伊藤潤二『うずまき 第6話 巻髪』

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 伊藤潤二『うずまき 第6話 巻髪』(『うずまき』小学館 2000 ビッグ コミックス ワイド 所収)

 最近黒渦町では「目立ちたがり屋」が増えているらしい。目立つために屋上でアクロバットをやった生徒が死亡する、なんて事件まで起きている。そんな矢先、桐絵の髪の毛に異変が生じた。渦を巻いた長い髪の毛がでっかいゼンマイ(←山菜の)のように立ちあがって、周囲を威嚇しはじめたのだ。無論ものすごく目立つ。カットしようにも髪の毛が暴れるために手に負えない。そんな桐絵のことをクラスメートの関野さんは注目されて羨ましいという。やがて関野さんの黒髪にもまた、桐絵と同じ異常が発生する。髪の毛対髪の毛の、よく分からない戦いがはじまる……。

 ついに桐絵の身にも直接的に渦巻きの影響が。しかし毎度のことながら、あまり深刻な雰囲気はない。というかいつにも増してコメディ色が強いように思う。著者の発想の素晴らしい突飛さが今回も存分に発揮されていて、桐絵本人にとっては大変な事態なんだけど(生命の危機に瀕している)、ビジュアル的に深刻になりようがない。
 気の毒な関野さんをはじめ、前話のカップルといい、第3話の黒谷さんといい、桐絵に関わるとろくなことがない。秀一にいたってはその最たるものだろう。それとも、もともとろくでもない奴らばかりが、桐絵の周囲に集まっていたのだろうか。関野さんじゃないけど、桐絵が渦の中心にいるようにも見えてくる。

 絵面の見映えは全編を通しても屈指のおもしろさで、このエピソードは映画でも上手く再現されていた。関野さんを演じた佐伯日菜子の怪演が強く印象に残っている。


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