ピエール・プロブスト『カロリーヌのつきりょこう』

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 ピエール・プロブスト(Pierre Probst)絵と文, 土家由岐雄文『カロリーヌのつきりょこう』("Caroline sur la lune"『オールカラー版 世界の童話 19 カロリーヌのつきりょこう』小学館 1974 所収)

 前々々回の感想でちらっと触れた小学館の「オールカラー版 世界の童話」、ずっと実家の段ボールに入れたままなんだけど、そのうちの「カロリーヌ・シリーズ」4冊だけは今でも手元に置いてる。小学校の図書室にも置かれてたので、懐かしい! って人もいるかもしれない。内容はフランスの女の子カロリーヌが仲良しの動物たちと一緒に、海や山やサーカスや月面に出かけては、ひたすらキャッキャウフフと戯れるというもので、多かれ少なかれ訓話的な要素を含んだ童話のなかにあって、鮮やかな異物感を放っていた。作画は華やかで美しく、ずっと眺めていても飽きないくらい緻密で、すべてのキャラが可愛らしく表情豊かに描かれている。

 この『カロリーヌのつきりょこう』は、カロリーヌ一行がエクリプス博士の作ったロケットで月まで行って、遊び回って帰ってくる(だけ)という、シリーズ中もっともSF色の濃いエピソードだ。


 ※そんな本の中身を下の「続きを読む」から少しだけ紹介します↓

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 大気圏脱出。加速Gでこんな表情になってる。動物と普通に話せる童話的な世界観ながら、重力加速度はしっかり発生するし当然月は真空。リアリティのさじ加減が素晴らしい。
 それにしても居心地の良さそうなコクピットだ。操縦はカロリーヌ一人にまかせて、あとの面々はすっかり旅客に収まってる。だいたいいつもこんな感じで、カロリーヌは引率のお姉さん役をしてることが多い。黒ネコのノアローの足の感じが愛らしい。

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 食事風景。月と地球のあいだで無重力になってる。「ちきゃうの ひっぱるちからが、なく なったのよ。」
 カロリーヌに抱きついてるヒョウのピトーは、全然出てこないこともある地味なキャラなんだけど、怖がりなのかこんな感じでカロリーヌにくっ付いてることが多い。この部屋は上のコクピットの、すぐ下にあるようだ。結構広いなあ。

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 月面到着。このあと種を蒔いたりリンゴの苗を植えたりスケッチしたりという活動を開始する。
 ヘルメットにクモが入ってしまってるのは子犬のユピー。無邪気で天然なおいしいキャラで、メインで描かれることが多い。著者が一番最初に創出したのがこのユピーなのだとか。ずっとゴールデン・レトリーバーの子犬だと思ってたんだけど、モデルはコッカー・スパニエルらしい。

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 一つ目の宇宙人襲来。この宇宙人、耳の付いたヘルメットから分かる通り、正体は黒ネコのノアローだった。安易に宇宙人を出さないのがこの作品らしい。
 月ロケット「こぐまざごう」は補助ブースターも再突入カプセルも用いずに、大気圏脱出と再突入をこなす超高性能ロケットだ。デザインもかっこいい。

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 無事? 帰還。開放感がハンパない。白ネコのプフは月でもニンジンの種を蒔いてたけど、ニンジン好きなんかな……。

 どこをとっても名場面ばかりなので、思わず全ページ乗せたくなってしまった(全26ページです)。
 最初に書いた通り、この「カロリーヌ・シリーズ」は「オールカラー版 世界の童話」に4冊ラインナップされいて、それぞれの巻に3~4話ずつが収録されている。この『カロリーヌのつきりょこう』には『うみへいったカロリーヌ』("Caroline a La Mer")『カロリーヌのサーカス』("Le Cirque De Caroline")『あたらしいおうちのカロリーヌ』("La Maison de Caroline")が併録。

 今書店で買うことができるのは、BL出版から刊行されている「カロリーヌとゆかいな8ひきシリーズ」。現在フランスで刊行されている本の日語版で、この「オールカラー版 世界の童話」に収録されたものとは所々内容が異なっている。著者がどんどん手を入れたために時期によって色々なバージョンがあるらしい。また現在刊行されてないエピソードもある。「ひとくいじんしゅ」なんかも出てくるので、復刊は難しそう。

 というわけで、この本はまだ文字が読めないころから読んでもらってたらしいし(←覚えてない)、自力で読めるようになってからは、それこそ暗記してしまうほど繰り返し読んだ。キャラクターの好みもここで形成されてしまった気がする。例えばきんモザでは迷いなくカレンが好きです。また機会があれば「ひとくいじんしゅ」が出てくる話も紹介します。



『オールカラー版 世界の童話 19 カロリーヌのつきりょこう』
 小学館 1974
 著者:ピエール・プロブスト(Pierre Probst)
 訳者:土家由岐雄/福島のり子
 監修:波多野勤子/浜田廣介/村岡花子
 編者:教育童話研究会

 収録作品
 「カロリーヌのつきりょこう」("Caroline sur la lune")
 「うみへいったカロリーヌ」("Caroline a la mer")
 「カロリーヌのサーカス」("La cirque de Caroline")
 「あたらしいおうちのカロリーヌ」("La maison de Caroline")

 ISBN-13:978-4-0924-7019-4
 ISBN-10:4-0924-7019-3




オールカラー版 世界の童話 19 カロリーヌのつきりょこう

 

 ピエール・プロブスト『カロリーヌつきへいく (カロリーヌとゆかいな8ひき)
 BL出版版の「つきりょこう」です。
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Posted byserpent sea

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