宇留島進『日本の怪獣・幻獣を探せ!』

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 宇留島進『日本の怪獣・幻獣を探せ! 未確認生物遭遇事件の真相』廣済堂出版 1993 廣済堂文庫 ヒューマン・セレクト

 ツチノコ単体本を除くと本書のような日本産UMA限定の本って、わりと珍しいのではないだろうか。表紙をぴろっとめくったところの著者の略歴には「国際隠棲動物学会」「日本フォーティアン協会」所属とあって、こりゃ結構いいかもって期待が膨らむ。

 本文は全部で六つの章に分かれているが、それぞれの章に共通するフォーマットはなくて、例えば第1章はツチノコ単体で40ページ以上、第4章~第6章では複数のUMAを取りあげるといった、かなり自由な構成となっている。個人的には後半のマイナーなUMAについての章をとくに興味深く読むことができた。またこのブログではおなじみの並木伸一郎、山口直樹らが資料や写真の提供者として名を連ねていて、写真や新聞記事、目撃者のスケッチなどは非常に充実している。ただ新聞記事の文字が一部潰れてしまっているのが残念。

「第1章 怪蛇、幻のツチノコを追う」
 日本一有名なUMAだけに目撃例も多く、前述の通り「ツチノコ」単体にまるまる一章が充てられている。以前感想を書いた山口直樹著『幻のツチノコを捕獲せよ!!』(←前の記事へのリンクです)など、ツチノコ単体本が成立するほどの情報量があるわけだから当然の構成だろう。ただそうした本との記事の重複は避けられないところで、この手の本をよく読む人にとっては物足りないかもしれない。記事自体は手堅くまとめられていて好印象。図や写真も多い。

「第2章 中国山脈に棲む、獣人ヒバゴン」
「ヒバゴン」は中国山地に棲息するとされるイエティタイプのUMAで、1970年代には各媒体で取りあげられて結構な盛り上がりだったらしい(当時の児童書にもしっかり載ってる→『なぜなに世界の大怪獣』)。1974年に写真に収められて以降ぱったりと姿を消してしまったが、海外のUMA関連本でも紹介されるなど一応日本を代表するUMAの一つだ。
 この章ではヒバゴンの目撃情報のほか、ヒバゴンに続いて広島県内で目撃が相次いだ同系統のUMA「ヤマゴン」「クイゴン」についても言及されている。目撃者のスケッチが面白い。

「第3章 池田湖の護神か? 怪竜イッシー」
 鹿児島県の池田湖で目撃の相次いだ「イッシー」は、屈斜路湖の「クッシー」と並んで日本の水棲UMAとしては最もメジャーな未確認生物だ。ビデオで撮影された映像がニュースやワイドショーで流れ、すっかり過去のUMAになりつつあったイッシーが、一躍ビデオ時代の代表的なUMAとなったのは1991年のことだった。ニュース映像をなんとか録画しようと、TVの前で待ち構えていたことを思い出す。
 この章では1960年代から1970年代にかけてのイッシーブームのさなかの目撃例、上記のビデオ以降の目撃例とプチブームの状況を、新聞記事などを交えて手際よく紹介している。

「第4章 山麓の池に棲む巨大魚と湖底水棲獣」
 この章には5体の水棲未確認生物、山形県の大鳥池の「タキタロウ」、新潟県糸魚川市の高浪の池の「巨大魚」、屈斜路湖の「クッシー」、洞爺湖の「トッシー」、本栖湖の「モッシー」の目撃情報がまとめられている。クッシーは目撃例も多くそれらしい写真も撮られているのだが、近年目立った活躍がなかったことからここに収められたようだ。やたらに「~シー」の愛称が並ぶなか、「タキタロウ」のネーミングセンスが光る。
 水棲UMAは大好きなジャンルなんだけど、違法放流されたアリゲーターガーがその辺の河川や池で見つかる現状に、巨大魚系のUMAのアイデンティティは……。

「第5章 現代に生きる伝説の幻獣たち」
 この章では伝説の生き物、「カッパ」、奄美大島の「ケンムン」、沖縄の「キジムナー」など、いわゆる「妖怪」のたぐいを未確認生物として捉え、その目撃例やミイラなどの遺物を紹介している。どれも妖怪としてはメジャーなものばかりだ。
 カッパに関しては対馬の路上で発見され、ワイドショーなどでも取りあげられた「カッパの足跡」と、宮崎県で起こった民家へのカッパの侵入事件に多くのページが割かれている。足跡が点々と写った現場写真も掲載されているが、さすがにモノクロだと見づらい(確か雑誌『ムー』誌上には、同じ写真がカラーで掲載されていた)。

「第6章 全国各地で起こった未知動物遭遇事件」
 大蛇をはじめその他諸々の未確認生物について。各地で目撃されたり抜け殻や骨が見つかった「大蛇」をメインに、摩周湖の「巨大ザリガニ」、目撃者のスケッチが印象的な長良川の「ハッシー」、岩手県山形村の「ガタゴン」などの目撃例が紹介されている。
 大蛇については四国にある剣山の「大蛇騒動」が大きく取りあげられている。これもTVや新聞で報道されたらしい。1970年代はじめの出来事だ。目撃された大蛇は長さ10メートル、胴回り1メートルもあったとか。日本には数多くの大蛇にまつわる伝説が伝えられているが、UMAとしての大蛇もとても魅力的だ。「日本の大蛇」本とか読んでみたい。

 以上のように本書は、目撃談を中心に新聞記事やスケッチをそのままの形で載せるという、期待以上にまっとうな「資料本」だった。取りあげられることの少ないマイナーなUMAについての目撃例もしっかり収集されている。著者の主観があまり入ってないため、最後まで偏ってるなーなんて印象は無く楽しく読むことができた。日本のUMAの概要を知りたい人にはもってこいの本。


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Posted byserpent sea

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