伊藤潤二『うずまき 第16話 続・混沌』

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 伊藤潤二『うずまき 第16話 続・混沌』(『うずまき』小学館 2000 ビッグ コミックス ワイド 所収)

 前回、前々回から引き続き、瓦礫の山と化した黒渦町でのサバイバルが続く。混迷の度合いは増々深まっていて、すでに取り返しはつかないっぽい。

 町には未だに外部からやって来る人が後を絶たない。ボランティアや報道関係の人々である。ところが町に入ったが最後、あらゆる手段を尽くしても外に出ることができない。海から逃げようとしても、でっかい渦巻きに船ごと呑み込まれてしまう。黒渦町のあちこちには行き場のない、大勢の人々がさまよい歩いている。前話で長屋から追い出された桐絵たち一行は、そんな人々と合流して瓦礫のなかを行く。安全な場所は町中に点在する件の長屋だけ。しかし長屋にはすでに住民が容積一杯に詰まっていて、押し合いへし合いするうちに身体がねじ曲がり、絡み合い、解きほぐすことさえできなくなっている。そして崩れた長屋からはみ出した自分たちの体を、廃材で覆い隠すように長屋を増築している。桐絵たち一行のなかには体調の異変を訴える者が出はじめていた。のろのろ動いているうちに、ヒトマイマイに変化しつつあるのだ。

 この第16話にはいつにも増して面白い絵が多かった。海に呑み込まれるイカダや艦船、長屋からはみ出した人のカタマリ、内側から増築されていく長屋などなど。これまでの話を見返してみると、著者は各話ごとに最低でも1枚、キーとなる絵をまるっと1ページ使って見せている。今回だと長屋からはみ出した人々。それぞれの話にはこういった一枚絵から展開したものと、全体のストーリーに沿って発想されたものがあるように思う。
 それとこの話で桐絵たちは、とうとうヒトマイマイの肉を口にしてしまう。結構あっさり食べてる。ちょっと前にペットや友達を泣きながら貪り食うアニメをやってたけど、あんな風な悲壮感は全然なくて、せいぜい気持ちわる……って感じ。著者独特のノリだ。

 今回は弟のヒトマイマイ化に気付いた桐絵が、町を出ることを決意したところで終わり。残すはあと3話+特別編だ。


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Posted byserpent sea

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