レイ・ブラッドベリ『霧笛』

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 レイ・ブラッドベリ(Ray Bradbury)著, 伊藤典夫訳『霧笛』("The Fog Horn"『恐竜物語』("Dinosaur Tales")新潮社 1984 新潮文庫 所収)

 先日からの続き。

 プラモデルが発売されるってことで、日曜日は半日、雑誌の『怪獣ゴルゴ』(1959)関連の記事を眺めながら、DVDを見て過ごした。先月は後先考えずに散財してしまって月末やばかったが、今月はまだ『でろでろ』の新装版と文庫2冊雑誌1冊、それから安めのミニカー(BRUMMの)を1個買っただけなので、予算がめっちゃ潤沢。月末が待ち遠しい。

 映画の『怪獣ゴルゴ』には原作がない。おそらく「怪獣ゴルゴのすべて」みたいな本も、残念ながら出てないと思う。だだ怪獣映画を取りあげてる雑誌や、秋田書店の「大全科」シリーズのような児童書には、記事はちっこくても紹介されていることが多く、マイナーメジャーの代表って感じだ。去年出た洋泉社の『世界怪獣映画入門!』のなかには、嬉しいことにゴルゴに関するまとまった記事があった。映画が完成するまでの紆余曲折が書かれていて、ゴルゴファンにはおすすめの本だ。貴重なスチル写真も沢山載っている↓

 別冊映画秘宝 世界怪獣映画入門!』洋泉社 2013 洋泉社MOOK

 随分前に出た同じく「映画秘宝」の怪獣特集号にも確かゴルゴの記事があったと思うが、今手元にないので詳細は不明。
 それから監督のユージン・ローリーについてのいい感じ(多分)の記事が『ZE CRAIGNOS MONSTERS』って本に載ってた。怪獣映画関連の本では『原子怪獣現わる』(1953)『大海獣ビヒモス』(1959)の特撮を担当したレイ・ハリーハウゼンにスポットがあたることが多いから、監督をしっかり取りあげた記事は珍しいんじゃないかと思う。もちろん記事のなかにはゴルゴのこともばっちり載ってるのだが……。実はこの本、全部フランス語なのでさっぱり読めないのだ。フルカラーでフランス版のポスターなんかも載ってるから、眺めているだけでも楽しいけど、やっぱ読めた方がいいな。

 ……と、ここまで書いてハタと気付いたんだけど、『大海獣ビヒモス』→『原子怪獣現わる』→『怪獣ゴルゴ』と見て、ガッパ見てなかった。すっかり忘れてた。寝る前に見よう。

 本題の『霧笛』は先日のゴルゴ関連の記事からの流れで再読した。この作品はレイ・ブラッドベリの代表的な短編の一つで、恐竜小説の傑作として広く親しまれている。ストーリーはごくシンプルで、ある霧の夜、同族の鳴き声とそっくりの灯台の霧笛に呼び寄せられて、深海から古代の恐竜が現われるというもの。登場人物は灯台守の二人。主人公は恐竜。幻想的な一夜の出来事が、詩情豊かに描かれている。深い霧のなか、霧笛と呼応するように咆哮しながら灯台を襲う恐竜のイメージは、美しく切なく、かなり怖い。個人的に嬉しいのは、最後まで恐竜が人類にとっては危険な、単なる巨大生物として描かれているところ。人間に懐いたり媚態を演じるようなベタな描写はない。『城の崎にて』の主人公みたいに、恐竜に勝手に共感して、その孤独な心境をそれらしく代弁するのは灯台守の二人で、恐竜はどこまでも恐竜なのが素晴らしい。

 本作を映画化したのが上記の『原子怪獣現わる』なのだが、そう言われなければ気付かないほど改変されて、恐竜映画というより怪獣映画になっている。オリジナル恐竜の「リドサウルス」も、そのかっこよさはさておき、核実験で甦った原子怪獣だし、見た目も実は「ビヒモス」の方が本作の恐竜のイメージに近いように思う。ただしヘボい映画ってわけでは全然なくて、特撮のクオリティは非常に高く、灯台襲撃のシーンをはじめ見応えは充分だ。
 この『原子怪獣現わる』の美しい特撮を担当したのが、著者の高校時代からの大親友で、この作品が本格的なデビュー作となったレイ・ハリーハウゼン。本作が収録されている短編集『恐竜物語』には序文を寄せていて、また同書には彼をモデルにしたとおぼしき『ティラノサウルス・レックス』(挿絵はメビウス)という短編が収録されている。あとがきによると著者の結婚に際しては花婿付添人をつとめたらしい。めっちゃ仲いいな。



『恐竜物語』("Dinosaur Tales")
 新潮社 1984 新潮文庫
 著者:レイ・ブラッドベリ(Ray Bradbury)
 訳者:伊藤典夫

 ISBN-13:978-4-1022-1101-4
 ISBN-10:4-1022-1101-2


 原子怪獣現わる 特別版 [DVD]』ワーナー・ホーム・ビデオ 2013
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Posted byserpent sea

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