作者不詳『背徳の仮面』

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 作者不詳, 行方未知訳『背徳の仮面』("A Man with a Maid")富士見書房 1981 富士見ロマン文庫 -53- 1-11

『閉ざされた部屋』シリーズ3作目。今回の犠牲者はアリスの姉のマリオン。ジャックとは今回が初対面のはずなのに、すっかり敵役の気の毒なキャラだ。とはいえやたらに高慢で気が強いキャラなので、そう気の毒でもないような気もする。これまで登場したヒロインたちが、たまたまみんな海外に行ってしまったことから、白羽の矢が立ってしまったのだった。

 マリオンはアリスよりも2歳年上の27歳で、丸っこかったアリスに比べるとすらっとしていて背も高い。黒い髪とオリーヴがかった美しい肌の持ち主。3年間の結婚生活に失敗して、今ではアリスとジャックの関係に水を差すようなことばかりしている。元夫との悲惨な夫婦関係が彼女の男性観を歪めてしまっているらしい。かなり好ましいキャラだ。

 そんなマリオンがいつもの「閉ざされた部屋」の生贄になるわけだけど、最後の方で彼女の小間使いケイが登場するまで一冊ほとんどマリオンの陵辱に費やされていて、そういった意味ではアリス一人に専心していた第一作の『閉ざされた部屋』の印象に近い。ただ決定的に異なっているのはジャックに対するマリオンの心証で、これがもうとことん悪い。最悪どころか憎悪の対象になってしまっている。そんなわけで、マリオンの「馴致」は一筋縄ではいかず、裸にするまでに全17章のうち5章もかかっている。

 裸にしてしまってからは、拘束しての打擲とくすぐりといういつもながらのコース。ただしマリオンの心がなかなか折れないために、陵辱感はこれまで以上に強い。また大勢の生贄が登場した前作『快楽の生贄たち』と比べると、マリオン一人に絞り込んだ分本作の描写は濃厚で、たとえばこれまであまり触れられてこなかった体臭などに関して、くり返し言及されていてフェチ度高め。

 カバーのイラストは金子國義。



『背徳の仮面』("A Man with a Maid")
 富士見書房 1981 富士見ロマン文庫 -53- 1-11
 著者:作者不詳
 翻訳:行方未知

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