『暴行魔ゴリラー』

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 暴行魔ゴリラー

 この作品は国内DVDとしてはわりと珍しく、片面2層のDVDに別の作品と一緒に収録されている。もう一本は傑作オカルト映画『マニトウ』(1978)で知られるウィリアム・ガードラーの『アサイラム・オブ・サタン』(1971)で、それを目当てに購入。本作の方は、まあ恋愛映画とかじゃないからいいかなって程度の認識で、内容から何から全然知らなかったのだが、予期せず楽しい映画でラッキーだった。

 映画や小説にマッドサイエンティストは数あれど、この作品に登場するクローマン博士のマッドぶりはかなり突き抜けている。なにせ白血病を治療するために、最愛の息子にゴリラの心臓を移植してしまうのだ。もちろん息子は同意なんてしてない。手術は成功したように思われたが、博士と助手の目の前で息子はみるみるマッチョ化&顔だけゴリラ化。二人をなぎ倒して逃亡する。
 市中に出た息子は湯上がりの美人に暴行をはたらいて殺害。正体がばれる前になんとか息子を確保した博士たちだったが、やっぱゴリラの心臓がまずかったんじゃね? ってことで、今度は女子プロレスラーの心臓を移植してみることにした。幸いにも博士の勤務する病院には、試合中の事故によって昏睡状態に陥った選手が入院しているのだ。早速彼女を運び出して、再び移植手術を行う博士たち。今度も手術は成功したように思われたのだが……。

 パッケージ(上の画像の裏面です)に載ってる真っ赤なキャットウーマンみたいなキャラが、女子プロレスラーで結構脱ぎっぷりのいいヒロイン。心臓を奪われた選手の友人であり、彼女を病院送りにした張本人だ。ストーリーにはほとんど絡まないが、随所に挿入される超まったりした試合とシャワーシーンで作品に花を添えている。暴行魔ゴリラー(←博士の息子)とのバトルが見れると期待してたんだけど、残念ながらそんなシーンは最後までなかった。
 思い出したように挿入されるゴアシーンは本作の見どころの一つだ。造形物とナマモノが適当に使い分けられていてなかなか気持ちが悪い。タイトルバックにも用いられている量感たっぷりの血液は、朱色っぽい鮮やかな色味で画面によく映えている。

 主役の暴行魔ゴリラーはフレドリック・マーチのハイド氏をもっと雑にした感じのメイクで、変身後は中の人も明らかに交代している。雑っていうとただ貶してるみたいになってしまうが、パイを投げつけられた顔面が計らずも溶解人間になったみたいな、即物的な奇怪さに溢れた造形で、作品のカラーにはよく似合っていると思う。そう言えばこの作品、一見狼男ものの亜種っぽいけど、より『ジキル博士とハイド氏』に近い。そこに『フランケンシュタイン』や『モルグ街の殺人』のシチュエーションをプラスして、女子プロレスとスプラッターをべちょべちょトッピングした感じ。全体に色々ゆるいしテンポも今風じゃないけど、なにかと盛り沢山で楽める作品だった。それにしても最後の方で、ゴリラーが見せたいくつかの行動は、女性の心臓が移植されたからという表現だったのだろうか。めっちゃ分かりづらい。



『暴行魔ゴリラー』("NIGHT OF THE BLOODY APES")
 1968 メキシコ
 監督:ルネ・カルドナ
 製作:ギレルモ・カルデロン/アルフレード・サラザール
 出演:アルマンド・シルヴェストレ/ノーマ・ラザレノ/ホセ・イライアス・モレーノ
 上映時間:83分


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Posted byserpent sea

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