作者不詳『ジャックと七人の艶婦たち』

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 作者不詳, 中村康治訳『ジャックと七人の艶婦たち』("A Man with a Maid")富士見書房 1982 富士見ロマン文庫 -59- 1-15

 著者が同じかどうかはさて置き、『閉ざされた部屋』『快楽の生贄たち』『背徳の仮面』と続いてきた「A Man with a Maid」(原題は全部一緒)シリーズの最終巻。これまでのヒロインが再登場するほか、『快楽の生贄たち』でさんざんな目にあったモリーの従姉妹の「ジュリア」や、男装の少女「ウイルヘルミナ」といった魅力的な新キャラが登場して最終巻に花を添える。とくにウイルヘルミナは、ドMオーラを漲らせたシリーズ屈指の好キャラだ。

 内容は主にエロ方面の思惑を胸に秘めた女性たちが、アリスとの結婚をひかえたジャックの「閉ざされた部屋」を次々に訪れ、狂態を演じるというもの。物語の中盤でアリスとジャックが結婚したあとも状況に大きな変化はなかったが、新婦のアリスがにわかに独占欲を発揮して、少々めんどくさいキャラになっている。さすがにからみも食傷気味であまり新鮮味が感じられない。その代わりにアリスに次ぐくらいの扱いで、上記のウイルヘルミナが登場する。

 ウイルヘルミナは以前感想を書いた、これまた作者不詳の『わが愛しの妖精フランク』(←前の記事へのリンクです)のヒロイン「フランク」をほんの少し成長させたようなキャラで、その出自もそっくり。孤児院での「お仕置き」がトラウマになってるという点も共通している。「あとがき」には「ひとつの名作ポルノが現われると、同工異曲の作品が出版されるばあいが多い」とあって、フランクとウイルヘルミナもそういう関係にあるのかもしれない。時代的にぽっちゃりしたキャラが中心の作品にあって、貴重なスレンダー(ペタンコ)なキャラだ。作品の構成上、出番が限られてしまっているのが実にもったいない。

 プレイ内容はこれまで通りの拘束してからのくすぐり&打擲。人数が多いからそれぞれのエピソードはかなり短い。ダイジェストって感じになってないのは良かったが、同様に複数のキャラが登場した『快楽の生贄たち』と比べると、とくに後半やや物足りなく感じる。あと細かいところだと、陰毛や脇毛、「脇のあたりから、なんともいえぬ、微かに鋭い芳香が発しているのを嗅ぎとった」(p.30)って感じの体臭の描写が、前巻に続いて目についた。くすぐりとスパンキングはやや後者の方が多め。
 そんなわけでジャックの「楽園計画」が見事に成就したところで終わり。個人的には最後までアリスのことがあまり好きになれなかったのは残念だけど、「くすぐりいいね!」って人にはやはりおすすめの一冊。

 カバーのイラストは金子國義。赤の地に文字が白く抜かれたかっこいいデザイン。



『ジャックと七人の艶婦たち』("A Man with a Maid")
 富士見書房 1982 富士見ロマン文庫 -59- 1-15
 著者:作者不詳
 訳者:中村康治

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