実吉達郎『世界の怪動物99の謎』

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 実吉達郎『世界の怪動物99の謎 幻想と怪奇への招待』産報 1977 サンポウ・ブックス 99の謎シリーズ

 未確認動物を意味する「UMA」(Unidentified Mysterious Animal)という呼称が「UFO」(Unidentified Flying Object)を参考に作られた和製英語であることはよく知られているが、それを作ったのが本書の著者、實吉達郎だ。色々なかたちでTVに出演することも多いので、本は読んだことないけど本人を見たことあるって人も少なくないと思う。著者が「UMA」なる呼称をはじめて提唱したのが1976年、本書はその翌年に刊行されている。

 本書は産報のサンポウ・ブックス「99の謎」シリーズの一冊。自然科学や歴史の広範な雑学に関するシリーズで、UF0や超大陸などオカルト関連の書籍も多い。「~99の謎」という共通タイトルの通り、一つの「謎」に対して2ページの解答という構成で、99の謎について答えている。UMA関連では本書のほかに小畠郁生の『幻の古代生物99の謎』などが有名。

 本文は「1−日本の怪動物」「2−朝鮮の怪動物」「3−中国の怪動物」「4−欧米の怪動物」「5−南米の怪動物」「6−東南ア・豪州の怪動物」「7−アフリカの怪動物」「8-猛獣人間の謎」「9-巨獣の謎」「10-人食い猛獣の謎」という10章に大きく分かれている。8章はカマラとアマラなどの動物に育てられた人間について。9章はカバやゾウといった既知の大型動物、10章はオオカミ、トラ、ライオンなど人を襲う動物について書かれている。1~7章は地域別のUMAと伝説の怪物が取りあげられているが、アジアで一括りにされがちな朝鮮半島について、独立した章が設けられているのが珍しい。
 かつてエンコリの翻訳BBSで、朝鮮半島のUMA、妖怪、都市伝説に関する情報をさんざん探したことがあったのだけれど、書き込んでいる年齢層によるものなのか、誰に聞いても「トケビ」(独脚鬼←詳しくはwiki等参照)と「九尾の狐」の話、そうでなければ日中米の都市伝説のローカライズばかりでがっかりした覚えがある。本書でも朝鮮関連は4例と少ないものの、その「トケビ」については「26 トッカビ−日本の河童と関係があるか」というかたちで、しっかりと言及されている。

 あと気になる項目を少しあげてみると「1 デエラボッチ−日本にギガントピテクス時代があったか」「12 蟒蛇-日本に大蛇がいるか」「25 ツチノコ−その正体はヒメハブか」「43 バジリスク-中世的妄説と一笑に付してよいか」「45 ハーキンマー-フラットヘッド湖の怪物はコリソサウルスか」「53 ボイウーナ-全長五〇メートル以上のヘビは実在するか」「54 ミニョコン-大型の淡水海牛か」「58 タセク・ベラの "大蛇"-アパトサウルスでないとすれば何か」「60 ディプロトドン−古代獣の "遺体" は何を語るか」「71 コンガマトー-翼龍生存説は成り立つか」などなど、おもしろそうな設問が目白押し。99の謎全部あげたくなるほどだ。「45」のハーキンマーとは「スクリューのガー助」(参考『なぜなに世界の大怪獣』←前の記事へのリンクです)のことで、例の写真もしっかり載ってる。解答は科学的な考証というより関連の文献を紹介する感じのものが多く、基本的にUMAファンが喜びそうな方向。ただし「25」のツチノコに関してはヒメハブ説が有力とのこと。

 この「99の謎」シリーズ、かなり古いし知名度も高いのに、今でもとくにプレミア価格がつくこともなく、古書店のしかも均一棚なんかで見かけることも多い(古すぎてBOOKOFFとかでは無理かも)。もともと軽い読みものって感じで企画された本だと思うが、中身は相当マニアック。濃い内容が分かりやすく解説されていて、とても楽しい本になっている。
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