『ほんとにあった怖い話〈15〉読者の恐怖体験談集』

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serpent sea
ほんとにあった怖い話〈15〉読者の恐怖体験談集』朝日ソノラマ 1992 ハロウィン少女コミック館

 シリーズ初期の頃のように「とっ散らかってるけど楽しかった」前巻とは打って変わって、この第15巻は整然としていて非常に完成度が高い。なかでも浅野まいこによる『踏切の怪 他』(第1話〜第3話)は、シリーズを通じてトップクラスの水準。絵の上手さもさることながら、無理せず盛りすぎることなく、怪異をさくっと表現しているのがいい。踏切に出る下半身だけの亡霊(上半身だけの「テケテケ」に対し、最近ではこの形態のものを「トコトコ」と呼ぶらしい)の一枚絵も、ケレン味のない押さえた表現が印象的だ。同様にキャラクターのリアクションも控えめながら、眉根を寄せる微妙な表情がキャラの不安な心情をよく表していると思う。この浅野まいこって人、本書で初めて知ったんだけど、調べてみたら現在は「ハーレクインコミック」などでコミカライズをされているようだ。たまにはこのジャンルにも戻ってきて欲しい。

 全体の印象としては冒頭に書いた通りなんだけど、この巻には目立った特徴がある。それは整った少女マンガのタッチで統一されていることと、本シリーズとしては珍しく「学校の怪談」ネタが収録されていないところだ。せいぜい通学の行き帰りの話があるくらいで、舞台となるのは病院、会社、自宅。投稿者の年齢もそれなりに上がっているらしく、自分の霊的なセンスにだらだらと耽溺するような展開も見られない。またここ数巻で顕著になってきた、旧来の「肝だめし」とは一線を画する「心霊スポット探訪」も2編(「第六話 廃屋の黒髪」「第七話 幽霊橋恐怖談」)収録されている。これも多くの場合、自動車やバイクを使う必要があることから、中高生のキャラクターでは少々難しいネタだ。やってることは現在の「心霊スポット探訪」とほとんど変わらない。今も昔もって感じ。違いはカメラ類を持ってないことくらいか。

 この第15巻、たまたま見かけた端本をついふらふらっと買ってしまっても、充分に満足出来る一冊だと思う。



『踏切の怪 他』画・浅野まいこ ’91『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.15、VOL.16 掲載
 「第一話 踏切の怪」
  「踏切の怪〈1〉」投稿者・北海道 匿名希望さん
  「踏切の怪〈2〉」投稿者・栃木県 匿名希望さん
 「第二話 幽霊クリニック」投稿者・広島県 匿名希望さん ※病院の怪談
 「第三話 亡者たちの視線」投稿者・宮城県 匿名希望さん ※霊感OL

『幽霊バスの通る夜 他』画・黒田祐乎 ’91『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.15、VOL.16 掲載
 「第四話 幽霊バスの通る夜」投稿者・東京都 P・N れいちゃん ※路上の怪
 「第五話 巡り来る影」投稿者・群馬県 匿名希望さん ※病院の怪談

『第六話 廃屋の黒髪』投稿者・東京都 小島孝恵さん 画・時任竹是 ’91『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.15 掲載 ※心霊スポット

『第七話 幽霊橋恐怖談』投稿者・神奈川県 匿名希望さん 画・松世眞由美 ’91『ハロウィン』2月号 掲載 ※心霊スポット・路上の怪

『夜のいたずら者 他』画・美里和歩 ’91『ハロウィン』5月号 掲載
 「第八話 夜のいたずら者」投稿者・茨城県 匿名希望さん ※ポルターガイスト
 「第九話 お盆の来訪者」投稿者・北海道 石垣ゆかりさん ※金縛り

『殺されたおばあさんの霊 他』画・三浦尚子 ’91『ハロウィン』7月号 掲載
 「第十話 殺されたおばあさんの霊」投稿者・北海道 匿名希望さん
 「第十一話 姿なき訪問者」投稿者・愛知県 田口育子さん ※虫の知らせ

「※印」は各話の簡単な分類。サブタイからは内容がよく分からない話などに適当につけた。投稿者名の敬称については作中の表記通り。



『ほんとにあった怖い話〈15〉読者の恐怖体験談集』
 朝日ソノラマ 1992 ハロウィン少女コミック館
 著者:浅野まいこ 他

 ISBN-13:978-4-2579-8195-4
 ISBN-10:4-2579-8195-4


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Posted byserpent sea

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