島田荘司『出雲伝説7/8の殺人』

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 島田荘司『出雲伝説7/8の殺人』光文社 1988 光文社文庫

 バラバラにされた七つの女性のパーツが、それぞれ異なった電車で運ばれて、七つの駅に漂着する。犯行の動機も、なぜそんな面倒な手段で死体をばらまいたのかも分からない。なにより頭部が見つからないから、被害者の身元さえ確定できない。休暇で山陰地方を訪れていた警視庁捜査一課の吉敷竹史は、たまたまこの犯罪の渦中に巻き込まれていく。

 この本を買ってきたのは「出雲伝説」って所に惹かれたのと、これまでに読んだ著者の作品がもれなく面白かったから。で、読んでみたらやっばり面白かった。『占星術殺人事件』の印象がものすごく強かったので、最初またバラバラかよ! って思ったけど全然違ってた。
 今回はすごく珍しく、トリックの概要が早い段階で掴めたから、読み進めるうちに自分の思いつきがどんどん証明されていく感じが楽しかった。こういう事はまずないので珍しい経験だった。

 タイトルの「出雲伝説」は記紀の三割程度を占める「出雲系神話」の事を指していて、それがややこしいトリックに見事に融合されている。スサノオノミコトのヤマタノオロチ退治をはじめ、五穀の起源や因幡の白兎の話なども取り入れられているし、ここぞという場面で女性に化けた男が活躍するのも、それとは書かれてないけどなんとなく日本神話っぽい。
 (実はこのあとヤマタノオロチついて、いつも以上に長々と書いてしまったのだけれど、いつも以上に本題からかけ離れてしまったので今回は削除してしまった。もうちょっとぴったりな記事の時にでも書き直そうと思う。)

 ところで上の方で「謎はすべて解けた!」的なことを調子にのって書いてるけれど、最後まで読んでも分からなかった事がある。犯人はなぜ親族を巻き込んでまで、あんな面倒で足のつきそうな手段を選んだのだろう。単にアリバイを作るためとも思えないし……。もしかすると一気に読んでしまったから、おもっきり見落としているのかもしれない。色々うっすら忘れたころに再読してみよう。
 これまで時刻表が載ってるトラベル・ミステリーは、ほとんど読んだことがなかったけど、上記のような興味深いネタがラストまで途切れずに出てきて、とても楽しく読むことができた。ほろ苦いエンディングも、作品全体のなんとなく寂寞とした雰囲気にぴったりだと思う。



『出雲伝説7/8の殺人』
 光文社 1988 光文社文庫
 著者:島田荘司

 ISBN-13:978-4-3347-0722-4
 ISBN-10:4-3347-0722-X
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Posted byserpent sea

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