つのだじろう『霊劇画 真夜中のラヴ・レター〈2〉』

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 つのだじろう『霊劇画 真夜中のラヴ・レター〈2〉』主婦と生活社 1983 SJコミック

 前巻の方向性をさらに押し進めた第2巻。著者が出れば出るほど、ストーリー性と引き換えにドキュメンタリー色が強くなっていく。今回収録された「第6章」~「第9章」4話のうち、その傾向が強いのが「第7章」「第8章」。本編中、著者が登場しない「第6章」「第9章」とは対照的である。筆の赴くままの結果……なのかどうかは分からないが、読者を飽きさせないという点では実に効果的で、虚実の扱いに長けた著者の絶妙なバランス感覚なのかなとも思う。

 - 各話の霊障と雑感 -

「第6章 信濃川地縛霊」本格的なホーンテッド・ハウスもの。地方の旧家に移り住んだ相談者が、魔物化した多くの女工の霊に憑かれ、衣服のサイズが狂う、衣服を切り裂かれるなどの霊障を受ける。著者は本編終了後に、前巻の経過報告にのみ登場。オチも大掛かりで読み応えがある。

「第7章 色々な色情霊」このシリーズの主要テーマひとつ「色情霊」を大胆な手法で作品化している。大量に引用された「読者の手紙」がページを埋め、著者はいつも以上に気合いの入った様子で登場する。相談者は三名、それぞれが色情因縁によるエロい霊障に悩まされているが、その症状は三者三様で異なった経過を辿る。これまで小出しにされてきた精神医学に対する著者の不信感もしっかりと表現されている。

「第8章 心霊写真」「鬼怒川の心霊写真」の心霊ルポルタージュを軸にした心霊写真談義。「取材中の作者」「半分消えた著者」「動物霊の写真」など、つのだ作品の読者には馴染みの深い写真素材を多数使用しているが、印刷の都合で黒く潰れてしまっているのが残念。

「第9章 呪いのわら人形」勢いで上司を呪った相談者が、予想外の効果にびびって霊能者のもとに。アシスタントによるものと思われる作画が目立ち、量的にもボリューム不足の感は否めない。著者はいくつかの作品で「超能力」と「霊能力」の関係や、「丑の刻参り」系統の呪いを成就させる力について、その時々の持論を展開し、試行錯誤を繰り返している。この短編ではその辺りには深く踏み込まず、「超能力」と「霊能力」がコンクリフトを起こす前にさらっと物語を終わらせている。


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