並木伸一郎『世界UMA事件ファイル』

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 並木伸一郎『世界UMA事件ファイル』学習研究社 2005 MU SUPER MYSTERY BOOKS

 最近少し沈静化してきたが、一時のコンビニUMA本の勢いには凄いものがあった。最初のうちは全然買ってなかったのだけど、この一冊→『【決定版】最強のUMA図鑑』(←前の記事へのリンクです)をきっかけにぼちぼち買うようにしていたら、いつの間にか20冊ほどになっていた。一口にコンビニ本といっても玉石混淆で、この機会に! って感じでやけに気合いの入ったものもあれば、明らかに適当に作った感が滲み出てるもの(フェイクって知れ渡っている写真を未だに真物としてたり)も少なくない。共通点といえば紙質がイマイチなことと、カラーページが多く、イラストや写真がメインで文章が少ないこと。
 そんな感じのコンビニUMA本事情だが、なにより驚かされるのはUMA本にこれほど需要があったのかってことだ。コンビニの本って本屋の本に比べて、ついふらふらっと買ってしまうことが多いと思う。なにより必要なのは、ぱっと見でいかに客を誘うか。そこにUMAってことは、UMAにはコンビニにぽや~っとやってくる人を惹きつける、扇情的な魅力があるらしい。

 この本はコンビニUMA本が攻勢をかける真っ只中に出た、コンビニ本ではないUMA本「MU SUPER MYSTERY BOOKS」の一冊である。同じシリースの『未確認動物UMAの謎』(←前の記事へのリンクです)から数年経っているが、直近の情報が盛り込まれているのが良心的だ。カラー口絵4ページ、本文は6章に分かれていて文章中心の構成。

「第1章 水棲獣UMA編」
 最初の章はUMAの中でも代表的な水中に生息するUMA、「ネッシー」「テンシー」「キャディ」「セルマ」「クッシー」「ホラディラ」など、とくに湖で目撃されたものを中心に構成されている。聞きなれないUMAが混ざっているが「テンシー」は中国の白頭山にある「天池」で目撃されたUMAで、ワイドショーなどでも取り上げられて一躍有名になった。「ホラディラ」はアマゾンの湖に棲む謎の生物で、その呼び名は原住民の言葉で「地獄の牙」を意味するらしい。ギザギザのついた体の一部がカラーで撮影されていて、一時複数の関連本で目にすることができた(本書はモノクロで掲載)。「ネッシー」については刊行時の最新(2004年)の目撃情報が紹介されている。著者はネッシー=プレシオサウルス説をまだまだ堅持しているが、反対意見もしっかりと紹介していくスタンス。

「第2章 獣人UMA編」
「イエティ」「スカンクエイプ」「グラスマン」「オラン・ペンディク」など、獣人系UMAが取り上げられている。最も扱いの大きいのがスマトラ島の小型獣人「オラン・ペンディク」。これまでにもちょこちょこ書いてきたが、実在する可能性の高い獣人型UMAとして知られている。本書ではオラン・ペンディク≈「ホモ・フローレシエンシス」説一押しで、その解説に多めにページを割いている。「ホモ・フローレシエンシス」(“Homo floresiensis”)は2003年にインドネシアの「フローレス島」で化石化していない頭骨が発見された身長1メートルそこそこの生物で、ヒト属の新種ではないかという説がある。インドネシア火山の爆発で絶滅したとも言われているが、頭骨の発見場所がオラン・ペンディクの生息域にごく近いのが面白い。ただこの生物については、サンプルの少なさから現在ほとんど研究が進んでいない。

「第3章 未確認飛行生物UFC編」
 聞きなれない言葉だが「UFC」は格闘技団体とかじゃなくて、「Unidentified Flying Creature」の略語らしい。この章では「スカイフィッシュ」を筆頭に、翼竜っぽいのから妖怪、都市伝説キャラまで、飛行する謎の生物を一括して取り上げている。とくに「スカイフィッシュ」には力が入っていてかなり読み応えがあった。最近ではスカイフィッシュの正体は、カメラのモーションブラー現象によるものって考え方が主流になっているが、著者は果敢にもそれに反証を掲げている。その反証に用いられたのがカラー口絵に掲載されている一連の画像だ。画像は飛んできて自動車にぶつかったスカイフィッシュが、地面にベチャっと落下して再び飛び去るまでを収めたVTRから抜かれたもので、神戸の「六甲山」で撮影されたものだという。何でも六甲山はスカイフィシュのメッカなのだそうだ。
 またこの章では複数の翼竜っぽいUMAも取り上げられている。もしも古生物が現存するなら、湖沼やジャングルで目撃されるUMAではなく翼竜こそが本命だと思う。小型の翼竜の群れがアナツバメ(食材の「燕の巣」の)のような場所に巣をかけているとすれば発見は困難だろう。もちろん大本命は海棲の爬虫類だけど。

「第4章 怪獣モンスター編」
「チュパカブラ」「エイリアン・ビッグ・キャット」など何となく哺乳類っぽいUMAをまとめた章。メインは「チュパカブラ」の最新情報で、2004年アメリカ、テキサス州のチュパカブラ射殺事件を紹介している。この一件は確かヒストリー・チャンネルの『未確認モンスターを追え!』で繰り返しやってた覚えがある。最初はとんでもない姿だった「チュパカブラ」も、時代が下るに連れて随分と普通の哺乳類っぽい姿になった。

「第5章 妖怪型UMA編」
 UMA自体がそもそも得体の知れないものなんだけど、それに輪をかけて得体の知れない、情報量の少ないUMAに関する章。インドの「ムノッチワ」、ヘルメットを着用した目撃イラストが有名な「モンキーマン」、アメリカの人狼「シャギー」、アメリカ、ルイジアナ州「ハニーアイランド沼」の「ハニー・スワンプ・モンスター」(『モンスター・パニック』(1980)に出てきた半魚人みたいなUMA)などなど、かなり尖ったUMAの数々が紹介されている。日本からは「河童」が参戦。

「第6章 ミステリー珍動物編」
 雑誌『ムー』の二色刷りのページに初期の頃から登場し、続報無しでお馴染みの「翼ネコ」がここに来て大きく取り上げられた。古くは1899年のイギリスの雑誌に写真が掲載された翼ネコから、最近では2004年のロシアにおける目撃例まで、幅広く紹介されている。1800年代からイギリスを中心に138件もの目撃例があるらしい。中には単に翼っぽいパーツがくっ付いてるだけではなくて、その翼で浮かんだり滑空したものまでいたという。
 他にアマゾンの「ピンクイルカ」や体長40メートルの「ジャイアント・スネーク」などが並ぶ中、変わりダネ、というか明らかに浮いてる感じで「ケサランパサラン」が取り上げられている。「ケサランパサラン」はタンポポの綿毛みたいな見た目の謎の物体で、名前の由来も正体も不明。生物なのかどうかも分からない。ごくたまに捕獲されることがあるが、それが本当に「ケサランパサラン」なのかも定かではない。以前ワイドショーのヒマネタになっていて、当の持ち主(飼い主)がなかなか見せたがらないのが面白かった。人に見せると幸運が逃げてしまうのだとか。また白粉を食べて増殖するとも言われていて、それについて本書では写真を用いて解説している。あと熊倉隆敏の『もっけ』にこの生物の出てくる雰囲気のいいエピソードがあった。

 ……という感じで「第3章」「第6章」がとくに面白かった。UMA関連の本を寝る前にぼやーっと眺めるのってなんか幸せだ。



『世界UMA事件ファイル』
 学習研究社 2005 MU SUPER MYSTERY BOOKS
 著者:並木伸一郎

 ISBN-13:978-4-0540-2800-5
 ISBN-10:4-0540-2800-4


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