『スネーク・オブ・ザ・リビング・デッド 死霊蛇伝説』

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 スネーク・オブ・ザ・リビング・デッド 死霊蛇伝説

 とりあえず「オブ・ザ・リビングデッド」もしくは「オブ・ザ・デッド」って付けとけばOKという風潮。これは今に始まったことではないが、この手のタイトルの作品が未だに店頭に並んでるってことは、送り手と受け手との暗黙の了解の上に、小規模ながら確固とした生態系が存在しているのだろう。なかには何が「オブ・ザ・リビングデッド」なのかさっぱりな作品も見受けられるが、本作には間違いなくゾンビもヘビも出てくるので、深く考えなければこの『スネーク・オブ・ザ・リビング・デッド 死霊蛇伝説』という邦題は、原題の『THE SNAKE PEOPLE』に遜色のないわりといいタイトルだと思う。

 舞台は「クラバイ島」という孤島。「スネーク・アイランド」とも呼ばれている。そこに治安維持と現地警察機構の立て直しのために「ラビッシュ大尉」が着任するところから物語始まる。大尉が乗ってきた船便は、同時に一人の女性を島に運んできた。彼女の名は「アンベラ」。本作のヒロインである。島に住む科学者の叔父「モルダー」に援助を求めてやってきたのだ。大尉もまたモルダーに協力を要請するが、モルダーはどうも島民寄りの様子。
 島民の多くはヴードゥー教を信仰し、妖しげな儀式を執り行っている。彼らは死者を復活させ、ゾンビとして使役するらしい。大尉はそんな迷信を歯牙にもかけず、邪教を排除するために立ち上がるのだが……。

 名優ボリス・カーロフの複数の遺作のうちの一本がこの作品。孤島で暮らし、ヘビの毒と超能力っぽいことを研究する科学者役での登場だ。見るからに体調が良くなさそうなカーロフは、当時四つの作品を同時に撮影していたらしい。本作では後半、出番を残したまま逝去したカーロフの代役を「できるだけを映さない方針」で撮影しており、言われなければそれとは気付かない仕上がりだが、反面、何やってるのかよく分からないシーンが多くなった。あとカーロフとは関係ないけど、昼夜の区別のはっきりしないシーンも多かった。

 そんな感じで諸々杜撰な作品ではあるが、玉石石石石石石石石石混淆の著しいこのジャンルの作品としては、本作はかなり玉寄りの石だと思う。儀式が行われる洞窟の雰囲気は抜群だし、クラシックなヴードゥーゾンビが単に人を襲うだけじゃなくて、しっかり襲って食べる設定なのも好ましい(←直接的なグロ描写はない)。それからアバンから大活躍するロートレックみたいな風貌の小人俳優が印象的だった。ブードゥーの儀式を執り行う司祭? みたいな役柄なんだけど、奇声を発してニワトリの首を掻き切ったり、生け贄の女性を打擲したりと鬼気迫る演技を見せる。この小人俳優の怪演と、カーロフ猛プッシュのめっちゃかっこいいタイトルバックのおかげで、最初の10〜15分くらいに限っては傑作と呼べるほどの完成度となっている。

 この作品、パッケージでは1971年公開となっているが、資料によっては1968年、または両年の併記となっていて公開年度がはっきりしない。ボリス・カーロフの没年が1969年なので1968年はなさそうだけど。ただ1968年と言えば、ジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968)が公開され、ゾンビ映画の転換点となった年である。『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』は今でも取り上げられることの多い作品だが、その公開と前後して新旧ゾンビの交代劇がひっそりと行われていたかと思うと感慨深い。

 あと普段はあまり気にしてないのだが、このディスクの画質音質は懐かしのVHSビデオの3倍録画みたいな品質で、字幕も読みづらかった。PS3、PC、HDDレコのどれで見てもあまり代わり映えしなかったので(←結局PS3で見ました)、これから買ってみようという奇特な人には鷹揚に構えての鑑賞をお勧めします。



『スネーク・オブ・ザ・リビング・デッド 死霊蛇伝説』("THE SNAKE PEOPLE")
 1968/1971 メキシコ/アメリカ
 監督:フアン・イバネス/ジャック・ヒル
 出演:ボリス・カーロフ/ジュリッサ/カルロス・イースト
 上映時間:90分


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Posted byserpent sea

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