伊藤潤二『うずまき 第18話 迷路』

0 Comments
serpent sea
 伊藤潤二『うずまき 第18話 迷路』(『うずまき』小学館 2000 ビッグ コミックス ワイド 所収)

 高台から黒渦町を眺める桐絵たち一行。彼女らが目にしたのは、町を覆い尽くすスケールの超巨大渦巻きだった。前回、修復&増築がはじまっていた長屋の両端が長く長く伸びて、やがて連結し、巨大な渦巻き状の建造物を形成しているのだ。
 黒渦町では時間の流れさえ正常ではないらしく、桐絵たちが山中で数日うろうろしていたあいだに町では数年が経過していた。長屋の内部には絡み合った住人がみっちり詰まっていて、ヒソヒソと囁きながら未だに長屋の修復&増築を繰り返している。桐絵たちはそんな長屋のあいだの路地を行く。目標は渦巻きの中心地、トンボ池だ。路地にはゼンマイ状(←山菜の)に変形した死体が投棄されて、強烈な死臭を放っている。

 ちょうど第3話(←前の記事へのリンクです)の黒谷さんの傷跡の拡大版といった感じで、ここに来てついに長屋の本来の姿が判明する。著者によるとこの作品は当初「渦巻き型の長い長屋で暮らす人々の生態」という着想からスタートして、うずまきをテーマにした連作へと展開していったらしい。もしも長屋の話のままだったら、落語の長屋もの+グロ怪奇みたいな感じになってたのかな。それはそれで読んでみたかったような気もする。
 今回は超珍しく、秀一がこの「うずまき現象」についての考察をしている。こんなにマトモになったの久しぶりだ。曰くこの現象は100年、数百年かの周期で繰り返され、そのたびに人々は渦巻き状の町を築いてるのではないか。この出来事を後世に伝えるべき人々が、なんらかの事情で一度に消えてしまうため、記憶の断絶が起きているのではないか……。

 同行者を連れ去られ二人きりになった桐絵と秀一は、轟音とともに人々が消え去った後の長屋の屋内を歩き続け、やがて渦巻きの中心に至る。そこには水を湛えたトンボ池に代わり、巨大な井戸のような縦穴がぽっかりと口を開けているのだった。その縦穴の壁に沿って設けられた石造りの階段を、二人はゆっくりと降りはじめた。

 次回最終回。


関連記事
serpent sea
Posted byserpent sea

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply