シド・ミード『OBLAGON』

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 シド・ミード(Syd Mead)『OBLAGON CONCEPTS OF SYD MEAD』講談社 1985

 SFっぽいかっこいい絵といえばこの人、シド・ミード。アメリカの工業デザイナー……というより、映画『ブレードランナー』(1982)をはじめとするSF作品のハードウエア・デザインの第一人者だ。どのくらいスゴイ人かっていうと、この人が関わってるってだけで『クライシス2050』(1990)のような映画でさえ、まあ見ないよりはよかったかな……と思わせられるくらいの凄さ。ちょっと前の記事で書いたアニメ『∀ガンダム』のMSのデザイナーとしても知られている。

 この本は著者の邦訳された最初の画集で、自動車やクルーザー、プライベートジェットをはじめ、数々の映像作品『スタートレック』(1979)『トロン』(1982)『ブレードランナー』『2010』(1984)のドローイングやラフスケッチなど、多岐に渡る著者の仕事が端的に紹介されている。素晴らしい作品の数々をうっとり鑑賞することはもちろん、刊行から30年経った今でも、デザインやイラストに携わる人には何かと得られるものがありそう。テキストも豊富で読み応えもある。

 ※下の「続きを読む」から↓ 車のイラストとか。


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 初代プレリュードの最上級グレード「XXR」のイラスト。シルバーの質感が素晴らしい。フェンダーミラーあたりはいかにも旧車って感じだけど、装飾を排したシンプルなデザインが著者の作風によく似合っている。ホイールのデザインがそこはかとなくミードっぽい。背景は核融合炉とのこと。

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 超希少車「クライスラー・レーザー」。画面の美しいコントラスト、滑らかなボディの質感など著者の作風がよく現れた一枚。アリモノを描いてこの独特のシド・ミード空間。著者によるとこの車の「いい角度」二つを、一つの画面に収めることを狙ったという。この車、実車は見たことがないけど、プラモデルは姉妹車の「ダッジ・デイトナ」がmpcから発売されていた。

「光沢仕上げの表面は、周囲の世界を、流れるような滝として映し出し、クローム部は百余の青白い太陽と燃え上がる。こうした幻想を捉えることは、すなわち、気も狂わんばかりの誘惑であり、想像力とのはっきりした触れあいであり、害のない中毒でもある。しかも楽しいのである。」(p.14)

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 超かっこいい大型クルーザー。実際に作られる予定だったクルーザーのデザインをさらに推し進めたもの。慣れ親しんだ成田亨のデザインに、なんとなく相通じるものがあるように思う。日本人(のSFの人)との親和性の高さの一因はその辺にあるのかも。ミニチュアが欲しい。

「優美な船を造るためのチャンスは、きっと個人用の注文にこそ期待できる。ただし、デザイナーが創意に富むとともに、先見の明のある船主にはその解決策を許容するだけの趣味の良さがなくてはならない。」(p.27)

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 名作SF映画(マジで)『スタートレック』の「ヴィジャー」。ダグラス・トランブルによる超綺麗かつ精密な特撮シーンが印象的な作品だが、著者は作品のキモとなる人工生命体「ヴィジャー」の外観のデザインを担当した。『スタートレック』関連はスケッチを含めて8枚収録されている。

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 名作SF映画『トロン』のタンクの側面図、平面図。劇中に登場するCGタンクの製作に用いられたもの。

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 名作SF映画『ブレードランナー』の「ポリススピナー」。絵が紙面一杯にでかでかと印刷されてるので、どうしても上手く撮れない。『ブレードランナー』についてはプロダクション・デザイン、乗り物、小物などが収録されていて、多めにページが割かれている。スピナー関連はこの絵の他に、くさび形のデザインが3例収録されている。

「『ブレードランナー』のためにデザインを産み出すことは、別種の現実を創ってしまうという、やり甲斐のある作業だった」(P.99)

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 ザク(←ガンダムの)のコロニーへの侵攻シーン。これは見開きの片側で、もう半分には人物が描かれている。背景の家屋が東洋風なのが面白い。

 という感じで、かっこいい絵、見開きの大きい絵が多いからここには載せきれないんだけど、他にもラフスケッチの状態から仕上げまでの過程が載ってたり、ずっと眺めてても飽きのこない本です。全167ページ。



『OBLAGON CONCEPTS OF SYD MEAD』
 講談社 1985
 著者:シド・ミード(Syd Mead)

 ISBN-13:978-4-0620-1525-7
 ISBN-10:4-0420-1525-0


Oblagon―Concepts of Syd Mead』(英語) ペーパーバック


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Posted byserpent sea

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