クライヴ・バーカー『ミッドナイト・ミートトレイン』

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 クライヴ・バーカー(Clive Barker)著, 宮脇孝雄訳『ミッドナイト・ミートトレイン』("The Midnight Meat Train"『ミッドナイト・ミートトレイン 真夜中の人肉列車』集英社 1987 集英社文庫 血の本〈1〉所収)

 いやーひどい話だった(←褒めてます)。まじで血みどろ。

 主人公のカウフマンがニューヨークで暮らしはじめて三ヶ月少々が経った。ニューヨークの街に対する憧れはすっかり薄れてしまっていたが、それでも「あばずれ女」に抱くような愛情を彼はなおも持ち続けていた。そんなとき地下鉄の車内で猟奇的な連続殺人事件が発生する。被害者は吊り革に吊るされ、アンコウのような状態で解体されていた。犯人はマホガニーという初老の男で、もう一人の主人公である。彼は《祖父たち》という何者かの意思に従って犯行を重ねているらしい。そんな二人の主人公が、爆走する地下鉄の血まみれの犯行現場でばったりと出会った。

 このあと主人公二人によるバトルがあって、さらにラヴクラフトの『ピックマンのモデル』(←前の記事へのリンクです)をアップデートしたかのような驚きの世界観が開示される。最後の方までシリアルキラーものっぽく話が進むから、《祖父たち》が登場して以降の展開には唖然としてしまう(←もちろん褒めてます)。
 様々なタイプのホラー小説をものにしている著者だが、なかでも「ハチャメチャな出来事の背後に、実は「歴史」の意思のようなものがあって、それが現在の人々に人知を越えた強烈な作用を及ぼしている」といった、伝奇ロマン色の濃い作品には、ビジュアル的にもスケールが大きく、おもしろいものが多い。この作品や以前感想を書いた『丘に、町が』(←前の記事へのリンクです)など。血まみれで、バラバラだったりするわりに、「なんかスゴい」って印象が先に立つためか不快感は少ない。

 この作品が収録されている「血の本・シリーズ」の一冊『ミッドナイト・ミートトレイン 真夜中の人肉列車』は、著者クライヴ・バーカーのデビュー作で、八十年代のホラー(ビデオ)ブームの終わりのころに、日本で翻訳された著者の最初の本でもある。スプラッタームービーからの強い影響を肯定的に、前面に押し出したものとして先駆的な作品となった。解説はイギリスのホラー小説界の巨匠ラムゼイ・キャンベル(ラムジー・キャンベル)。「数十年に一人の脅威の新人」の登場を熱っぽく語っている。


 ※この作品は数年前に『ゴジラ FINAL WARS』(2004)の北村龍平監督によって、突如ハリウッドで映画化されている↓

 ミッドナイト・ミート・トレイン [DVD]』角川書店 2012


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Posted byserpent sea

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