楳図かずお『闇のアルバム』

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 楳図かずお『シリーズ〈こわい本〉〈4〉闇のアルバム』朝日ソノラマ 1983 サンコミックス

 懐かしのサンコミックス、「楳図かずお シリーズ こわい本」より。
 著者の鬼才ぶりが遺憾なく発揮された一冊。扉も含めてきっちり8ページの短編が24話収録されている。そのうち「その20 隣の人」を除く23話は、1ページ1コマ、つまり1話について8コマでオチがつくというすごい構成。男女関係のサスペンスを基調としながらも、それに拘泥することなく自由に発想を飛躍させている。

 恐怖には色々な種類があるけど、『洗礼』でさくらのちっちゃな脳みそが「ブチュッ」という擬音つきで踏み潰されて以来、著者の描く恐怖の根幹を成しているのは「絶望感」だと信じている。取り返しがつかない。逃げ道もなく目を逸らすこともできない、どうしようもない絶望感。

 もちろん本書においても、黒々と描き込まれた画面が発する強烈な絶望感を、たっぷりと堪能することができる。劇中の人物たちは、天井裏に忍んだ旦那や、足にしがみつくちぎれた女の片腕や、惑星からの巨大女や、壁の中の前妻と直面する。そしてそれが彼らとっての絶望のかたちであるということを、たった8コマで描ききる著者の筆力は圧倒的。

 初読で最も衝撃的だったのは「その6 空より」だった。SF的なガジェットが導入された作品の方が、よりぶっ飛び度が高い気がする。クラシックな形状のUFOも味わい深い。コマが大きいだけに画面も見応えがあって、最後の一コマなんてポスターにして欲しいくらいだ。

 やっぱ楳図かずおすごい。新作読みたい。


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Posted byserpent sea

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