『ルームズ・フォー・ツーリスト』

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 ルームズ・フォー・ツーリスト

 たまたまバスに乗り合わせた五人の女性が、アルゼンチンのとある田舎町で一夜を過ごす事になった。彼女たちが投宿するのは町で一番大きな屋敷。そこにはオーナーの男性二人の他、見るからにいかがわしい「伝道師」を名乗る男が宿泊していた。夕食を終え、ひとまずはリラックスしたひと時を過ごす彼女たちだったが、日が暮れると状況は一変する。どこからか絶叫が響き渡り、屋敷の照明が落ちた。悲鳴の主は部屋に大きな血痕を残して消え失せていた。この屋敷には凶悪な何者かが跳梁しているのだ。逃げ出そうにも、全ての窓と出入り口が塞がれてしまっている。果たして彼女たちは生き延びることができるのか。

 低予算のスラッシャームービーに極端に残酷で雑な特殊メイクや、天然お笑い要素、脱力感を求める人には、少々期待はずれな作品かも知れない。宿泊先で殺人鬼と遭遇する旅行者という定番中の定番の定番なネタに対して、予想外に真面目なアプローチがなされている。
 基本的には92分の間、五人の女性がひたすらギャーギャー叫びながら逃げ回ってるだけの作品だが、よくあるスラッシャーと違うのは、彼女たちがここに至ったウラ事情や事件の概要らしきものが、随所に巧みに仄めかされていて、無いようでしっかりとあるストーリーへの興味を最後まで途切れさせない所だ。そして劇中で提示される謎はラストで綺麗に解明される。その点ではかなりミステリー寄りの作品だと思う。

 実はこの作品、冒頭からこれいつものと違う……って感じのオーラを濃厚に漂わせている。木漏れ日の美しい森を散歩してた女の子が、犬を追いかけて私有地に入り込み、ヤバいものを見つけてしまう場面。なんとも言えない緊張感がひしひしと伝わってくる素晴らしいプロローグで、モノクロの画面(モノクロ映画です)が醸し出す雰囲気も抜群だ。
 肝心のスラッシャー/ホラー分はというと、派手さは無いけど鉈で手の平を裂いたり、腕がもがれたり、頭蓋骨を砕いたりと、ゴア描写はかなり充実している。マスクの怪人のキャラがやや弱く、あまり活躍しないのが物足りないと言えば物足りない所だが、ハラハラする映画が見たい! って人にはおすすめの作品。



『ルームズ・フォー・ツーリスト』(“HABITACIONES PARA TURISTAS”/“ROOM FOR TOURISTS”)
 2004 アルゼンチン/メキシコ
 監督:アドリアン・ガルシア・ボグリアーノ
 出演:エレナ・シシリトー/ジメナ・クロコ/マリエラ・ムジカ/ブレンダ・ヴェラ/ビクトリア・ウィッテンバーグ
 上映時間:92分


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Posted byserpent sea

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