佐藤有文『日本妖怪図鑑 復刻版』

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 佐藤有文『日本妖怪図鑑 復刻版』復刊ドットコム 2016

 復刊ドットコムから『日本妖怪図鑑 復刻版』が届いた。散々書いているようにジャガーバックス・シリーズ屈指の人気作品だ。イラストレーター石原豪人による生々しく、目力の強い妖怪画の数々は必見である。

 今回も美しく復刻されているが、『世界妖怪図鑑』(←前の記事へのリンクです)と同様、手元の原書と比較すると判型や発色、細部のデザインに差異がある。もともと長期間販売されていた本だから、時期によって印刷や製本に差異が生じていたのかもしれないし、当時とは異なる紙質やインクの影響かもしれない。
 本の印象は前の記事(←前の記事へのリンクです)で書いたので割愛するとして、内容はまず最初に「河童」「鬼」などのメジャー妖怪をピックアップして解説する「妖怪チャンピオン」という口絵があって、本文は「1 動物の妖怪」「2 人間の妖怪」「3 人獣の妖怪」「4 妖怪出現の記録」「5 百鬼妖魔」「6 日本の妖怪地図」の6章で構成されている。本書の特徴的な妖怪の分類は、概ね歴史学者江馬務による先駆的な分類に基づくものと思われる。

 それから今回は投票で絵柄が決まったポストカードが3枚おまけで付いてきた。前回のピンバッヂも良かったけど、ポストカード嬉しい。

 ※下の「続きを読む」よりポストカードの絵柄と、本の中身を少しだけ紹介します↓


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「河童」
 巻頭の「妖怪チャンピオン」より。石原豪人による非常に有名な一枚。説明不要の素晴らしい絵面だが、石原豪人はイラストの「その直後」を読者に想像させるのが抜群に上手い。それが氏の絵が長らく脳裏から離れない理由の一つだろう。当時、川や沼を怖がった子供のなかには、きっとこの絵の影響を受けた子がいたに違いない。

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「昆虫の妖怪」
「1 動物の妖怪」より。「ねこまた」や「九尾のきつね」などのメジャーどころをはじめ、「かみきり」「あみきり」「つつが虫」といった昆虫の妖怪も第1章に含まれる。このページのように全編に数多くの古画が引用されていて、妖しいリアリティを盛り上げている。

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「ざしきわらし」
 ベースが人間型の妖怪がまとめられた「2 人間の妖怪」より。これ、子供のころめっちゃ怖かった絵だ。描き手としてはユーモラスな雰囲気を出そうとしたのかもしれないが、ひたすら気味が悪くなってしまっている。真ん中の、明らかに様子がおかしい「ざしきわらし」もさることながら、ブラックアイキッズみたいな女の子がとにかく不気味だった。イラストは石原豪人。

 この章に続く「3 人獣の妖怪」は、「ぬれ女」「女郎ぐも」(下のポストカード参照)など、人と動物が合体した形態の妖怪の章。「般若」や「羅生門の鬼」も第3章に収録。

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「4 妖怪出現の記録」では妖怪関連の事件が年表を用いて解説されている。神代の「黄泉醜女」から1972年の「河童の手のミイラ発見」までを広くカバーした労作。読み応えあり。「豊玉姫」は妖怪扱いだ。

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「天井さがり」
「5 百鬼妖魔」では第1章〜第3章に当てはまらない妖怪(ほとんどそうなんだけど)、器物の妖怪や妖火などをまとめて収録。「二口女」「ぬえ」など他の章に入りそうなのもこの章に収められている。この「天井さがり」は本書のイラストのなかでも特に怖ろしい一枚で、今でも板張りの天井を見上げるとこの絵を思い出す。ほんと容赦のない描きっぷりだ。昨今の映像作品にも類縁の表現を見ることができる。
 ところで原書を持っている人や、昔見たこの絵が脳裏に焼き付いて離れない人のなかには、上の画像に違和感を感じる人がいるかもしれない。この復刻版では「青色」の部分がより青々と発色していて、紺色っぽく発色していた原書のイラストとは少々雰囲気が異なっている。紙質のせいだろうか。このイラストも石原豪人。

 最終章にあたる「6 日本の妖怪地図」では、全国に伝わる妖怪が各都道府県につき1体ずつ、イラスト付きで紹介されている。

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「ポストカード」
 というわけで、ポストカードの絵柄は計ったかのように「幽霊」「ぬれ女」「女郎ぐも」になりました。キレイどころばかりで、嬉しいおまけです。原画はこんな感じの彩色だったのかな。復刊ドットコムのサイトで買うと付いてきます。先着順で無くなり次第終了とのこと。児童書の体の本としては少々値段が高くなってしまっているが、妖怪好きな人にはオススメの一冊。



『日本妖怪図鑑 復刻版』
 復刊ドットコム 2016
 著者:佐藤有文

 ISBN-13:978-4-8354-5391-0
 ISBN-10:4-8354-5391-3

「復刊ドットコム」の販売ページ↓
 http://www.fukkan.com/fk/CartSearchDetail?i_no=68324900

 

日本妖怪図鑑 復刻版』復刊ドットコム (←こっちはamazonへのリンクです)


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serpent sea
Posted byserpent sea

Comments 2

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serpent sea  
Re: うぁー!

>>軍曹亭!さん
自分は「日本」の方は買ってもらってなかったのですが、
ボロボロのが学級文庫にあったので、それをくどいほど見てました。

このもとの本は、一時かなり値段で売買されてました。
最近復刻が出たので落ち着きましたが、それでも普通に5000円〜1万円以上の値段が付いてます。
軍曹亭!さんの実家にある本がまさにそれです。価値はこの先も変わらないと思います。
実家の本はぜひ探し出して、大切にしてあげてください。
コメントありがとうございました!

2016/08/29 (Mon) 00:48 | EDIT | REPLY |   
軍曹亭!  
うぁー!

すごく懐かしいです。
持ってました。きっと実家のどこかにあるとは
思うのですが・・・

2016/08/28 (Sun) 19:34 | EDIT | REPLY |   

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