『ほんとにあった怖い話〈2〉芸能界編』

0 Comments
serpent sea
ほんとにあった怖い話〈2〉芸能界編』朝日ソノラマ 1989 ハロウィン少女コミック館

『ほんとにあった怖い話』第2巻には「芸能界編」というサブタイトルが付いている。当初は「読者の恐怖体験談集 1〜」「芸能界編 1〜」って感じで別々のラインナップがあるのかと思っていたのだが(「作家編」「マンガ家恐怖体験談」等の別のシリーズもある)、実際には二つのサブタイがランダムに付けられていたようだ。「芸能界編」には本書のほか第21巻、第24巻がある。

 下記リストの7編はすべて雑誌『'87ハロウィン夏の増刊「ほんとにあった怖い話」芸能界編』に掲載されたもの。小エピソードを「第1話 〜」と並べた『夏・恐怖体験物語』だけが前巻の構成を踏襲している。「夜、寝入り際に見た」という趣向の体験談が多いが、それぞれ作風が全く異なっているため飽きずに読むことができた。前巻より各話が長くなったこともあって、マンガとしての結構も整っている。「※印」は各話の簡単な分類だが、ほとんどの話が複数のエピソードから成り立っているので、おおざっぱな印象といったところ。体験者側ではなく建物(主に民家)そのものに何らかの原因がありそうな話は「※幽霊屋敷」とした。



『スタジオの地縛霊!?』談・勇直子 画・藍まりと ※幽霊屋敷・原爆の幽霊・心霊スポット

『あかずの間の怪!!』談・パルコ 画・有久祐子 ※幽霊屋敷

『窓の外に動く影』談・藤井一子 画・しどりまさあき ※心霊スポット

『生きている幽霊 』談・阿部静江 画・亜木蒼子 ※幽霊屋敷

『夏・恐怖体験物語』談・志村香 画・近石雅史
 「第1話 ポスターから血が」
 「第2話 コンサート浮かんだ白い影」
 「第3話 緑山スタジオの怪!?」 ※心霊スポット
 「第4話 誰がノックをしているの……!?」 ※旅先の怪談
 「第5話 あれ!? 床がゆがんでる!」
 「第6話 誰がピアノを弾いてるの!?」 ※学校の怪談

『隣に横たわる女(ひと)』談・ジャッキー佐藤 画・関原新

『水をもとめる男』談・小松方正 画・岩本松徳 ※旅先の怪談・原爆の幽霊



 以上の収録作品のうち最も印象に残ったのは『スタジオの地縛霊!?』だった。体験者は幼少時を過ごした広島の家をはじめ、学校の図書館、引っ越し先の家、仕事先のスタジオ、ホテルなどで片っ端から心霊体験をしている。作画はハーレクインコミックスを中心に活躍する「藍まりと」。画風は最近のものとは全然異なっているが、ホラーコミックとしての完成度は高く、幽霊のデザインも工夫されている。なかでもp.36の幽霊はシンプルなめくりの効果も相まって非常に不気味だった。幽霊が出た日本家屋の自室の天袋から錆び付いたナイフが見つかるくだりは、類似したエピソードが現在の実話怪談にも散見される。
 またこのエピソードに出てくるスタジオは、周辺を含めて心霊スポットとして有名な「TBS緑山スタジオ」である。『窓の外に動く影』『夏・恐怖体験物語』各話の舞台にもなっている。芸能人ならではと感じさせる話が乏しいなかにあって、スタジオの話というのは数少ないそれらしいエピソードだ。

 というわけで、せっかくの「芸能界編」なんだけど、芸能関係のことに関して全く無知なので体験者については触れない(触れられない)。なんせ上記の体験者のなかで、ぱっと顔が浮かんだのは小松方正一人だけだった。当時の芸能事情に詳しい人なら、ノスタルジーに浸りつつより一層興味深く読めると思う。


関連記事
serpent sea
Posted byserpent sea

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply