『ほんとにあった怖い話〈16〉読者の恐怖体験談集』

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serpent sea
ほんとにあった怖い話〈16〉読者の恐怖体験談集』朝日ソノラマ 1992 ハロウィン少女コミック館

「この第15巻は整然としていて非常に完成度が高い」って書いた次の巻にしては……って感じの16巻。長い話と短い話が雑然と入り乱れていて、妙に読み辛かった。複数の体験が含まれる「第二話 憑かれたライダー」のような長めの話と話の隙間を、ほんの数ページの短いエピソード(古い別冊の中から未収録エピソードを収録)がざっくり埋めている。前巻と比べると作画もかなり後退しているように思う。全体に雑な印象。……とはいえ、構成や作画がこの手のコミックスの必要用件ではない。とにかく怖けりゃいいのだ。

 この第16巻の特徴はなんといっても幽霊譚に絞り込んだところである。ちょっと不思議な話や、たまに入ってる異世界譚や、コックリさんの話もない。最初から最後まで幽霊尽くしだ。その辺をウロウロすれば高確率で幽霊に当たる、全国の霊感少女たちが大活躍している。丸傳次郎による「第二話 憑かれたライダー」は、ドッペルゲンガーレベルの幽体離脱をしまくる霊感少女の話。絵柄は人物の判別がつき難い少女マンガタッチで、時系列はやや混乱気味だが、一つ一つのシークエンスはよく練られていて完成度が高い。直接的な描写を抑えて良質な怪談に仕上げている。同じ作画担当者による「第三話 血ぬられた旅館」は、京都の旅館の怪しげな部屋に泊まった投稿者の心霊体験。ごくオーソドックスな旅先の怪談で、寝てる布団の上に座る幽霊なんかが出てくる。このエピソードの投稿者は、孫と一緒に『ハロウィン』を読んでるらしい。おそらくこれまでで最高齢の投稿者だ。

 ほかにも心霊スポット巡りがしっかり定着していること、霊感少女と親しい間柄にある人物(友人、妹)による投稿が多いことなどが特徴として挙げられる。色々気になった事について書いたが、怖いかどうかという点に於いては一定の水準に達している。



『第一話 凍りついた瞬間(とき)』投稿者・東京都 みやさちこさん 画・みの瑞穂 ’91『ほんとにあった怖い話』VOL.16 掲載 ※学校の怪談・自動車の怪談

『憑かれたライダー 他』画・丸傳次郎 ’91『ほんとにあった怖い話』VOL.16、11月号 掲載
 「第二話 憑かれたライダー」投稿者・大阪府 小畑ハルミさん ※霊感少女・心霊スポット・路上の怪
 「第三話 血ぬられた旅館」投稿者・愛知県 羽田みしさん ※旅先の怪談

『第四話 不安の風景』投稿者・高知県 宮崎由紀子さん 画・ひとみ翔 ’91『ほんとにあった怖い話』VOL.16 掲載 ※霊感少女

『奇怪な最終バス』 画・谷ゆたか ’91『ほんとにあった怖い話』VOL.16、11月号 掲載
 「第五話 奇怪な最終バス」投稿者・宮城県 匿名希望さん ※霊感少女・路上の怪
 「第六話 霧ヶ峰幽霊寮」投稿者・千葉県 市原剛さん ※霊感少女・旅先の怪談

『第七話 生まれざる者の叫び』投稿者・北海道 本沢葉子さん(仮名) 画・とりのささみ ’86『ハロウィン』増刊『ハロウィン・ナイト』 掲載 ※病院の怪談

『恐怖!! 校内憑依譚 他』画・魔野幹矢 ’87『ハロウィン』10月号 掲載
 「第八話 恐怖!! 校内憑依譚」投稿者・神奈川県 P.N みすたあ・えっくすさん ※学校の怪談
 「第九話 社員寮の怪!?」投稿者・山形県 酒井小百合さん

『第十話 父の生き霊』投稿者・北海道 本沢葉子さん(仮名) 画・藤方萌葱 ’91『ハロウィン』8月号 掲載

「※印」は各話の簡単な分類。サブタイからは内容がよく分からない話などに適当につけた。投稿者名の敬称については作中の表記通り。



『ほんとにあった怖い話〈16〉読者の恐怖体験談集』
 朝日ソノラマ 1992 ハロウィン少女コミック館
 著者:みの瑞穂 他

 ISBN-13:978-4-2579-8210-4
 ISBN-10:4-2579-8210-1


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Posted byserpent sea

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