木谷恭介『地獄大図鑑 復刻版』

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 木谷恭介『地獄大図鑑 復刻版』復刊ドットコム 2016

 毎年書いてる気もするが、12月はあっという間すぎる。12月に入る前に洗車に行って、バッテリーも変えるかなーって思ってから、もう数週間経ってしまった。やばい。今日はブラックウッドの感想を続けて書くつもりだったのだけど、この本について書くのをすっかり忘れてたのでこっちから書きます。

 今回めでたく復刊されたのは、ジャガーバックス・シリーズでもトラウマレベルの高い一冊、『地獄大図鑑』。2017年のカレンダーがおまけについてきた。
 本の概要については以前の記事(←前の記事へのリンクです)で書いたので割愛するが、原書と比較していくつか気付いたことがあった。印刷はこれまでの通り、くっきりはっきり、彩度高め、コントラストが強めで、原書よりも引き締まった印象。もともと原書のカラーページはやや彩度が低く地味な感じだったので、薄皮が一枚はがれたような彩度の高いカラーは新鮮だった。気になったのは二色刷りのページで、これまでも原書との差異は多かれ少なかれ生じていたのだが、今回はそれがマイナスに働いているように思う。赤色が弱いので、赤々、肉々した地獄の雰囲気が損なわれているように感じた(↓比較画像あり)。
 それからもう一点、今回の復刻本はこれまでのものより少し背が低い。おかげで手元の原書とぴったり同じサイズになったのはいいけど、今度は今まで出た復刻本と並べたときに一冊だけ背が低くなってしまった。うーむ……。目次は以下の通り。

「日本八大地獄」地獄のきわめつけ
「地獄への道」死者のたどる道は?
「死者の国」昔の人はこう考えた
「東洋の地獄」日本の地獄のみなもと
「キリスト教の地獄」ダンテによる集大成
「世界の地獄」各国の地獄をめぐる

「大ゆかいまんが 地獄におちた三人」
「巻末特別ふろく 最新版地獄案内」

 ※下の「続きを読む」より中身を紹介します↓


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「等活地獄」
「日本八大地獄」の章より。本書でも屈指のおぞましさ。コメントし辛いったらない。この本は子供の頃持ってなかったのだが、借りたかどうかして、このイラストを見たときのショックは忘れたことがない。鬼が人間をいたぶってるのはまあよしとして、当時は人が人を食べてるのがよく分からなかった。よく分からなかったけど、見てはいけないものを見たような後ろめたさがあった。石原豪人の作品。

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 ←原書、今回の復刻版→ である。分かり辛い画像で申し訳ないが、色味がかなり違っている。全く別の絵に見える、なんてことはないけれど、画面から受ける印象は異なる。血肉の臭いがしてきそうな原書、ダークな雰囲気の復刻版って感じ。

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「衆合地獄」
 これも「日本八大地獄」の章より。木俣清史によるもの。木俣清史は戦前の挿絵界の重鎮で、本書にはカバーイラストをはじめ多数の作品を提供している。本書のカラーを決定づけているこの日本画調の作品群は、子供の頃は今ひとつピンとこなかったのだが、細かなところまで神経の行き届いた見応えのある作品だ。原書のカラーページはぼわっとした紙質のせいかかなり発色が悪く、今回の復刻の鮮やかなカラーが実にありがたい。

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「第四の地獄」
「キリスト教の地獄」の章の「ダンテの想像したキリスト教の地獄」より。「けちんぼうと浪費家の地獄」らしく、金貨を奪い合う浅ましい亡者の姿が描かれている。イラストは多くの探偵小説、ジュブナイルの挿絵を手掛けた挿絵画家、田村元によるもの。この絵からは想像できないが、この人の描く女の子はめっちゃかわいい。

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「最古の地獄・埃の家 メソポタミア」
「世界の地獄」の章より。『ハムナプトラ2』(2001)に出てきたアレにそっくりなサソリ人間。面構えがいいですな。イラストは漫画家の好美のぼる。この人の担当するページも多い。
「世界の地獄」の章では他に「スカンジナビア」「ギリシア」「エジプト」「インカ」「北アメリカ」の地獄が紹介されている。

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「知っておきたい地獄めぐりの常識」
「地獄大図鑑 巻末特別ふろく 最新版地獄案内」より。「服装はなるべくカラフルに」とか「鬼と仲よしになるには……」などの項目がある。巻末に収録されたジョークっぽいページだが、ここに辿り着くまでに受けたショックを柔らげるにはいたらない。とはいえ天国と地獄どっちが見たい? って聞かれたら迷わず地獄だよなぁ。

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 今回の特典「オリジナル 2017地獄カレンダー」。「等活地獄」のイラストが用いられたB4サイズのカレンダー。

 ここでは紹介しきれなかったが、他にも石原豪人、柳柊二の素晴らしいイラストが多数収録されている。古今東西の地獄を堪能できる、地獄づくしの一冊。



『地獄大図鑑 復刻版』
 復刊ドットコム 2016
 著者:木谷恭介

 ISBN-13:978-4-8354-5437-5
 ISBN-10:4-8354-5437-5

 ※「復刊ドットコム」の販売ページ↓今回の「復刊ドットコムオリジナル特典」は「2017 地獄カレンダー」
 http://www.fukkan.com/fk/CartSearchDetail?i_no=68325239&tr=m

 

地獄大図鑑 復刻版』復刊ドットコム (←こっちはamazonへのリンクです)


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コメント

ついに本書が世に放たれる時が来たのですね
ジャガーバックス『地獄大図鑑』、ついに本書が世に放たれる時が来たのですね。
もっとも日本の地獄観は、スタートからして源信が外国の文献を馬鹿正直に翻訳して羅列しただけですから、元より無茶なところがあります。

源信が説く地獄の一つに「闇冥処」というのがありますね。
(等活地獄地獄の一つです)
そこは羊と亀を殺した人が堕ちる地獄だと源信は言うのですが、えらく限定された地獄です。
そもそも源信は「羊」なる生き物など見たこともなかったと思うんですけどね。

この調子なら「焼き肉をやたらひっくり返して油を全部落としたヤツ限定で堕ちる地獄」とか「自転車は「けった」だ!「チャリンコ」なんて言わねーよ!と主張しながらスクーターを「原チャリ」と呼ぶ名古屋人だけが堕ちる地獄」なんてあって欲しいです。

それでは更新を楽しみにしています。
Re: ついに本書が世に放たれる時が来たのですね
>>水引さん

コメントありがとうございます!
この本はシリーズにしては珍しく、比較的定説に則って書かれています。
なのにこの状況っていうのが、地獄のカオスさを物語っているように思います。
地域や宗教ごとに好きなようなこと言ってるなと。
ホラー映画のCMが怖すぎるとTV局にクレームが入る昨今、
この本が児童書のコーナーに並んでたら、リアクション凄そうです。

それにしても「ケッタ」って、名古屋人限定だったんですね。
知人はさらに「マシーン」をつけてかっこよく呼んでましたよ。

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