美堀真利『コックリさんの不思議』

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 美堀真利『コックリさんの不思議 簡単にできる交霊術のすべて』日本文芸社 1986 舵輪ブックス

 HOW TO コックリさん本。

 この本は随分前に古書店の均一棚で発見して、見かけない本だし一応買っとくかなーって感じで購入したものだ。ぴらぴらっと読んでそれっきりになってたのを、この前コックリさん関連のエピソードがいくつも載ってた『ほんとにあった怖い話〈3〉読者の恐怖体験談集』(←前の記事へのリンクです)を読んだのをきっかけに、引っぱり出してきて再読してみた。

 表紙がまずこんな感じ↓

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 ……ゆるい。というのが第一印象。確実に以前読んでるはずなのに、まったく記憶に残ってなかった。カバーの解説には「この本では、だれにでもできる「コックリさん」をメインにして、あらゆる交霊術の基礎をやさしく説明しています。どうぞ “不思議の国” へいらしてみませんか!?」とあり、コックリさんがまるで「○○語会話」や「××ダイエット」みたいな扱いになっている。中身もまさにそんな感じで、構成は↓
「PART1 コックリさんは交霊術 (コックリさんの人気は抜群)」「PART2 コックリさんで幸せに (全国からのお便りを紹介)」「PART3 コックリさんのあれこれ (不思議なコックリさん)」「PART4 コックリさんのやりかた」「PART5 コックリさんで霊障害 (霊障のおきた人たちの実話紹介)」「PART6 霊が憑いたとき (ほっておけない低級霊)」「PART7 世界の交霊術 (交霊術は世界中で行なわれる)」「PART8 世界の交霊術師 (あらゆる霊と交信可能)」……という8章。( )は中見出し。

「PART1」はコックリさんの概要と「交霊」の作法についての簡単な解説。コックリさんは霊能力がゼロの人でも手軽に行うことができるので、「現代まですたることなく行われている人気ナンバーワンの交霊術です」(p.10)とのこと。作法として服装や道具、場所、時間のほか、トイレに行っておくとか睡眠不足時は避けるとか、細々とした注意事項が書かれている。
 コックリさんの効果効能について書かれた「PART2」では、全国からのお便りを紹介。「おかげで事業が大成功」「大ケガから救われた」「コックリさんで命びろい」「コックリさんが縁結び」「幸せな結婚へ」「計画はすべて順調」などなど、誇大広告っぽい「お便り」が並んでいる。このブログはトンデモ本に突っ込みを入れる系のブログではないのだが、それでも「コックリさんのおかげでこんなにハッピーになりました!」的な、無性に突っ込みたくなるような「お便り」が盛り沢山だった。

 著者の体験を交えつつコックリさんの歴史や「キツネ憑き」について語る「PART3」、本書のメイン(多分)「PART4 コックリさんのやりかた」。この「PART4」はかなりすごかった。ポピュラーなコインを用いるスタイルのほか、4例のコックリさんの方法と、その際に用いる図が9例掲載されている。そして現在行われているコックリさん系の「権現(ごんげん)さま」「精霊さま」「霊魂さん」「守護霊さま」「分身さん」「星の王子さま」「キューピットさま」「エンゼルさま」「ラブさま」のなかから、「もっとも人気の高いベストスリー」(p.76)として「エンゼルさま」「守護霊さま」「キューピットさま」を詳しく紹介している。コックリさんと同じじゃないかっ!!(つのだじろう『うしろの百太郎』より)ってのはさて置き、本書ではそれぞれ「エンゼルさま」「守護霊さま」「キューピットさま」にお伺いをたてるという設定。ちなみに「エンゼルさま」「守護霊さま」はシャーペンやマジック、「キューピットさま」では10円玉を用いるらしい。色々突っ込みどころは多いものの、当時どんなコックリさんのバリエーションが流行っていて、どのような方法でそれらが行われていたのか、こうした点の詳細な記述に関しては高く評価できると思う。続いて「PART5」ではコックリさんのリスク、「PART6」ではリスク(霊障)が生じた場合の対処法や呪符が掲載されている。

 全体の印象としては上記の通り、めっちゃゆるく、軽い。70年代のオカルトブームのころのまだまだ土着的だったコックリさんと比較すると、浮世離れ感がハンパないようにも思われるが、実際のところはどうだったのだろう。
 本書は『ほんとにあった怖い話〈3〉読者の恐怖体験談集』が出た前年の1986年に刊行されている。前にも書いたけど雑誌『ムー』では麻原彰晃が空中浮遊を披露し、日渡早紀の「ぼく地球」にインスパイアされたかのような前世の友達募集が、ペンパル欄で異様なオーラを放っていた。『ほんとにあった怖い話〈3〉読者の恐怖体験談集』の感想では「オカルトっぽい出来事に限ってみても、社会全体が狂乱状態に陥っていたかのような印象を受ける」と書いたが、当時行われていたコックリさんやそのバリエーションの交霊の数々は、そんな社会にちょっと疲れた人々が描いた妄想の世界の、理想の自分探しの一環だったのかもしれない。本書の著者は霊能者で占い師、血液型占いやタロット占いなどの著作も多い。


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Posted byserpent sea

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