手塚治虫『ドン・ドラキュラ〈2〉』

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 手塚治虫『手塚治虫漫画全集 MT249 ドン・ドラキュラ〈2〉』講談社 1982

 チョコラはもちろん、ブレンダまでが大活躍する第2巻。ブレンダにいたってはブレンダメインの話もあって誰得感がハンパない。でもおもしろい。今回もチョコラは妙な事件に巻き込まれたり巻き込んだりしてる。一見大人しげに見えるけど、実際は喜怒哀楽が激しいおてんばな女の子だから、劇中でバタバタ動いてるのが実に可愛らしい。

 収録されてる全9話のうち、第4話はチョコラがメイン。それ以外の話でもヒロインらしい活躍を見せる。オスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』(1890)をモチーフにした「第2話 いとしのブレンダ」では、ドリアン・グレイとは似ても似つかない不細工な怪人に、ネグリジェ姿でさんざん追いかけ回されたりしている。か弱い立ち振る舞いがいかにもジャンル映画のヒロインって感じで、飛んで逃げりゃいいじゃんっていうのは無粋。この話は一応ブレンダの過去話でもある。
 父親にむりやりカンニング鉛筆を持たされてテストを受ける「第4話 どうしてもドラキュラ」でも、チョコラの泣いたり困ったりといった表情が堪能できる。まじめで快活なわりに、勉強があまり得意じゃないらしいのがすごくいい。試験勉強のために、棺桶のなかに教科書を持ち込んでいるのもおもしろい。この作品を読んでいると、棺桶がすごく快適そうに見えてくるから困る。とりあえず読書には向いてそうだ。
 それからチョコラが日を浴びると灰になる体質を改善しようとがんばる「第5話 ドラキュラは夜にかぎる」も、相変わらずのいい脱ぎっぷりでチョコラファン必読。妙な宗教団体にかどわかされて、奉仕活動という内職をさせられたりする。

 チョコラ以外の部分にもちらっと触れておくと、前記のドリアン・グレイをはじめゲストキャラが多彩なのがこの巻の特徴。難民として東南アジアからやってきた半魚人、蘇ってチョコラを狙う「串刺し公」ことブラド・テペシュ・ドラキュラ、狼に変身するロン・チャニイ族の吸血鬼など。
 少しほろ苦かったり、しんみりする話もあるけど、基調はもちろんドタバタ。前巻と比べると、既存のもののパロディよりも、独自のネタが多くなってるような気がする。とにかく楽しく読める作品。


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