手塚治虫『ミクロイドS〈2〉』

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 手塚治虫『手塚治虫漫画全集 MT184 ミクロイドS〈2〉』 講談社 1981

 この第2巻は全3巻のなかでも最もスペクタルで、パニックホラーっぽい展開をみせる。あと1冊ではとても終わりそうにない感じだ。マナブの落第が決定したその夜、ギドロンの地上侵攻がはじまった。昆虫の大群が黒雲のように夜空を覆い尽くし町を襲う。家出の真っ最中だったマナブは水中に隠れて難を逃れたが、マナブの身を案じて飛び出した父親の「美土路博士」は、自動車で走行中に襲撃されてしまう。自動車を乗り捨て、からくも博士が逃げ込んだモーテルには、宿泊客らがシャッターを閉ざして籠城していた。『ゾンビ』(1978)というか、スティーブン・キングの『ミスト』(2007)に近い王道の展開だ。

 ここまでの前半では、穏やかな田舎の情景から突如人間が殺されまくるシーンへの転調が印象的だったが、後半には「蛾にあやつられる少女」こと「ミチコ」が登場する。身体を完全に乗っ取られ(頭に蛾がちょこっと生えてる)、マナブをかどわかす女子中学生だ。仮面ライダーなどで言うところの怪人の一人に過ぎないのだが、手塚美少女オーラ全開でこれが相当かわいらしい。徹底的にギドロンのはずなんだけど、なんだか悲壮感を漂わせている。とくに土砂降りの雨のなかの奥秩父ダムでの攻防は、やけに切なくて印象に残った。随所にヤンマたちの活躍も挿入されてはいるが、後半は「ミチコ編」といっても過言じゃない展開だった。そして今回もアゲハはお色気担当。マモルに誤飲されたマメゾウを助けるために、マモルの食道を降りていくのだが、狭い食道に圧迫されて「イヤーン」とかそんな感じのリアクションを連発している。

 最後にヤンマの実兄でギドロンの側に立つミクロイド「ジガー」が登場、マモル(と担任のノラキュラ先生)を誘拐したところで第3巻に続く。実はこの第2巻、めっちゃ大勢の人が死んでるのに、あまり凄惨さが感じられなかった。こういうのばっかり読んでるせいかな。


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