常光徹『学校の怪談 百円のビデオ』

0 Comments
serpent sea
 

 常光徹『学校の怪談 百円のビデオ』講談社 2009 講談社文庫

 本書は講談社KK文庫『学校の怪談』~『学校の怪談8』を加筆、再構成したもので、『学校の怪談 K峠のうわさ』の続巻にあたる。「百物語の世界」50話、「学校の七不思議」7話の、全57話を収録。これで『学校の怪談 K峠のうわさ』の50話と合わせて「百物語の世界」が完成する。

 概観については前巻と同じなんだけど、本書の特徴としていくつか気付くところがあった。
 まずメジャーな話が減って、具体的な場所やモノにまつわる(限定的な)怪談が増えていること。例えば「四国のあるところに、オッパショ石と呼ばれている、ふしぎな石があります」(p.134)ではじまる「第八九話 雷」など。

 それから幽霊、オバケが出てくる類いの話が極端に少ないこと。前巻でも感じたことだが、本書ではそれがより顕著になっている。欧米で「怖い話」というと、従来から霊的なものよりも犯罪や事故に関連するものの方が遥かに多いらしく、近年では日本でも徐々にその傾向が強くなっているという(※1)。
 例えば本書に収録されている「第六七話 死んだ猫」「第六八話 毒キノコ」はオバケの出ない話だけど、これらはジャン・ハロルド・ブルンヴァンの著作(※2)で紹介された話の類話で、ルーツはまさに欧米。「第六七話 死んだ猫」などは、古くは1906年の冬のアメリカを舞台とする話にまで遡ることができるらしい。どういう経路で伝わったのかは分からないけど、時代に沿って微妙に姿を変えながらも、それが100年後の日本の、どこかの小学校で語られているかと思うと楽しくなってしまう。

 本書はもともと小中学生向けの読み物ということなので、「ダルマ女」のような残酷なものや、露骨に性的な要素むものは排除されている。おそらく聞き取りを行った時点ではその手の面白い話もあったはずで、それを思うとちょっと残念。


 ※1. 池田香代子, 高津美保子, 渡辺節子, 大島広志, 常光徹編著『走るお婆さん 日本の現代伝説』白水社 1996
 ※2. ジャン・ハロルド・ブルンヴァン著, 大月隆寛, 菅谷裕子, 重信幸彦訳『消えるヒッチハイカー 都市の想像力のアメリカ』新宿書房 1988 及び ジャン・ハロルド・ブルンヴァン著, 行方均訳『チョーキング・ドーベルマン アメリカの「新しい」都市伝説』新宿書房 1990


関連記事
serpent sea
Posted byserpent sea

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply