『火山湖の大怪獣』

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 火山湖の大怪獣

 映画の感想が続いてしまうが、さっき見終わったとこなので忘れないうちに。まず最初にこの作品にはジャケット↑に描かれているタイプの獣脚類っぽい恐竜は登場しない。出てくるのはプレシオサウルスのような首長竜のみである。

 舞台は「クレーター・レイク」という湖。その周辺住民の散漫な生活と、キャンパーや家畜をつまみ食いする首長竜の生態が全く別々に描かれている。周辺住民と首長竜の活動が本格的に交わるのはラスト十数分なので、それまではたまーに出てくる首長竜に癒されつつ、住民の面白くもなんともない日々の生活や、近隣の町で唐突に発生した強盗事件などを延々と眺めることになる。そもそもこの作品には主人公らしい主人公がいない。半分くらい見た所で『トレマーズ』(1989)の二人をハゲさせて老けさせて、もっとダメにした感じの二人組みがもしや主人公?? と気付いて愕然とする。
 またこの作品には真昼間から「こんな沢山の星、見たことないわ」なんて言いつつ女性がうっとり空を見上げたり、真昼間なのにライト点けっぱなしの車からおっさんが懐中電灯を光らせて降りてきたり、そんなシーンが頻出する。映画撮影の技法にフィルターなどを用いて昼間を夜間に見せる「Day for Night」というのがあるが、そのフィルターかなんかをうっかり忘れたらしく、ずっと昼間のままになってしまっているのだ。幸い「何時頃の出来事か」に関してはあまり重要な作品ではないので、「こりゃ見やすくていいわ」くらいに構えての大らかな鑑賞がオススメ。

 そんな隙だらけな作品だが、ストップモーション・アニメの匠「デヴィッド・アレン」が特撮スタッフとして参加しているという強力なセールスポイントもある。首長竜の出てくる40弱のカットは彼の手によるものだ(劇中ではストップモーション用のミニチュアモデルの他に、大サイズの頭部のハリボテも使用されている)。このデヴィッド・アレンという人は、作品に恵まれているようなないような微妙な境遇の人で、彼の携わった作品では、彼の仕事自体が最大のセールスポイントとなっていることが多い。最も有名なのは多分『ニューヨーク東8番街の奇跡』(1987)あたりだと思うが、代表作なら広川太一郎のめちゃくちゃな吹き替えが印象的な『おかしなおかしな石器人』(1981)だろう。緑のトカゲに乗ったリンゴ・スターやデブのティラノサウルスが出てくるコメディ映画で、女優さんも可愛い。
 本作の首長竜はというと、体表のほど良くリアルな質感と、首の太いデフォルメ気味の体型が相まって、独特のキャラクター性を有している。ただ登場するシーンがごく短いため、集中してないとすぐに見逃してしまう。おかげでながら見には全く適さない作品となった。

 それにしても身動きするだけで災害が発生するスケールの怪獣と比べると、10メートル弱くらいの首長竜を一匹登場させるだけでは、住民がパニックに陥ったり、派手な戦闘が生じるドラマを練り上げるのは至難の技だと思う。その点で『ジョーズ』(1977)はやっぱすごかった。もちろんこの作品がそれに果敢にチャレンジして、その結果こうなってしまったわけではなさそうだけど。



『火山湖の大怪獣』(“CRATER LAKE MONSTER”)
 1977 アメリカ
 監督:ウィリアム・R・ストロンバーグ
 出演:リチャード・カーデラ/リチャード・ギャリソン/グレン・ロバーツ/マーク・シーゲル
 上映時間:83分


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Posted byserpent sea

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