『妖怪奇聞 異譚』

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『妖怪奇聞 異譚』少年画報社 2015 ドッキリコミック

 ちょっと前にコンビニで買ってきた怪奇マンガのアンソロジー。「ドッキリコミック」というレーベル名がいい味。52ページの作品『物見の文士 怪篇酒呑童子事件』のほか、8〜16ページの短編が22本収録されている。

 画風は色々だけど、絵のレベルは全体に高めの印象。内容も実話怪談風あり民話風ありって感じで、時代設定もそれに応じて様々だ。最初の方に実話怪談風で芸風の似通った作品 ── 登場するのが『怪談イズデッド』のヒキコさんみたいなハイテンション系の怪異で、画面いっぱいに「うがががががが」ってなったところでブチッとEND ── が並んでいるが、後半にいくほどバラエティに富んだ作品が多くなる。タイトルには「妖怪」とあるが、オリジナル妖怪や幽霊っぽいのが出てくる話も多く、あまりこだわりは感じられない。

 一通り読んでみて感じたのは、特に実話怪談風、都市伝説風の作品に関して、扉合わせて8ページ前後では読者の視点(人称)をコントロールするのが難しそうだなーってことだった。よく全員死亡オチの怪談話を本当にあった調で語られると「え? それじゃその話、一体誰から聞いたんだ?」ってなるけど、端緒とオチまでがめっちゃ近いので、あれに似た違和感がどうしても拭いきれない。変化をつけ難いから構成も似通ってしまうし、結局オチの怖い絵勝負みたいになっている。いっそ実話怪談ってことにしてしまえば、人称云々の難易度は下がりそうだけど……。

 収録作のなかで印象に残ったのは、にしだかなの『崖棲みの妖怪』。子供とごく小さな怪異の関係と、それを取り巻く環境が描かれた作品で、これは飛び抜けてよかった。怪異との距離感が素晴らしい。この人の作品、もっと読みたいと思って検索してみたら、ネコ漫画がずらっと出た。ネコ漫画、未知のジャンルだ。怪奇マンガは描いてないのかな。
 同様に子供と小さな怪異をモチーフにした池田さとみの『妖怪 一寸』(←怖い話じゃない)もよかったが、最終ページの柱コメントがハンパなくいらない。なんだこれ。8ページの作品のなかでは、高荷真弓の『妖怪 墨男』が古き良き怪奇マンガを彷彿とさせるタッチで印象に残った。

 という感じで思うところはあったけれど、やっぱこの手のアンソロジーは楽しい。コンビニでふらっと買ってしまっても、後悔のない一冊。以下収録作品↓



『妖怪 雨宿り』大矢夢
『妖怪 べとべとさん』佐原ナギ
『妖怪 墨男』高荷真弓
『妖怪 隙間女』ひるのつき子
『妖怪 茶釜女』紫卯野まゆ ※時代もの
『妖怪 雲外鏡』浅野りん
『妖怪 さみしんぼう』織田千代
『妖怪 竹とりの怪』tamacco(たまっこ)
『妖怪 人もどき』ヒワタリ
『妖怪 みがわり地蔵』柴秋尾 ※時代もの
『妖怪 変身鏡』灰花弘
『妖怪 座敷童』幡司みとう
『妖怪 濡れ女子』カナコロ
『物見の文士 怪篇酒呑童子事件』えす☆おう ※時代もの
『妖怪 恨み蛇』糺ノ森たゆた
『妖怪 もざいく』瞳ちご
『妖怪 メトロノーム 〜ふるえる音階〜』たらさわみち
『崖棲みの妖怪』にしだかな
『妖怪 がしゃどくろの骨』山崎零
『妖怪 一寸』池田さとみ
『− 九十九堂奇譚 − 妖怪 白無垢』慎結
『妖怪 伍伴』永尾まる ※時代もの
『妖怪 エンミスベリ』まわれぎみ




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Posted byserpent sea

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