『ほんとにあった怖い話〈11〉読者の恐怖体験談集』

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serpent sea
ほんとにあった怖い話〈11〉読者の恐怖体験談集』朝日ソノラマ 1990 ハロウィン少女コミック館

 全15話、短めの話がごちゃっと詰まっている。目につくところでは鉄道関連の怪談が3話収録されているが、全体にまとまりのない(作画的にも)……良く言えばバラエティに富んだ巻。内容以外の特徴としては、すべてのサブタイトルに「 ! 」「?」「…」が付いてないところが挙げられる。下のリストの文字がなんとなーく詰め詰めに見えるのは多分そのせい。

 トータルではそんな感じなんだけど、個々のエピソードには興味深いものがいくつかあった。とくに松世眞由美画の『生死のかけ橋』(第六話〜第十話)は、読者をどーにかして怖がらせようって姿勢の顕著な好編。作画こそまだこなれてない感じだけど、前フリなしにふっと「黒い気配」を描き込んだり(p.113)、腕が床を這ってくるシーンを怪異の視点から描いてみたりと(p.106)、細かな工夫が凝らされている。どれも短い話だし、数えてみればほんの数コマの「怖い絵面」だが、怪異の表現に関して高いセンスが感じられた。
 また珍しいところでは「第五話 胎児の涙」が、妊娠、流産、水子供養を扱っている。これらのネタは実話怪談ではわりと定番なんだけど、少女向けの雑誌に掲載されていた本シリーズには、これまでストレートに採用されることがなかった。投稿者は26歳の主婦、内容も怨念を前面に押し出した怖い話ではなく、心から水子を悼む母親のちょっといい話になっている。



『異次元列車 他』画・黒田祐乎 ’90『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.10 掲載
 「第一話 異次元列車」投稿者・東京都 井上裕美子さん ※鉄道の怪談
 「第二話 早朝列車綺譚」投稿者・千葉県 まんまる・Kさん ※鉄道の怪談

『瞳の封印 他』画・山口夏実 ’90『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.10 掲載
 「第三話 瞳の封印」投稿者・東京都 高橋茉莉花さん(仮名)
 「第四話 絆の河」投稿者・兵庫県 花村利香さん ※臨死体験
 「第五話 胎児の涙」投稿者・茨城県 奥村ゆう子さん(仮名)

『生死のかけ橋 他』画・松世眞由美 ’90『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.10、’90『ハロウィン』4月号、8月号 掲載
 「第六話 生死のかけ橋」投稿者・静岡県 匿名希望さん
 「第七話 死の予感」投稿者・北海道 匿名希望さん
 「第八話 変わらぬ母の愛」投稿者・京都府 高木一美さん
 「第九話 この世ならぬ訪問者」投稿者・大分県 匿名希望さん ※コックリさん・金縛り
 「第十話 真夜中の徘徊者」投稿者・神奈川県 森山慈子さん(仮名) ※病院の怪談

『幽霊アパート 他』画・おちあいわたる ’90『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.10、’90『ハロウィン』7月号 掲載
 「第十一話 幽霊アパート」投稿者・千葉県 市原剛さん ※幽霊屋敷・路上の怪
 「第十二話 松の木通りのタクシー」投稿者・大阪府 P.N.ペコちゃん ※タクシーの怪談
 「第十三話 霧の予知夢」投稿者・山梨県 匿名希望さん ※鉄道の怪談

『第十四話 霊の棲む部屋』投稿者・兵庫県 大田勝也さん 画・佐和田知生 ’90『ハロウィン』3月号 掲載 ※幽霊屋敷

『第十五話 死者の呼び声』投稿者・東京都 P.N.川澄苳緒子さん 画・植松麻里 ’90『ハロウィン』6月号 掲載 ※金縛り・学校の怪談



「※印」は各話の簡単な分類。サブタイからは内容がよく分からない話などに適当につけた。投稿者名の敬称については作中の表記通り。


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Posted byserpent sea

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