木下亀城, 篠原邦彦『日本の郷土玩具』

0 Comments
serpent sea
 木下亀城, 篠原邦彦共著『日本の郷土玩具』保育社 1962 カラーブックス 10

 これはずいぶん前、招き猫(※1)の本を探してたときに買った本で、招き猫についてはほんのちょっとしか載ってなかったんだけど、面白くて熟読、ついでにシリーズの郷土玩具関連本を集めるきっかけになった。

 保育社のwebショップ(※2)の解説によると「保育社のカラーブックス」は1962年の刊行以来、これまでに909点が刊行されている。最近では紙のカバーになってデザインもすっきりしたけれど、以前は薄緑色が基調の渋い(地味な)表紙にビニールカバーという装丁だった。今でも古書店ではしばしば見かけるおなじみのデザインだ。鉄道と旅行ジャンルに強いようなイメージがあったが、上記webショップでラインナップを見てみたところ、マイナーメジャー問わず、文系の趣味全般をすべて網羅するかのような細かなテーマ選択がなされている。『箸(はし)』『竹とささ』『小住宅の間どり』『水石』『青い海』など、不思議なタイトルが目白押しだ。『世界の妹』というタイトルに思わずぎょっとしてしまったが、よーく見たら『世界の味』だった。
 郷土玩具、民芸品関連ではシリーズ極初期(No.10)にラインナップされた本書をはじめ、『こけし』『民芸の旅』『郷土玩具の旅』『土鈴(どれい)』『越前竹人形』等々、かなり充実している。招き猫が出てないのが残念。

 この『日本の郷土玩具』では北海道から沖縄まで各県、各地域の郷土玩具が写真と解説で紹介されている。主要なものだけということだが、それでも相当な数で、全体を俯瞰するような構成になってるから、初心者にはぴったり。ずらっと並んだ色とりどりの郷土玩具を眺めているだけでも楽しいし、解説では現地の祭祀や慣習にまで言及されている。初心者をその道に気持ちよく誘うというのは、本書に限らずカラーブックスの特色だ。見てるうちにどんどん興味が湧いてくる。著者は二人とも地質学者で、きっと調査で各地に赴くうちに郷土玩具の虜になったのだと思う。

2014112601.jpg

 というわけで郷土玩具っぽいのを少し出してきた。

 本の上に乗ってる黒い馬と白い馬が、本書でも紹介されている福島県の「三春駒」。花模様の前掛けが特徴。黒い馬は赤ん坊や子供、白い馬は老人のお守りらしい。八戸の「八幡駒」仙台の「木下駒」と並んで「日本三駒」と呼ばれている。単体でも白黒二体セットでも販売されている。手前の目が><になっているかわいい馬は、岩手県の「南部古代駒」。模様のついた細切りの和紙で装飾され、首には鈴、墨書のされた桐箱に収められていてちょっと豪華な感じ。源義経の伝説に由来するともいわれている。
 古来名馬の産地として知られているだけあって、東北地方にはこういった「馬玩」が数多い。仙台出身の知人に聞いてみたところ「似たようなので、もっとでっかいのがお婆ちゃんのうちにあった」と言ってた。仙台には上記の「木下駒」がある。サンプルが1件なのでアレだけど、現地では想像以上にポピュラーで、一家に一頭とはいわないまでもごく身近な郷土玩具として親しまれているようだ。
 あと右のかっこいい大天狗はフリーマーケットで購入したもの。箱になにも書いてなくて、どの地方のものなのかさっぱり分からない(ご存知の方はぜひ教えてください)。胴体は松ぼっくり、頭部は銀杏のタネというオーガニックな造形に、赤に金のおめでたい感じのペイントがよく映えている。このなかで箱から出して飾ってるのは、この天狗だけだったりする(本棚に飾ってます)。

 たまーに目についたものを買ったり、お土産に貰ったりするだけで、積極的に郷土玩具を集めているわけではないのだが、この本を眺めていると旅行に行って現地で色々探してみたくなる。オークションやフリマもいいけど、郷土玩具を買うならやっぱりその土地で買いたい。


 ※1.関連記事です↓荒川千尋『郷土玩具 招き猫尽くし』
 http://serpentsea.blog.fc2.com/blog-entry-266.html

 ※2.「ほいくしゃの本屋さん」↓保育社直営のwebショップです。
 http://hoikusha-shop.jp/


関連記事
serpent sea
Posted byserpent sea

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply