川島のりかず『狼少女のミイラ』

0 Comments
serpent sea
 川島のりかず『狼少女のミイラ』ひばり書房 1986 ヒット・コミックス 怪談シリーズ 109

 山間の集落に迷い込んだ子供たちが、毛むくじゃらの怪物に撲殺されバラバラに解体されていく。その集落にはいつのころからか「奇病」が蔓延しており、怪物は奇病に罹患した村人の変わり果てた姿なのだ。

 そんなわけありの集落で生まれ育った主人公の「奇利絵」は、ある夜「山が崩れるから村から逃げろ」との啓示を受け、父親と二人で村を離れる。直後、轟音とともに大規模な土石流が発生。……数日後、遠くの町の小学校には、学校生活をエンジョイする奇利絵の姿があった。取り巻きにチヤホヤされてご満悦の奇利絵。ところがある日を境に奇利絵は学校を休むようになった。奇病を発症した父親が自らを町はずれの洞窟に隔離したため、毎日そこに出かけていっては様子を窺っていたのだ。もちろん洞窟内には入らないよう注意を払っていたのだが、遊び半分で後をつけてきた同級生たちとともに洞窟深く迷い込んでしまう。

 ここまでが大体全編の半分くらい。なんの迷いもなく子供たちが惨殺される衝撃的なプロローグからの怒濤の展開だが、この先にはもっと無茶なシーンが控えている。プロローグに続く土石流のシーンでは、土砂に呑まれ流木に潰されるモブの村人たちの死にざまが、数ページにわたって描写される。ここは物語の本筋にはほとんど関係のない場面なんだけど、著者はノリノリだったらしく、濁流が渦を巻く大迫力のスペクタクルを見事に描き切っている。

 後半は洞窟に迷い込んだ奇利絵と同級生たちのサバイバル&バトルに終始する。次々に襲われ、頭部を切断される子供たち。完全に怪物化した奇利絵の父親による犯行である。地底湖からぽっかり顔を出した友達に「なにをやってんだ?」と声をかけると、ゆっくりと頭部が倒れて、それが生首だったことが判明するシークエンスが面白い。
 あわや全滅かと思われたそのとき、落盤が発生し閉じこめられてしまう奇利絵たち。後に洞窟の崩落を調査した大学の研究チームは、そこにオオカミ人間と化した奇利絵のミイラを発見する。

 とまあ、ここで終われば綺麗にまとまるような気がしないでもないのだが、まだまだ終わらないのがこの作品の尋常ではないところ。実はこの「狼少女のミイラ」、ミイラになってもなお「ぜったいにあきらめない!!」とばかりに、生き続けていたのだ。研究室でおもむろに起き上がり、首が転がり落ちても、目玉だけになっても、しぶとく生き続ける奇利絵=狼少女のミイラ。そして、そう来たか! って感じの奇跡的なハッピーエンドへ。

 ……盛り沢山過ぎてまとめられない。デフォで目玉飛び出してる生首とか、怪しい集落とか、気合の入った土石流とか、毛虫人間みたいになってるオオカミ男とか、見どころが多過ぎる。ちょっと前に流行ったシチュエーション・ホラー色が一番濃いかなーなんて思うけど、とにかく「全編クライマックス」って感じだ。これよくある煽り文句だけど、本当にその通りにやってみたらこんな風になっちゃうのかと、妙な感心をしてしまう作品だった。


 狼女の伝説(ヘア無修正ハードコアバージョン) [DVD]


関連記事
serpent sea
Posted byserpent sea

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply