「総力特集・ゴジラ」について

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serpent sea
 日本映画専門チャンネルでやってるゴジラ特集(※)、ようやく見終わりました。最初に書いておくと、全部おもしろかった! 雑な言い方だけどほんとにそんな感じ。

 前にも少し書いたけど、ゴジラ映画はこれまでしっかり見たことがなかった。とくに最初の方と2000年代に入ってからのやつ。もちろんまったく見たことがないのも結構あった。ソフトもギララやガッパはBOXで買ってるのに、なぜかゴジラは一本も持ってない。とはいえゴジラが嫌いってわけでもなくて(香山滋のファンです)、あんまり思い入れがなかったというのが正直なところ。それでこの機会に、全話じっくり見てみることにした。

 まず驚いたのは昭和ゴジラの充実ぶり。一本ごとに作品のカラーが全然違っている。ストーリーに連続性がある『ゴジラ』(1954)と『ゴジラの逆襲』(1955)や、『ゴジラ対メカゴジラ』(1974)と『メカゴジラの逆襲』(1975)のような作品でも、がらっと雰囲気が変わる。ゴジラ映画には基本的に「ゴジラ登場」→「人類迎撃」→「ゴジラ海へ帰る」ってフォーマットがあるから、それを踏まえた上で、変化をつけるための様々な試みがなされていたようだ。そんな昭和の作品群と比較すると、90年代に作られた『ゴジラVSキングギドラ』(1991)から『ゴジラVSデストロイア』(1995)までの五作品は、連続ドラマ的な見どころはあるものの、一作ごとの変化には乏しい。「今度はこう来たか!」って楽しさがスポイルされてしまって、まとめて見るとやや退屈な印象を受けた。

 というわけで、とくによかった三作品の感想書きます↓



 

『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966)

 まずはなんといってもこれ。ストレスフリーで、テンポも良好、目立った瑕疵のない良作。ゴジラ映画でどれが好きかって聞かれたら、まずこの作品をあげると思う。舞台は南海の孤島「レッチ島」。そこに漂着した主人公たち四人+南海の美女一人が、こっそり核弾頭を開発している組織相手に、コメディタッチの冒険をくり広げるという話。
 冒頭、暴風で荒れ狂った海面に、でっかいハサミがゆーっくり現われるシーンにまず度肝を抜かれる。エビラのハサミだ。でかい、怖い。特撮の仕上がりも抜群。海面スレスレのカメラアングルが絶妙で、シリーズ屈指の名シーンになっている。肝心のゴジラはというと、動きが妙に動物っぽい。むりやり起こされたからかなんとなくぼーっとしてるし、うとうとしたところをでかい鳥に突かれたりしてる。劇中の扱いもたまたま島にいた動物って感じで、積極的に人間とは絡まない。この動物っぽいゴジラとでっかいザリガニみたいなエビラの、岩石ヘディング&洋上バトルが最大の見どころ。ゴジラの動きがショーのアシカみたいでかわいらしい。この作品はずっと前にCSで見ておもしろかった覚えがあって、今回見返してもやっぱりよかった。恐山のイタコからはじまって核開発の島へという、振り幅の大きさも楽しい。唯一残念なのは小美人が……。



 

『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』(1969)

 鍵っ子で引っ込み思案の一郎少年が、あるとき強盗二人組に拉致されてしまうが、夢のなかのミニラのがんばりに励まされて危機を逃れる、という話。これまでまともに見てなかったことが悔やまれる傑作ファンタジー映画だった。この作品で怪獣が登場するのは一郎の夢のなかだけ。現実には怪獣が存在していない設定のようで、そういった意味ではシリーズ中最もリアルな世界観の作品だ。それからこの手の怪獣ものに出てくる子供って、どうも鼻につくキャラが多いのだけれど、この作品の一郎はへぼいところも含めてかなり好感が持てるキャラだった。また一郎と同じ団地に住む発明家役の、天本英世の好演も見逃せないポイント。
 小学校からの帰りに真空管を拾ったり、まだ鋪装されてない道路に沿ってやけに車高の高い車が並んでいたり、自分が知らない時代の風景なのに、なぜか懐かしく感じられるのが不思議。高度成長期の日本(怪獣ブームの真っただなかだ)の風景と子供の暮しぶりを堪能できる、リリカルで爽やかな作品。



 

『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967)

 操演怪獣カマキラス登場! これ大好きな怪獣だ。ギョーッギョーッと鳴きながら、ジャングルをゆらゆら歩いていく姿がたまらない。ミニラを小突きまわすシーンをはじめ、すべての登場シーンが実に自然で、どうやって操っているのか劇中のカットでは全然分からない。恐るべき職人芸だ。
 ストーリーはこれまた南海の孤島「ゾルゲル島」を舞台に、気象コントロール実験を行う老けメイクの高島忠夫たちの活躍を描くというもの。「南海の大決闘」と同様に、人は人、怪獣は怪獣で勝手にやってるって感じの作品だ。作品の出来映えも甲乙つけがたい。エビラのハサミのようなインパクトでは一歩譲るが、人物と怪獣を同一の画面に収めたハイクオリティな特撮が盛り沢山で見応えは充分。光線が乱舞するような華やかな特撮もいいけど、こういう地味な特撮の方が不思議と印象に残るし、くり返し見たくなる。最初はうえ〜って思ったミニラも、見慣れるとかわいく……はやっぱ見えないけど、味わい深いような気はしてくる。南海の雰囲気満点の作品。



 今回は録画とTVつけてやってたら見たので、なかには集中してくり返し見た作品がある。上記の三作品はとくに見飽きない作品だが、このほかにも『ゴジラ対ヘドラ』(1971)、『ゴジラ対メガロ』(1973)、『ゴジラ対メカゴジラ』、『ゴジラVSビオランテ』(1989)などがよかった。(『ゴジラ』(1954)に関しては前に少し書いてます。香山滋『ゴジラ』←前の記事へのリンクです。)
 あとかっこよかった怪獣は、まず「メカゴジラ」の最初のやつ。いかにも悪そうで、文句なしにかっこよかった。それから「カマキラス」「ヘドラ」「ビオランテ」。「オール怪獣大進撃」の「ガバラ」もガキ大将みたいでよかった。

 この日本映画専門チャンネルの特集は、ゴジラ生誕六十年&ハリウッド版公開記念の企画だったんだけど、ものすごくよかったので、ほかのシリーズでもなにかきっかけを見つけて、こんな感じの企画をやって欲しい。いやーほんとよかった。お腹いっぱい。

 ※ 日本映画専門チャンネルの「総力特集・ゴジラ」特設サイト ↓ 当時のポスターや各作品のあらすじが載ってます。
 http://www.nihon-eiga.com/osusume/godzilla/


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Posted byserpent sea

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