『恐怖の吸血美女』

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 恐怖の吸血美女

 19世紀、ヨーロッパのとある山の麓の村は吸血鬼の影に怯えていた。崖の上の城の一族は滅んで久しいが、いずれ蘇り再び血を求めて村人を襲うと信じられていた。ある時、吸血鬼っぽい二人の男女によって村の娘が連れ去られた。娘の血は忌まわしい儀式に供され、やがて美しい吸血鬼が復活する。それから時を置かず、城のすぐそばの全寮制の花嫁学校が新しい生徒を迎え入れた。彼女の名は「ミルカーラ」、吸血鬼である。同じ頃、文学の教師として怪奇小説作家の男が赴任してきた。彼はミルカーラを一目見るなり恋に落ちてしまう。モヤモヤとした関係を築きつつある二人の周囲に、嫌な事件が頻発するようになった。村の酒場の女、ミルカーラと同室のレズビアンの娘、学校の男性教師が次々と行方不明になったり、死体で発見されたりする。そしてそこには常にミルカーラと、その家族らしき人物の影が見え隠れしていた。

『吸血鬼カーミラ』(“Carmilla”)を原作にしたハマー映画『バンパイア・ラヴァーズ』(1970)の続編。こっちには原作がなくて、『リング2』(1999)みたいなオリジナル展開となっている。
 実はこの映画、スタッフやキャストにトラブルがあって、当初の予定とは違った形で完成してしまってるらしいのだが、実際に見てみると結構いい雰囲気の作品だった。ただ物足りない所はあって、それが作品の売りになってるような所だったりするので、いくつか書いておきたい。まずおっぱいの扱いが雑。これはいただけない。ストーリーとはまるで無関係に、通りすがりのようにおっぱいが出る。ほんと出るだけなので、脱いでる人が気の毒になってくる。また肝心な所ではヒロインのミルカーラ役の人が、どうも吸血鬼役に向いてないように見える。ブロンドの綺麗なお姉さんなんだけど、どっちかというと被害者役がぴったり。美しく気高く、時に怖ろしい女吸血鬼を期待してるとがっかりするかも。それからストーリー上で生きてきそうな人材(レズビアンの娘、歴史の教師、警部)が、ほとんど活躍しないうちに退場してしまうのも惜しい。そしてそんな風に散々枝葉が払われたにも関わらず、この作品のメインのストーリーって、もしかして地味な三角関係のラブストーリー?? って気付くのが、ラストちょい前だったりする。
 古城をはじめ、村の酒屋、乱雑な教師の私室などのセットは、さすがに素晴らしい出来栄えで、この作品が持つ有無を言わせない「本格派」なオーラはこれらセットによるところが大きい。峻険な山の頂にそびえる吸血鬼の城の、そのすぐ隣にパラダイスな女子校があって生徒たちがゆるゆるとダンスに興じている、といった異空間な描写は瑕疵ではなく魅力の一つだろう。各シーンに応じた色彩で鮮やかなメリハリが付けられているので、画面を眺めているだけでも結構楽しい。

 といった感じの作品なので、ながら見には最適かと思いきや、時折我に帰ったようなかっこいいシーン(復活シーンとか)があるから、うっかり画面から目を離せなくなる。おっぱい、レズビアン等、お色気目当てに見るのにも、今一つ不向きな作品。



『恐怖の吸血美女』(“LUST FOR A VAMPIRE”)
 1971 イギリス
 監督:ジミー・サングスター
 出演:ユッテ・ステンスガード/ラルフ・ベイツ/バーバラ・ジェフォード/スザンナ・リー/マイケル・ジョンソン
 上映時間:95分


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Posted byserpent sea

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