』語り・池田貴族 画・山本まゆり ’91『ほんとにあった怖い話』Vol.16 掲載 ※ライブハウスの怪談

『怪奇ホテル』語り・つまみ枝豆 画・林正之 ’91『ほんとにあった怖い話』Vol.13 掲載 ※金縛り・ホテルの怪談・TVの怪談

『人形は見ていた』語り・本田理沙 画・美濃みずほ ’92『ほんとにあった怖い話』1月号 掲載 ※人形の怪談・レコーディングスタジオの怪談・金縛り

『四人目の声』語り・人間椅子 画・丸傳次郎 ’91『ほんとにあった怖い話』Vol.14 掲載 ※金縛り・ホテルの怪談・レコーディングスタジオの怪談

『階段の怪談』語り・島崎和歌子 画・山口夏実 ’91『ほんとにあった怖い話』Vol.12 掲載 ※コックリさん・ホテルの怪談

『夢のお告げ』語り・麻倉未稀 画・山口夏実 ’91『ほんとにあった怖い話』Vol.15 掲載 ※ライブハウスの怪談・ホテルの怪談・レコーディングスタジオの怪談



『ほんとにあった怖い話〈21〉芸能界編』
 朝日ソノラマ 1993 ハロウィン少女コミック館
 著者:山本まゆり 他

 ISBN-13:978-4-2579-8249-4
 ISBN-10:4-2579-8246-7


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