伊藤潤二『うずまき 第8話 ヒトマイマイ』

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 伊藤潤二『うずまき 第8話 ヒトマイマイ』(『うずまき』小学館 2000 ビッグ コミックス ワイド 所収)

 本書に収録されている全19話+特別編のなかでも、とりわけ不快感の強いエピソードがこれだ。いやーきもい。改めて読み直してもきもい。カタツムリとかなめくじとか全然平気な人でも、これ読んだら嫌になるんじゃないかってくらいきもい。そのストーリーはというと……。

 桐絵のクラスには雨の日にしか登校してこない生徒がいる。その名は片山君。人の十倍くらい動きがのろいなんていわれて、クラスのいじめのマトになっている。あるとき桐絵は裸に剥かれた片山君の背中に、うずまき状の模様を目撃する。
 雨は降り続き、片山君は毎日教室にやってきた。背中のうずまきは日増しに大きく膨らんでいく。そして数日後、登校してきた片山君は、ほぼでっかいカタツムリと化していた。さらに翌日には粘液のあとを残しながら、校舎の外壁を這い回りはじめたのだった。

 軟体動物+人間と言えば、著者の名作『なめくじ少女』(←前の記事へのリンクです)。同じようにきもい超常現象を扱いながら、『なめくじ少女』が乙女の悪夢的なファンタジーっぽさを湛えていたのに対して、本作の「ヒトマイマイ」からはそういった印象をほとんど受けることがなかった。それはひとえに片山君の「ヒトマイマイ」化の過程やその生態が、より踏み込んで表現されているからで、その点において「ヒトマイマイ」は『なめくじ少女』の有していたアンニュイなファンタジーっぽさと引き換えに、怪物としてのリアリティを獲得している。あと目撃者も多いし。もちろん両作ともに完成度は非常に高く、どっちがよりきもいかは読者の好みによる。

 今回で学園を舞台とした話は終了する。このエピソードは映画でもしっかり再現されていた。CMにも校舎をの壁面を這いまわる「ヒトマイマイ」のカットが用いられていたので印象深い。あと後半のいじめっ子津村君とのBL的展開も見逃せないポイント。
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