伊藤潤二『うずまき 第13話 鬼のいる長屋』

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 伊藤潤二『うずまき 第13話 鬼のいる長屋』(『うずまき』小学館 2000 ビッグ コミックス ワイド 所収)

 ストーカー台風1号の被害はトンボ池の周辺にかなりの範囲で及んだらしい。家屋をぶっ壊された桐絵たち家族は、町に点在する長屋の一室に入居することになった。明治以前に建てられたといわれるこの長屋、桐絵の幼なじみが暮していたこともある(第五話)件の物件のひとつである。当然相当ボロい。しかも桐絵たちが入居した物件には「毎夜、鬼が出没する」なんて嫌なうわさがあった。

 案の定、長屋で暮しはじめた桐絵の周囲には、気味の悪い出来事が起こりはじめる。まずひとつめは魚の目。……うーむ、地味。だけど見た感じの不快感は強い。それから桐絵がまた懲りずにストーキングされてる。本人は気付いてないけれど、壁にあいた穴から隣室の男に覗かれていたのだ。びっくり箱、台風1号に続いて、三人?めのストーカーの登場だ。ろくな奴に好かれないなー桐絵、秀一を含めて……。
 この覗き男、最終的にはサボテンみたいなトゲトゲ怪人になって桐絵を襲うのだが、そのときたまたま上陸していた台風2号の強風で飛ばされてきた木材が突き刺さって、あっさり死亡。台風2号は前回の1号と同様に、トンボ池に吸い込まれて消える。

 この話、桐絵たちが引っ越してきて以降、魚の目→隣人の怪死→トゲトゲ怪人って感じで展開するのだけれど、「隣人の怪死」のパートが実にいい雰囲気。個人的には床板の穴と、隣の男の生えかけのトゲあたりで終わっても充分だったような気がする。トゲトゲ怪人、必要だったかなあ。ほとんど活躍しないで、すぐ死ぬし。……ただ以前から書いてるように、ほのめかして終わり! なんてことはせずに、とにかく出し惜しみなしに全部描くのが著者の作風。そこがすごいところでもある。


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Posted byserpent sea

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