伊藤潤二『うずまき 第9話 黒い灯台』

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 伊藤潤二『うずまき 第9話 黒い灯台』(『うずまき』小学館 2000 ビッグ コミックス ワイド 所収)

 今回の舞台は第1話の一コマめからばっちり描き込まれていた「黒い灯台」。海辺の町って設定が活かされる回。

 現在は使われてなかったはずの岬の灯台が、突如として螺旋状の禍々しい光を発しはじめた。住民からの苦情を受けて調査に赴いた面々はあえなく行方不明に。やがて灯台の光の悪影響からか、住民の行動に異常が発生する。
 そんなとき桐絵は弟の満男とその友達とともに、灯台の内部に立ち入ってしまう。灯台の内壁は暗闇で発光するうずまき状の紋様で覆われ、螺旋階段の途中には行方不明になった人々の黒こげの死体が横たわっていた。灯台は日が暮れると高熱を発するらしい。それに桐絵が気付いたとき、太陽は水平線に沈みつつあった。

 灯台に侵入→脱出、というごくシンプルなエピソード。しかしこの話、学校の友人知人といった桐絵の人間関係に収まりがちだったうずまきの怪異を、町全体にスペクタクルに展開する前振りとして、それからこのあとに続く病院を舞台とする話の導入として、結構重要な役割を担っている。
 また桐絵はこの灯台の内部に非常によく似た情景を、最終回で再び目にすることになる。後に大規模に繰り返されるネタを、プロトタイプのように事前に見せる構成は本作の目立った特徴で、波紋のように同心円に広がるイメージはまさにうずまきって感じ。

 ところで黒い灯台が実在するのかどうか気になって、色々検索してみたのだけれど、結局見つけることができなかった(外国にはあった)。そこで海上保安庁のQ&Aを見てみたところ、国内の灯台は一番光を反射して目視しやすいという理由から、大部分は白くペイントされているとのこと。検索では白と黒のシマシマのファンシーな灯台が出てくるけど、あれは北海道や北国の、周囲が雪で白くなってしまう地域の灯台らしい。
 そんな感じで色のバリエーションは少ないながら、国内にも様々な形状の灯台があってとても興味深かった。なかには文化材としての価値が認められて、保存処置を講じられているものもあるらしい。
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